今年の2月に結成10周年を迎えたパスピエが5月22日、通算5枚目となるフルアルバム『more humor』(読み:モア ユーモア)をリリース。成田ハネダ(Key)、大胡田なつき(Vo)、三澤勝洸(Gt)、露崎義邦(Ba)の4人組。今までも実験的な楽曲を多く制作してきた彼らだが、『more humor』にはさらなる面白さを追求した10曲を収録した意欲作。バンドというフォーマットを壊しにかかったと話す本作は、宇宙を感じさせつつ音楽は自由だということを痛感させてくれる1枚。インタビューではその制作背景についてや、この10年間で印象的だったことなど、4人に話を聞いた。【取材=村上順一】

10年間で印象的だったこと

「more humor」ジャケ写

――それぞれこの10年間で印象的だったことはなんですか。

三澤勝洸 『演出家出演』をリリースして、初めてワンマンツアー『“印象・日の出”』をやらせて頂いたことです。それまでは対バン形式が多かったので、自分たちだけを観に来てくれる人のみというライブがなかったんです。それもあってワンマンというのがすごく嬉しかったのを覚えています。初日は大阪の箱だったんですけど、そこからライブに対して、よりお客さんを楽しませたいという気持ちが強くなりました。

露崎義邦 僕は初めてのCD『わたし開花したわ』が、インディーズなのですが全国流通させていただいて、CDショップに並んだ時のことです。そのショップではちょっとしたコーナーみたいにしてくれていました。しっかりとした環境でレコーディングして、それが初めて形になった作品なんです。当時はそこを目指して切磋琢磨していたので、思い出深いです。

――CDショップにも足を運んで?

露崎義邦 もちろん行きました。そこで購入して、一旦店を出て、また3、4時間後にもう一回見に行ったり(笑)。

大胡田なつき そうだったんだ(笑)。

――やっぱり気になりますよね(笑)。大胡田さんの印象的な出来事は?

大胡田なつき 私は「とおりゃんせ」という配信シングルを出した時です。その曲の持つオリエンタル感がすごくしっくりきて、私はこの感じがすごく好きなんだろうなと、自分の好きなパスピエがわかったんです。

――それまではよくわからなかった自分もいたり?

大胡田なつき もちろんパスピエは大事で好きだったんですけど、「どこが?」と聞かれた時に上手く言葉に出来ない自分もいました。それが、「とおりゃんせ」で日本人の血だったり、そういうものが音から感じられるものが好きなんだなと。

――ターニングポイントの一曲だったんですね。成田さんの印象的なことは?

成田ハネダ 沢山あるんですけど、ドラムが脱退した後、UNISON SQUARE GARDENに呼んでもらった新体制で初めての高松でのライブです。本当に未知の境地で僕たち4人とサポートドラムでやっていくとなった、あのライブは(胸に)くるものがありました。新たな船出とでも言いますか。

――ドラムのやお(たくや)さんが脱退となった時はどういう心境でしたか。

三澤勝洸 当然不安はありましたけど、でも、ここで止まってしまってはダメだなと思いました。それをポジティブに捉えて4人でやれる事をやっていこうという気持ちでした。

露崎義邦 ドラムとベースは密接なところもあるので、ドラムが抜けたことは悲しかったです。佐藤(謙介)君にお願いするまでに、BOBOさんとか色んな方とやってみました。全く同じフレーズだったとしてもやっぱり違うんです。それは傍から見たら大変そうと思われると思うんですけど、変わっていくところを楽しんでいた自分がいました。

――ちょっと聞きづらいことなのですが、オリジナルメンバーの脱退ということもあり解散という選択肢も当時はありましたか。

成田ハネダ メンバーには「色んな選択肢はあるけどどうする?」とは聞きました。でも、その時に誰からも“解散”というワードは出なかったです。曲作りに関してはやってやろうという感じはありました。ただライブということに関しては過去のパスピエの残像が、今まで見てきた人たちの中にはあると思うんです。それに対してどういうリアクションが返って来るのかというのは気になるところでした。でも、そこからバンドとしての色んな筋肉がついてきたなと思います。

――その中で歌の変化もありましたか。

大胡田なつき ライブの時は後ろからの音の圧とか変わってくるので、無意識だと思うんですけど、自然と歌も変わってきていると思います。

記事タグ

関連記事は下にスクロールすると見られます。