第二章幕開けの表れ、歌い方の変化

安田レイ

安田レイ

――制作するにあたっての経緯は?

 ライブ映えする曲を作りたいなと思ったのがきっかけです。みんなと一緒に歌えて、みんなと一緒に育てたい。そういう意味では、みんなと声を出し合えるところもあるし、サビもキャッチーで、曲のタイトルにもかかっているんですけど、繰り返しのメロディーもあって、ライブ映えできる曲になったなと思います。

――その「涙」ですが、2番の歌詞にある<涙の河>は「河」が「川」でないところが意味深くて。流してきた涙の量は多かったのかなと思わせる詞で、先ほどの安田さんの言葉を借りれば、悲しみが多い分幸せを強く感じる、という意味があるかもしれないと。ところで安田さんは涙もろい?

 涙もろいです! 私、福原美穂さんの歌が好きなんですけど、今日の朝も福原さんの曲を聴いて泣くという(笑)。すごい感受性が豊かというか、音楽やライブを見ていたりすると涙を流してしまうし。電車の中で曲を聴いてボロボロと涙が出ちゃう。言葉ももちろん大事だけど、言葉よりも先に感情が溢れてしまって、なのでよく泣いています。でも泣くことは絶対に悪いことではないし、1回自分の感情を出して、洗い流すと人間ってポジティブな気持ちが蘇ってくると思う。私は今回の曲で詞は書いていないけど、自分で書くときは「涙」を入れたい。涙はマイナスなイメージがあるけど、涙活(るいかつ)があるくらいだから良いことだと思う。

――涙の成分は血液とほぼ一緒といいますからね、涙には赤血球などがないぐらいで。もしかしたら泣くこと自体も身を削る行為なのかもしれないですね。感受性が豊かということはそれだけ繊細ということですからね、ほかの人が気づかないものにも気づけていると思います。そうした繊細さは歌声にも出ていますよね。この曲では歌い方を少し変えていますか?

 変えました! この2曲は私の中では「安田レイ第二章」という位置づけ。私は今26歳で、20歳でデビューして6周年。今まで触れてこなかった楽曲にもたくさん触れる機会が増えて、自分の価値観や聴いている音楽も変わっていくなかで、自分の歌のスタイルも含めて少しずつ大人の階段を上っている気がして。今回は強さもキープしつつ、柔らかさというか…。柔らかさと弱さって近しいものだと思っていて、それがすべて横並びになるように歌いました。

――歌い方の変化で気づいた点を挙げれば、これまではどちらかと言えば、力強くシャープだったけど、今回は深みや柔らかさがあって。

 本当ですか! 嬉しい! やっぱり20歳の頃と比べ人生の経験もいろいろ積んできて、声も変化している、女性も声変わりすると思うんですよ。今は26歳だけど、30歳になったときにまた声質も変わってくると思うし。今の自分の声をこの2曲で表現できていると思います。それとサウンド面でも、これまでの4つ打ちのポップな楽曲と違って、ぬくもり感、アコースティックサウンド感も出して、そこで改めて安田レイが大人の階段を上っていることを証明できる2曲になったと思います。

――でも急に変わったわけでもないですよね? その前兆があったというか。ストリングス自体は2015年の「あしたいろ」あたりから多く使われるようになっているし、歌い方についても2018年の「Sunny」あたりから変化がみられて。

 そう言われるとそうですね。でも一番大きく影響しているのは、26歳になった時にもっと歌の可能性を広げていきたいと思ったことです。自分の歌、自分の声というものに光を当てたいというのをすごく感じて、音作りでは音数を減らしてみたり。そうなってくると、自分の声の出し方や、言葉がすごく大事になってくる。なので、最近は集中力がさらに必要だけど、楽しい作業ですね。

――歌い方の変化で少し細かい話になりますが、「over and over」の2番で<君と出会って素直な/気持ち言葉にのせて/伝えられる自分に変われたんだ>とあるけど、文末の「な」「て」「だ」は空気を多く含んで歌っているというか、この曲のなかでは特にこの3句が特徴的で。

 そこに限らず全体的にエアリー要素やブレッシーな声は入れたいと思っていて、強さとブレッシーという、けっこう真逆なものを同時に表現したいなというのは自分の意識の中でありました。

――すごく広がりがある歌い方をされているから、その言葉がより立体的に広がって包まれる感じがあるんです。優しさが増幅しているというか。

 すごく嬉しい!

安田レイ

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