西川貴教が6月20日、Zepp Tokyoで『Takanori Nishikawa LIVE TOUR 001[SINGularity]』の追加公演をおこなった。ツアーは3月6日にリリースされた、西川貴教名義として初のソロアルバム『SINGularity』を引っさげて、4月13日の福岡公演を皮切りに全国14公演をおこなうというもの。ライブはAIとの会話を軸に進んでいく前半パートと、アルバム『SINGularity』の曲をEDMアレンジで巨大なクラブのような空間を作り上げた後半パートという2部構成。T.M.Revolutionやabingdon boys schoolとは一味違うステージで、大きな熱量が生まれていた。追加公演の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

育てていく感じがあった

西川貴教(撮影=CHIE KATO (CAPS))

 アリーナクラスをソールド出来る西川で、今回のツアーはチケットも激戦だったことを想像するのは容易だ。この追加公演となったZepp Tokyoのフロアも、多くのオーディエンスで埋め尽くされていた。ライブハウスならではの密度感、一体感でよりライブは熱いものになっていくはずだ。

 ステージ後方に設置された巨大なスクリーンには、開演までのカウントダウンが刻まれていく。5分を切ったところで、開演を待ちきれないオーディエンスから早くも盛大な“ターボコール”が巻き起こり、10秒を切ると一緒にカウントダウンをおこない、刻まれていく時間に合わせ、それぞれの胸の鼓動は激しく高鳴っていたのではないだろうか。

 菰口雄矢(Gt)、二家本亮介(Ba)、山崎慶(Dr)、Yamato(DJ)のサポートメンバー4人がステージに登場し「SINGularity」を演奏。ラウドなサウンドで空気を震撼させて行くと、スクリーンがゆっくりと左右に開き西川貴教が登場。フロアはオレンジ色のブレスレットがオーディエンスの手首で光るなか「Roll The Dice」を投下。エナジーみなぎる西川の歌にフロアは最高潮の盛り上がりを見せた。序盤からこの盛り上がり、エンディングを迎える頃にはどのような状態になってしまうのか、予測不可能だ。

 西川は初のツアーについて「一生の中で何度もあるはずじゃないのに、何度も経験しているような気がする。でも、西川貴教として生まれて初めての正真正銘の初ツアー。しかもありえないはずの1日、この時点で“シンギュラリティ”は起きてるんじゃないか」と、勢いづける発言でさらに興奮度を高めた。

 ここで、架空のAIのF.L.E.I(フレイ)を紹介。このF.L.E.Iは会場の盛り上がり、熱量とともに賢く、スペックが上がっていくという。オーディエンスからの熱い声に、西川は「(この声が)聞こえてるか?」と語りかければF.L.E.Iは「すべての事象を記録しております」と冷静な答え。そういうことじゃないと西川は「心の、魂の声は聞こえているかってんだよ!」と強く投げかけ「Hear Me」をパフォーマンス。

西川貴教(撮影=CHIE KATO (CAPS))

 F.L.E.Iはステージが進むごとに進化していく。「意識は並列に共有しているのか?」という問いに西川は「そんなもんじゃない」切り捨て、「NOISEofRAIN」で感情を爆発させたかのような歌声を響かせた。

 このツアーを振り返り「育てていく感じがあったこのツアー。すごく新鮮で楽しかった」と話し、合理的ではない0と1ではない何かに人は感動すると唱えると、AIと共存していく意味を問われた西川は、激しくも切なさを感じさせる1曲「awakening」で煽情的な空間を作り上げた。そして、「Be Affected」では上着を脱ぎ捨て、臨戦態勢の西川は「暴れろよ!」と煽りギアを一段上げ、パワフルなシャウトで盛り上げる。

 オーディエンスのシンガロングに「最高やで」と声を漏らした「His/Story」は、世界で起きている戦争や暴動といった人間の愚かな部分がスクリーンに映し出されていく。改めて人間は未だ進化の途中だということを、映像とともに痛烈にこの曲で感じさせられた。

 F.L.E.Iはこの人間の愚かさから共存はできないと結論を出した。西川は「待ってくれ」と言わんばかりに「この会場の熱を見ろ!」とF.L.E.Iに訴えかける。「道を開くのはどこかの誰かじゃない!」と、その言葉に感化されたオーディエンスはさらなる盛り上がりを見せた「HERO」、本編ラストは「UNBROKEN (feat. 布袋寅泰)」を届けた。鬼気迫る、魂を削るかのような西川の歌声にF.L.E.Iはどのように受け止めるのか、歌唱後そのまま西川はスクリーンの奥へと戻っていった。

ゼロからすべてのことに挑み続ける

西川貴教(撮影=CHIE KATO (CAPS))

 F.L.E.Iは西川と同化し、再びステージにサポートメンバーと西川が登場。「お前らに夢を持てなんて言わない、俺がおまえの夢になってやる。西川貴教、俺が“SINGularity”だ」と、話しアレンジが全く異なる「Roll The Dice」でテンションは爆発的に高まる。

 西川は「ありえないことを起こそう、日本で一番でっかいクラブを作るぞ!」と「His/Story」でアゲアゲの空間を作り上げる。サポートメンバーも前半戦よりも激しいパフォーマンスで、フロアを刺激していく。

 「今差し出せるのはこの命とこの声しかありません。それでも付いてきてくれますか」と投げかけ始まった、「Hear Me」は魂を揺さぶりかけるようなオーディエンスのシンガロングが圧巻。続いての「HERO」では、ビートに合わせ振り子のように手を振り上げ、一糸乱れぬ心地よい光景がフロアに広がった。

 西川はリミットを解除するかのように、衣装を脱ぎ捨て鍛え抜かれた肉体露わに。重厚なバスドラムのサウンドに体を弾ませた「UNBROKEN (feat.布袋寅泰)」。西川の全身全霊のパフォーマンスは、オーディエンスの未だ眠っているエネルギーを呼び起こすよう。

ライブの模様(撮影=CHIE KATO (CAPS))

 凄まじいエネルギーを放出したにも関わらず、まだまだ疲れた様子を見せない西川は「こんなんじゃ終われねえだろ!」とラストは「BIRI × BIRI」で“マーベラス”な一体感を作り出し、ライブはエンディングへと向かっていく。西川は「もう一度“イチ”からのスタートになりますが、他のアーティストのファンをやっていたら味わうことができない苦労です(笑)。でもここにあるものは一つも変わっていません。ただお前らが大好きです!」。

 さらに「このキャリアにして全く失敗を恐れず、もう一度ゼロからすべてのことに挑み続けることを誓います。だからおまえらも全力で俺に力を貸してくれ。また会おうぜ!」と決意と覚悟が詰まった言葉を残し、「夢のない奴はここに来い、俺が夢になってやる!」と『Takanori Nishikawa LIVE TOUR 001[SINGularity] 』は大団円を迎えた。

 約2時間のステージは凄まじいエナジーで終始溢れていた。まさにシンギュラリティを感じさせるものだったが、西川の考えるシンギュラリティはまだまだ高いところにあるのではないかと思わせるパフォーマンス。人間の限界を超える、無限の可能性をステージから感じさせてくれた一夜であった。

セットリスト

『Takanori Nishikawa LIVE TOUR 001[SINGularity] 』

6月20日 @Zepp Tokyo

Overture

01. SINGularity
02. Roll The Dice
03. Bright Burning Shout
04. Hear Me
05. REBRAIN In Your Head
06. NOISEofRAIN
07. awakening
08. Be Affected
09. His/Story
10. Elegy of Prisoner
11. HERO
12. UNBROKEN (feat. 布袋寅泰)

Epilogue

EN1. Roll The Dice
EN2. His/Story
EN3. REBRAIN In Your Head
EN4. Hear Me
EN5. HERO
EN6. Elegy of Prisoner
EN7. UNBROKEN (feat.布袋寅泰)
EN8. BIRI × BIRI

ENDING

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