Nulbarichが5月9日、東京・TOKYO DOME CITY HALLで全国ツアー『Nulbarich ONE MAN TOUR 2019- Blank Envelope -』の追加公演がおこなわれ、国内のファイナルを迎えた。最新アルバム『Blank Envelope』を引っ提げて3月からおこなわれていたもので、7月20日に韓国での追加公演を残す。この日はアンコールを含めて全20曲を演奏。音源以上にバンド感があるグルーヴと、爆音のギターによる迫力ある演奏、ファルセットのボーカルを聴かせ、集まった観客を音の渦に巻き込んだ。【取材=榑林史章】

ライブが終わった頃にはノックアウトしてる

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 ヒップホップやソウルなどさまざまな音楽が流れる会場には、思い思いのドリンクを手にして身体を揺らす観客の姿。ファッション関係者や映画やドラマの関係者など、音楽畑以外からの注目度の高いNulbarichらしく、おしゃれで大人のリスナーが詰めかけた。会場にはミラーボールが回り、ステージが始まる前からテンションがアガった。

 メンバーがステージに登場する。Nulbarichの1stシングル『HOMETOWN』から、「NEW ERA」のサビをワンフレーズ歌うと、会場に大きな歓声が沸いた。それに「ウェルカム・トゥ・ブランク・エンヴェロープ!」と叫んで応えたボーカルのJQ。観客は、手を左右に揺らしてグルーヴに身を投じた。

 映画『台北暮色』のエンディングテーマに起用された「Silent Wonderland」では、JQはエレキギターを弾きながら歌った。低音の効いた迫力あるサウンド。重厚なギターとコーラスが作る空間の中で、ファルセットのボーカルが、空を切り裂くように響く。『シチズン クロスシー』のCM曲「VOICE」は、軽やかなビートが心地良い。続けて「Focus On Me」は、低音を利かせたベース、少し懐かしいムードのシンセが印象的。JQは、時折りシャウトも聴かせ、間奏では「楽しんでますか〜!」と客席に問いかけ、自らリズムに乗って身体を揺らした。

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 MCでは、3階まであるバルコニー席を眺めながら、「おお〜すげ〜!」と感嘆の声をあげたJQ。「マジで落ちないでね。写メ撮りたいな」と、ステージから見る客席の絶景を堪能している様子。ステージのJQは実にリラックスしている。客席からの「気持ちいいよ!」という声に、「くもじい? かまじい?」と聞き間違えで会場を和ませ、「笑ってるけど、ライブが終わった頃にノックアウトされてるのは、君たちのほうだからね」と、ライブへの自信も覗かせた。

 この日のライブは、最新作『Blank Envelope』からの選曲をメインに、前作『H.O.T』からも多数演奏された。

 壮快さのあるコーラスで始まった「ain't on the map yet」は、打ち鳴らされるビートに合わせて、会場に広がる手拍子が高揚感たっぷりだ。イントロのギターカッティングが印象的な「It's Who We Are」。手を左右に伸ばして、リズムに乗りながら、美しいファルセットの歌声を聴かせるJQ。途中でベースがブルーノートを奏でる展開もあり、そこからまたポップへとなだれ込む。音源とはひと味違ったライブならではの展開に、観客も嬉しそうに音の渦に身を任せた。

みんながいれば、俺たちは止まらない

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 CMやドラマなどに起用された、人気のタイアップ曲も多数披露して観客を沸かせた。資生堂「アネッサ」CM曲「Kiss You Back」は、スケールの大きな世界感とアンセム感が会場に広がり、観客は両手を挙げて揺らし、1つになった。

 「楽しいこともある。悲しいこともある。それがライフだ」と、メッセージを込めて歌った「Sweet and Sour」は、テレビ東京 ドラマ『デザイナー 渋井直人の休日』のエンディングテーマ。明日のことはさておき今日は踊ろうといった雰囲気で、親しみやすさのあるサビのメロディを観客も一緒に歌いながら躍った。

 音源とは少し違ったライブならではの熱い演奏でも観客を沸かせた。ブレイクが心地いい「JUICE」では、サビの転調に気持ちが高まる。縦横無尽に弾き鳴らされるギターソロ、ピアノのアドリブに歓声と拍手が沸き起こり、JQも嬉しそうにメンバーを指さして盛り上げた。

 終盤はノリのいいダンスビートで畳みかけた。「そんなんじゃまだまだ。もっと踊ろう」とはやし立てて歌った「Zero Gravity」。ディスコ調のファンキーなビートに乗せて、観客の揺れもいっそう激しい。メンバーによるジャズ調のセッションで幕を開けた「Super Sonic」では、「カモン、トーキョー! 踊ったもん勝ちだよ」とJQ。自らステップを踏むようにして歌い、バキバキのベースとワウギターのソロには大歓声が上がり、JQはプレイを讃えるようにギターとハイタッチを交わした。

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 「アルバムの中で一番のぶち上げソングです。踊り狂っちゃってください」と披露したのは、踊り狂うのとは真逆な印象のスローナンバーの「Toy Plane」。ゆったりとしたサウンドの中で、全身でリズムを刻んだJQ。「いかがでしたか? 渾身のパーティーソングは」と、いたずらな笑みを浮かべる。とは言え、これはまったくの冗談という訳でもなく、ビートのないところにもビートを感じてほしいというJQの願いだったと思う。

 「自分たちでも予想していなかった人生を送っている。だいたい想像は出来ていたんだけど、それを狂わせてくれたのがみんなです。みんながいれば、俺たちは止まらない。みんなといれば楽しいから。どんなことでも飛び越えて行けるかなって。みんなで音に乗って、バカになって終わりたいです」

 ラストには「Stop Us Dreaming」を披露した。ライブ経験を重ねたことで生まれた曲で、JQのヒップホップやソウルに対する憧れが落とし込まれた楽曲。ドンドンパンと力強く響く重たいビート。その合間に響く〈イエー!イエー!〉というコーラスを、観客も一緒になって歌う。アンセム感を増しながら、どんどん広がっていくクラップ。全員の意志が重なり、会場がまさしく一つの思いを持った空間になった。

 12月1日に埼玉・さいたまスーパーアリーナでワンマンライブ『ONE MAN LIVE -A STORY-』を開催することも発表しているNulbarichは、どこまで勢いを増すのか、まだまだ止まらない活躍に注視していたい。

セットリスト

1. NEW ERA
2. Silent Wonderland
3. VOICE
4. Focus On Me
5. I Bet We’ll Be Beautiful
6. ain’t on the map yet
7. It’s Who We Are
8. Kiss You Back
9. Sweet and Sour
10. Handcuffed
11. On and On
12. Ring Ring Ring
13. JUICE
14. All to Myself
15. In Your Pocket
16. Almost There
17. Zero Gravity
18. Supersonic
19. Toy Plane
20. Stop Us Dreaming

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