THEイナズマ戦隊が4月21日、東京・中野サンプラザホールでワンマン公演「俺とオマエとサンプラと応援歌」を開催。THEイナズマ戦隊は、昨年9月から全国ツアー『21年目の日本大巡業2018‐2019』をスタート。今年1月には、アルバム『I love U』をリリースし、今年はツアーの後半戦を精力的に実施。本公演ではその約半年に及ぶ集大成を存分に発揮し、観客を魅了。最初から最後まで笑顔と活力と生きる糧を与え続けた熱いステージとなった。【取材=長澤智典】

夢みるおっさんとしてここまで来た

THEイナズマ戦隊(撮影=浜野カズシ)

 昨年5月に日比谷野外大音楽堂でのライブを成功させているとはいえ、普段はライブハウスが活動の中心。もちろんライブハウスという場をTHEイナズマ戦隊はとても大切にしているが、同時に、ホールを通して大勢の人たちに「夢や力を与えるバンド」である姿を示したい想いや夢もずっと持ち続けている。今回の中野サンプラザホール公演に向けても、ただホールへ立つだけではない、しっかり形にするためにと、彼らは昨年から長い長い全国ツアーを続けてきた。

 THEイナズマ戦隊にとって今回の挑戦も、まだまだ夢を形にするための過程の一つ。何故なら、4人が先に見ているのは「日本武道館」という実現すべき夢だから。そんな彼らが、中野サンプラザホールという場所にどんな光景を描き出したか。ここに、お伝えしたい。

 ホールの明かりが少しだけ落ちた中、THEイナズマ戦隊のメンバーが手に楽器を携え1階客席中ほどから姿を現した。その姿に、ざわめく場内。4人は観客たちの間をすり抜け、そのままステージへ。

 ステージのフロントに陣取った4人は、おもむろに演奏をスタート。上中丈弥(Vo)の吹くブルースハープの音色に導かれるように、久保裕行(Dr)の叩くカホンと中田俊哉(Ba)の弾くアコースティックベース、山田武郎(Gt)の爪弾くアコースティックギターの音色が折り重なる。届けたのが、「ラブレター フロム 俺」。力強く、朗々と想いを届ける上中の歌声に合わせ、会場中から起きた手拍子。もともと飾らない歌い手だが、アコースティック編成を介すことで、彼自身の裸の感情が、そのまま触れた人たちの胸へと突き刺さってきた。薄明かりの下で歌い奏でるその姿と楽曲に触れながら、誰もが温かな想いをしっかりと受け止めていた。

 一曲のみ演奏後メンバーは退場、舞台は暗転。SEによるカウントダウンが「ゼロ」を告げると同時に、ガツンとした音の塊が鳴り響き、一気に照明が点灯。舞台の上には、いつもの4人が立っていた。会場中から沸き立つ歓声。その声をぐいぐい引っ張るように、THEイナズマ戦隊は「My Generation」を叩きつけた。演奏へ触れた瞬間、熱し続ける情熱を解き放たずにいられなかった。上中が歌う<俺達の時代が 俺達の叫びが>という言葉が嬉しいくらいに胸へと突き刺さる。たとえその身や心はメンテナンスが必要なくらいオンボロだとしても、いくつになっても自分を支える夢や希望があるなら、それが心を突き動かすガソリンとなり、「青春」という息吹を吹き返していく。

 中でも、純度高く燃焼性の高いガソリンがTHEイナズマ戦隊の歌であるのは言うまでもない。会場中の人たちが、上中丈弥の歌声に拳をぶつけ、踏み出した感情のアクセル音(叫び)をうるさいくらいにブンブン鳴らしながら、本気で「青春」を感じられるこの瞬間を、彼らと一緒に謳歌していた。

 久保のワイルドなドラムビートを合図に、「赤い命が燃えている」が飛びだした。がむしゃらに挑戦しようという気持ちを後押しする楽曲に触れ、何より、THEイナズマ戦隊の熱した歌声や演奏へ触発され、熱く滾る気持ちを舞台へぶつけずにいれなかった。エールを贈る歌が心へ注がれるたび、沸き出す熱情を4人に突き返していたかった。剥き出しの情熱を交わすライブが生み出したのは、互いに想いを共有しあう最高の関係。

 山田の鳴らす乾いたギターの音が、一瞬にして気持ちを高ぶらせた。軽快なロックンロールの洗礼を受けるように、「I love U」が飛びだした。身体がうきうきと騒ぎだす。気持ちを真っ直ぐに届ける上中の歌に刺激と興奮を覚えた観客たちが、拳を高く突き上げ、思いきり身体を弾ませる。こんなにも心が騒ぐのなら、騒ぐ気持ちへ素直に身を預け、思いきりはしゃぎ続けよう。

 「女ってすげー」「男ってすげー」「俺達はすげー」と、自らを讃歌するように「喜びの歌」を歌う声が会場中へ響き渡る。気持ちを熱く高ぶらす魔法の歌を、今は拳を高く掲げながら上中と一緒に歌っていたい。感情の熱が膨らむ、その感覚が堪らなく気持ちよかった!!

THEイナズマ戦隊(撮影=浜野カズシ)

 久保、中田、山田の3人によるワイルドなセッション演奏「俺とオマエとサンプラのソロ」を挟み、上中の魂を震わせる声が響き渡った「あぁ バラ色の日々」へ。どんな辛酸をなめようと、どんなに苦難の日々が重なろうと、それでも信じた夢を追いかける想いを詰め込んだ歌へ触れる度に、痛みや苦しみを噛みしめながら前へ進み続ける心に情熱と勇気が湧いてくる。上中が想いを振り絞り歌う度に、その歌声や演奏に心が震え、ポンコツな気持ちに力がみなぎる。先のことなんてわからない。しかし上中が、イナ戦が、バラ色の日々を信じて突き進むように、その気持ちを同じように持てると信じたい自分がいた。一緒に夢を見れるかなんて、正直わからない。だけど、夢を追いかけることを諦めなくていいんだと、この歌が、イナ戦が教えてくれた。

 男の優しさをさりげなく伝えるように、THEイナズマ戦隊は「最終列車」を演奏。内に秘めた男心を切々と語るように、上中は歌いかけていく。ただ熱くがむしゃらに歌うのではない、優しさの中から滲み出る彼の切なさを秘めた心模様に、気持ちがじんわりと揺さぶられていた。

 ここで、ゲストに勝手にしやがれの田中和(TRUMPET)と田浦健(TENOR SAXOPHONE)、鍵盤奏者の伊東ミキオを招き入れた。ここからは、ブラスセクションを加え、楽しいパーティムードを描くコーナーへ。ファンキーでソウルフルな演奏を背に、「ワン・ツー・ストレート!!」を通して派手なパーティ空間を描き、「為さねば成らぬぞ!!」を介して、ブラスロックの楽しさを投影。さらに豪華なセッションは、ブギウギ・ナンバー「バーダラ・ブギ~後悔するにゃ若すぎる~」を演奏しながら、心地好く身体をスウィングする人たちを次々と生み出しては、華やかでロックンロールな宴へと会場を染め上げていった。誰もが頭を空っぽに浮かれ騒ぐ。我を忘れ、現実を消し去り楽しめる、それこそが最高だった!!

 それまでの華やかな香りから一変、伊東ミキオのピアノ演奏をバックに上中が力強く高らかにバラード「愛じゃないか」を歌いだした。熱を込めた歌声は、ともに心のまま叫びたい気持ちになる。シンプルな演奏だからこそ、<愛じゃないか>と上中に歌われる度に、そこへ込めたいろんな想いがズシッと胸に響き渡る。青春の日々を卒業し、現実の社会で揉まれていくことへの覚悟と決意。説得力を持って励ます上中丈弥の歌声が、社会で自分を押し殺している人の心へ自信と勇気を与えていく。後半にはバンド演奏も加わり、情熱を抱いた歌へ高揚と感動のドラマを描き加えていった。魂が嬉し涙で震えるって、きっと、こんな感覚だ。

 見失いそうな心を励ますように歌った「桜咲くまで俺達は」や「情熱」では、ゆったりとした演奏を通すことで、ボロボロになりかけた心へ、強く生きるための糧や力をじわじわと染み込ませてきた。気持ちに寄り添う優しい表情。彼らはいつだって同じ目線で肩を組んで、背中を押してくれる。胸に小さな勇気を授けてゆく、その気持ちが素直に嬉しかった。

THEイナズマ戦隊(撮影=浜野カズシ)

 次に届けたのが「OLD ROOKIES」だ。この歌は、たとえ心がボロボロに傷つけられようが、自分が背負うもののためなら、大切なものを守るためならば、何度だって立ち上がり勝負していく自分にしてくれる。守るべきもののためなら、その身に鞭打ちながら何回でも立ち向かい、小さな夢や幸せを追いかけ続けていける。「OLD ROOKIES」は負け犬たちの応援歌だ。いや、負けてなんかいない、何があっても這い上がる人たちに熱いエールを贈る歌だ。だから、この歌へ触れるたびに心が熱く震える。まだまだ「やってやろうぜ」と、自分の気持ちを鼓舞していける。

 勇気奮い立たせた心へ「そうさ 立ち上がれ友よ」と、THEイナズマ戦隊は「スポットライト」を届けてくれた。THEイナズマ戦隊の楽曲が心の応援歌なのは、昔から変わらないこと。何よりTHEイナズマ戦隊の楽曲は、弱さを認めたうえでグッと背中を押せば、突き出した拳に温もりを感じさせてくれる。挫けそうな心へ、THEイナズマ戦隊が歌を通してスポットライトを当てていくからこそ、その想いを全てつかみ取る気持ちで、誰もが舞台上の彼らへ熱い視線を向けていた。

 「今日は21年目を締めくくるライブ。夢みるおっさんモンスターとして、ここ(中野サンプラザホール)まで来ました。でも、日本武道館は自分らだけの力では叶わない。ここからは、みんなの力でTHE イナズマ戦隊を日本武道館まで連れていってくれ」

 上中の言葉を受けて飛びだしたのが、会場中の人たちと一緒に「バカ者よ」と声を上げ騒ぎ立てた「バカ者よ大志を抱け」。気持ち弾ませるロックンロールに身を任せ、思いきり弾け飛べ。続く「オマエ・がむしゃら・はい・ジャンプ」でも上中が、会場中の人たちが、演奏に合わせジャンプをしながらはしゃぎ続けていた。

 熱い手拍子が炸裂。「俺達の1ページ」に触れていたら身体中から熱したパワーが湧きあがり、いつしか拳を突き上げ、一緒に声を張り上げていた。それが不器用な生き方でもいいじゃないか。その歌に触発され、湧き立つエナジーを覚えたなら、心のままに掲げた拳とともに歌声を上げればいい。そうやって、この瞬間をしっかり胸に刻もうじゃないか。

笑顔と活力と生きる糧を与え続けた

THEイナズマ戦隊(撮影=浜野カズシ)

 この会場には、いろんな人生の経験を重ねた人たちが集まっている。憧れという夢を追いかけている人たちもいれば、現実を踏まえ、その上で小さな夢に想いを馳せていく人たちもいる。中には、夢を諦め、別の生き方を歩んでいる人たちだっていたに違いない。毎日の中には、笑顔よりも我慢が中心という人たちだっていただろう。THEイナズマ戦隊もまた、ここまでたくさん傷つきながら、それでも夢を信じ、今も傷だらけの身体で走り続けている。そんな彼らを支え続けてくれたのは、THEイナズマ戦隊の歌に勇気や力をもらい、応援の言葉をくれる仲間(ファン)たちだった。

 そんな最高に愛しき仲間たちへ、上中は「生きててくれてありがとうな」と「合い言葉~シャララⅡ~生きててくれてありがとうな」を通して感謝の気持ちを伝えてきた。でも、それはこの会場に足を運んだ人たちも同じように感じていた想い。誰もが上中と一緒に「シャララ」と大合唱しながら、互いに気持ちを鼓舞しては、支えあう関係に感謝と愛おしさを覚えていた。会場中から突き上がった無数の拳から伝わるのは、互いを支えあえることへの喜びだった。

「俺たちは、これがあるから生きていける。そんな歌を歌いたいバンドであり続けたい」そう語ったあと、THEイナズマ戦隊は最後の曲として「応援歌」を歌いだした。

 会場中に響く「ソーレ!!」の掛け声。叫ぶ度に、胸に熱い想いが涙腺を伝い湧き上がる。「ソーレ!!」と叫ぶ度に、どんな人生だろうと力強く受け止め、「なんとかなるさ」「やってやるさ」という気持ちへと塗り変えていく。上中と一緒に「ソーレ!!」と叫ぶ度に、輝きに満ちていた青春時代の自分に帰れる。それが、無性に嬉しいかった。

 上中が<オーイ!! オマエ!! がんばれや!! 俺がそばで観ててやるから>と歌いかける度に、観客の心がキラキラと輝き出す。その輝きには、感極まった嬉し涙も含まれていた。THEイナズマ戦隊が贈るエールは、まさに魂に向けた応援歌だ。

 後半には、アカペラで歌う場面も登場。終盤には合唱団が姿を現し、上中や観客たちと一緒にサビを歌っていた。上中に「オマエ!! がんばれや!!」と歌われるたびに嬉しさと同時に、「お前もな」と言いたい自分がいた。なぜなら、僕らと彼らはいつだって同じ目線で想いを分かち合う仲間だ。互いにエールを送りあえるからこそ、こうやって中野サンプラザという景色を観れたし、彼らが夢見ている日本武道館の景色だって、一緒に観たいと本気で思える。その夢を現実にするまでは、一緒にそれぞれの人生を「がんばろうや」。

THEイナズマ戦隊(撮影=浜野カズシ)

 アンコールでは、「俺たちには夢がある」という想いを投影した新曲を披露。とても明るく軽快に駆ける曲調なのはもちろん、心に輝きも注ぎ込んでいく。これからこの曲が、どのように夢を与える歌として仲間たちと想いを共有していくのか楽しみだ。

 「33歳」では、ふたたび勝手にしやがれの2人と伊東を迎え、演奏。4人編成で演奏した「出会った皆様、我が師匠」でも、会場中の人たちとはしゃぎ続けていった。しかも、一度エンディングを終え、ステージ袖へ引っ込もうとしつつ、急に舞台中央へ踊り、ふたたびエンディングの演奏をおこなうという遊び心を何度も見せた。最後の最後まで、会場に足を運んだ人たちへ、笑顔と活力と生きる糧を与え続けたライブだった。

セットリスト

THEイナズマ戦隊「俺とオマエとサンプラと応援歌」
2019年4月21日@東京・中野サンプラザホール

AC1.ラブレターフロム俺
01.My Generation
02.赤い命が燃えている
03.I love U
04.喜びの歌
05.俺とオマエとサンプラのソロ
06.あぁ バラ色の日々
07.最終列車
08.ワン・ツー・ストレート!!
09.為さねば成らぬぞ!!
10.パーダラ・ブギ ~後悔するにゃ若すぎる~
11.愛じゃないか
12.桜咲くまで俺達は
13.情熱
14.OLD ROOKIES
15.スポットライト
16.バカ者よ大志を抱け
17.オマエ・がむしゃら・はい・ジャンプ
18.俺達の1ページ
19.合言葉 ~シャララⅡ~ 生きててくれてありがとうな
20.応援歌

ENCORE

EN1.新曲
EN2.33歳
EN3.出会った皆様 我が師匠

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