4人組バンドのflumpoolが5月22日、東京・国際フォーラムホールAで『flumpool 9th tour「Command Shift Z」』の東京公演をおこなった。ツアーは5月4日の広島上野学園ホールを皮切りに9月28日の神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールまで22公演をおこなうというもの。2017年12月に山村隆太(Vo)の歌唱時機能性発声障害のため、無期限の活動休止を発表した彼らの完全復活を告げる全国ツアー。その5カ所目、ニューシングル「HELP」のリリース日となった東京公演の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

もう一度、音楽がしたい

山村隆太(撮影=岸田哲平)

 約1年半ぶりの全国ツアーだ。2017年の12月から止まっていた時が再び動き出した。ツアーは当時中止になった広島、鳥取、三重、福井の4カ所を皮切りに空白期間を埋めるように、あの時の続きからスタートした。そして、この東京公演は彼らにとって、ツアー初日公演のような感覚、山村は「ここからがスタートだと思っています。そんなスタートに今日のお客さんは相応しい、最高の復帰ライブが出来たらと思います」とこの東京公演に臨む気持ちを述べた。

 そして、国際フォーラムホールAには、この日を待ち望んだ多くのオーディエンスで埋めつくされた。様々な想いを持ちながらこの会場に足を運んだ、そんな表情が客席にはあった。

 開演時刻になり映像を使用した壮大な幕開け。この高揚感、flumpoolがステージに戻って来たということをオープニングから伝わってくる演出。序盤からブランクなど感じさせないサウンドと歌声で我々の体を震わせた。歌い方、発声法を変えた、新たな山村の姿がここにはあった。休止前のライブでは声が裏返るなどしていたため、正直不安があったが、全くその要素はなく、完全復活を告げる歌声を届けてくれた。そして、阪井一生 (Gt)尼川元気 (Ba)小倉誠司 (Dr)による、彼らにしか出せない唯一無二のサウンドで、よりライブに躍動感を与えてくれた。

 ここまでに何度もリハを重ねた、デビュー曲で代表曲のひとつ「花になれ」。再びこの歌を聴くことが出来る喜び、帰ってきたんだという多幸感に満ちた空間が広がっていた。flumpoolのライブは光(ライティング)と音の親和性の高さに毎回驚かされる。まだツアー中なので、詳しくは書けないが、鮮烈な光は現実を忘れさせてくれる。それは、バンドが放つ音をさらに輝かせていた。

阪井一生(撮影=岸田哲平)

 このライブで印象的だったのは、山村が何度も「会いたかった」、「後ろの方まで見えてるよ」とオーディエンスへ投げかけた言葉たち。ステージから伝わってくる、山村がこのツアーを誰よりも楽しみにしていたことがわかる瞬間で、何度もこのライブに集まってくれたオーディエンスへ感謝する姿だった。

 この日は5月22日にリリースされたニューシングル「HELP」に収録された「空の旅路」や「つながり」なども披露された。どの曲も今回の活動休止がなければ生まれては来なかった、ターニングポイントとなる曲だ。「声が出なくなって、もっと早く伝えておけば良かったと後悔があります…。やっぱり人は1人では頑張れない、そう思います――」。その言葉からも経験から紡がれる説得力があった「HELP」。その「HELP」が流れると、様々な聴き方があった。体を揺らし聴く人、手と手を握りステージを見つめる人、静かに立ち竦み耳を傾ける人。各々の聴き方でバンドからのメッセージを受け取っていた。

 それはツアータイトルにも反映されていた。「⌘⇧Z(Command Shift Z)」というパソコンでUndo(元に戻す)したものを再びやり直す時に使うショートカットキーだ。今のバンドの気持ちを表す秀逸なタイトル。「もう一度戻って同じ場所を目指すという意味、そして、僕の声が戻って来たという意味もあるんですけど、それだけのライブにはしたくないと思いました。もう一度、音楽がしたいという事をちゃんとみんなに伝えられるようにしたい――」と、山村は丁寧にこの言葉に込められた意図を語った。

「待っています」というみんなの存在

尼川元気(撮影=岸田哲平)

 サポートメンバーにはお馴染みの磯貝サイモン(Key/G)、そしてバイオリンの名倉 主(Vn)は若干25歳。磯貝はこの4人と再び音を出せることがみんなと同じくらい嬉しいと歓喜のメッセージ。メンバーとの深い絆を感じさせてくれた。ちなみに阪井のユーモア溢れるMCも健在。メンバーとアットホームな空間を作り上げ、会場を和ませていた。

 ライブは曲数を重ねる毎にどんどん熱量が高まっていくのを感じさせた。代表曲「星に願いを」では、全てを吹き飛ばすような心地よい一体感が生まれた。「この目に見えない感情がこんなにも胸を熱くする」まさにこの歌詞を体現した瞬間だった。

 山村は「あの時諦めないで良かったと思える素晴らしい瞬間をみんなから頂きました。きっといつか報われる日が来る。そんな想いを持っていられたのは『待っています』というみんなの存在でした。辛さも苦しみも弱音も全部伝えあっていこう、自分自身の素直な気持ちからは逃げずに、ちゃんとみんなと向き合っていこうと思っています――」。

小倉誠司(撮影=岸田哲平)

 さらに待っていてくれたファンと、このライブの盛り上がりに「flumpoolは安泰ですね。こんなに素敵なファンがいますから」と、素直な言葉を伝えた。止まってしまったからこそ、改めて気づかせてもらえる、見える景色があったのだろう。そこには当たり前ではない光景が広がっていた。

 山村は「活動休止をして冷めていく想いなど、それぞれ色んな想いがあったと思います。でも、僕らもこれまでの色んなことが吹き飛んでいくようなライブが今日のメンバーで作れました」と、このステージの充実度が伺える言葉。今のflumpoolを伝える選曲も素晴らしかった。ツアーはまだまだ始まったばかり、さらに進化していくだろう4人はファイナルの横浜ではどんな景色を見せてくれるのか、そこにはもう期待感しか残らなかった。

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