リズムは宇宙の根本的な要素

――今後については「若手にチャンスを与える」「人間の輪を広げる」という発言もされていましたが、これについてはいかがですか。

石川直 形がはっきりしたものはまだないので、漠然としたお話になってしまうかもしれません。もしブラスト!の日本人打楽器の枠が1人分しかなかったら、元気に続けている内はこの経験はひとりしかできない。僕も体力はありあまってるので、続けようと思えばあと5年はできます。でも、それはいかがなものかなと。この立ち位置は自分1人で占領していいものだとは思いません。得られたものが多い分、それを他のひとにも経験してもらいたいですし。そういうなかで自分のブラスト!でのポジションを変える必要があるのかなと。

 若い人材はどんどん技術が伸びているんです。スポーツの世界と同じですよ。もともとの平均身長が高くなって、体も強くなっている。それから情報もそうですよね。より効率よく技を身に付ける練習方法だったり、そういった手段情報をもとに環境を整えたり。当然のことですけど、後世の方がより有利な状況で学べるんです。マーチングのパーカッションの世界でも若い子達のレベルも上がってきていて。なかにはパフォーマーとして頑張りたい、という子たちもいるんです。でもそこで場が与えられないのはもったいない。それだけの力があれば、もっと色々な事ができるはずなので。それを結集させた時に人々に与えられる影響は絶対に大きい。そういう集団を育成していくのが大事だと思うんですよ。それを作品や組織にどう具体的にしていくのかはこれからです。

石川直

石川直

――確かに。近頃の例ですと、高校球児が160キロを投げる時代に突入しました。日本でマーチングなどのパフォーマンスに触れるきっかけはやはり吹奏楽だと思いますが、それについて思うことなどはありますか。

石川直 日本のマーチングは世界的に見ても、アメリカに次いで2番手くらいだと言われています。向こうで生まれたものではありますけど、日本もすごく成長してきているので高い評価を受けているんですよ。吹奏楽もレベルが高い。高校生の演奏を聴いてプロだと思ったという米国人がたくさんいますから。楽器を扱う知識はものすごく高いと思います。日本人はずっと真面目に向き合って練習をする性質を持っている人が多いので、それが能力を高める武器なのかなと。ただ、そういう技術的なものが高くなる反面「泥くささ」だとか「ゆるさ」だとか「やわらかさ」という部分に関しては、まだまだ開拓できるなとも感じます。

武田真治 日本の吹奏楽部は本当にいい子たちばかりだと思うんです。アメリカではどうなんですか?

石川直 話を聞かない奴らが大勢いますね(笑)。

武田真治 そうなんですか(笑)。日本では統率が取れているからこそ、美しく響くハーモニーを生み出しやすい。そういう意味で、プロの演奏に聴こえる様なレベルなのかもしれません。ただ先ほど石川さんがおっしゃっていたような「泥くささ」というのは個人の主張から生まれる、譜面上の記号では表し切れない部分のニュアンスだったりするんですよね。そういう意味では『ブラスト!』の内容を譜面通り演奏しても、なかなかできないと思うんです。

石川直 生活においてエンタテインメントを取り入れているアメリカ人の文化はいい感じで僕らに刺激を与えてくれるんじゃないでしょうか。その相性がいいから『ブラスト!』が日本でも受け入れられたのかもしれません。

武田真治 現場で体感しないとわからないはず。35名中30名がアメリカキャストである、本場のパフォーマンスを劇場で見てほしい。「映像や音源で楽しめばいい」ということではなく。音楽の楽しみ方の可能性を広げるという意味でもおすすめしたいです。ディズニーの楽曲が取り上げられているという意味で、学校関係者や保護者の方も安心して聴かせられますし。音楽を追及した人たちの呼吸や振動を間近で感じられるいい機会です。こういう生き方があるということを子どもたちに体感させてあげてほしいんですよ。

石川直

石川直

――ところで、石川さんはグルーヴやリズムという言葉についてどうお考えですか。

石川直 自然なリズムを繰り返していくと、波長になっていきます。それが周波数に変わり、そこからピッチが生まれ、ピッチが高くなっていくと熱とかになる。それが次に色になって、暗い色から明るい色になり、最後には光になるんです。全ては波長によって世界が動いているというか、影響しあっているんです。それの一番元になるのがリズムなのかなと、でもこれはあくまでも自論なので。

 それから、世の中に散りばめられているノイズってあるじゃないですか。無秩序に発生しているその音が、秩序を持った時に音楽が生まれるんです。その鍵になるのがリズムだとよく言われます。無秩序から音楽を生み出す要素でもあるのかもしれませんね。宇宙の根本の要素のひとつと言えるかもしれません。宇宙には前から行ってみたいんですよ。ぜひ連れてってもらいたい(笑)。

 僕は心理学とか理論脳科学にも興味があって。そういう側面から音楽が世の中にどうよい影響を与えるのか、ということを考えた新しいエンタテインメントの形を考えているんです。そのなかで後進育成や社会貢献を取り入れられたらいいですね。

――そして、武田さん。スペシャルサポーターとして一言、お願いします。

武田真治 ブラスト!の魅力を広めるお手伝いを担えるだけでも嬉しいのに、今回は参加させて頂けることにもなりました。もうこの上ない幸せです。世界の基準を僕のせいで下げることがないように頑張りたいと思います(笑)。それと、吹奏楽で命を燃やすこと、体全身を使って汗をかくこと、音楽に触れることは健全な成長にもなる教育だと思います。教育関係の方にもぜひ伝えていきたいと思っています。ぜひ、観に来て頂きたいと思います。

石川直×武田真治

石川直×武田真治

(おわり)

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