シンガーソングライターの近藤晃央が4月28日、東京キネマ倶楽部でワンマンライブ『賢者はジャッジメントに踊りだして』の東京公演をおこなった。昨年の4月に活動を休止し、2019年に再始動。ツアーは1月6日の名古屋ボトムラインを皮切りに、8月18日の名古屋Electric Lady Landまで6公演をおこなうというもの。3カ所目となった東京公演では未発表の新曲3曲を含む全16曲を披露した。「楽しさをみんなと共有したい」という想いが存分に出た東京公演の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

平成のピークをここに持って来てもらえたら

近藤晃央

 昨年の活動休止から約1年振りとなった本ツアー。過去に小媒体のインタビューでも、これからの活動について悩んでいる様子が度々垣間見れていた。しかし、ライブや音源を聴けばそんなことは感じさせないエネルギーがいつも満ち溢れていた。負のエネルギーを陽に変える、といった感じでもなく、ありのままストレートに今の感情をぶつけているようなステージ。

 活休を経て今の近藤晃央がどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、期待感で会場は溢れていた。開演時刻になりサポートメンバーと近藤がステージに登場し、「心情呼吸」でライブの幕は開けた。一言一言、熱く丁寧に言葉を紡ぐ近藤。時が止まったかのような空間だった。そして、「エーアイ」、「あい」とアップチューンで時が活発に動きだす感覚。この3曲でらしさがすごく出た序盤だったとライブが終わった後、改めて思わせてくれる流れだった。オーディエンスも手を叩き、掲げ、エネルギッシュなサウンドと歌声に応える。

 「ゴールデンウィーク、平成のピークをここに持って来てもらえたら嬉しいです」と、集まってくれたオーディエンスに感謝を告げ、次のセクションは未発表の新曲「無知」を届けた。今までの近藤のカラーとはひと味違ったナンバーは、体全身を使ったパフォーマンスで、アクティブに表現。曲も勿論だが、ステージング一つとっても、今までとはベクトルが違うところにあるのがわかった1曲だ。

 MCを挟み、攻撃的な感情を打ち出したセクションへ。ラテン的なリズムと異国の風を感じさせる「あの娘が嫌い」、続いて、活動休止前のラストライブで初披露した「クレーマー」では、ハンドマイクで自由にステージを動きながら言葉を放った。立て続けにドラムのアグレッシブなリズムがフロアを煽り始まった「理婦人ナ社会」は、エキサイティングな演奏に、鮮烈なメッセージにフロアもヒートアップしていく。

 新曲の「メニメ」は、傷つけられたら傷つけ返す、目には目をの意味と、文字の見た目から“傷=傷”という、近藤らしいダブルミーニングを持つ一曲。サイケデリックで妖艶な響きのなか、悪鬼を振り払うかのように、感情的に歌い上げる近藤の姿は、インパクトがあり、彼の核はこういった楽曲にあるのではないかと感じさせてくれた。

 何でもいい、誰かの一番になりたい…。未発表のバラードナンバー「あたしごとき」では、近藤が椅子に座り叙情的な歌声を響かせる。情景が浮かんでくるその歌声、声と言葉で魅せる表現力の素晴らしさを実感させてくれた。

この楽しさをみんなと共有したい

ライブの模様

 そして、ステージ下手(しもて)にある階段へ近藤が移動し、「ベッドインフレームアウト」を届けた。階段の先にある踊り場には、ダンサーのLena&悠が登場し、楽曲に絵を描くように激しいコンテンポラリーダンスを披露。このダンサー2人はSNSで「ベッドインフレームアウト」をバックに踊っているのを近藤が発見し、自らDMを送り、今回の共演が実現したという。このパフォーマンスを見て近藤は「まだまだ過去の曲を活かしきれてないんじゃないか」と改めて、過去曲の可能性を見つめ直したと語った。

 「色んな人の力を借りて、前よりももっと楽しい形で、成長して帰ってきたいと思ってきました。あなた達も(今までと)一緒じゃ俺だってつまらないよ。みんなももっと近藤晃央を欲しているところを見せてください」とオーディエンスを煽り、ライブはラストスパートへ。この1年間を埋めるかのような盛り上がりを見せたドリーマーズアンセム「ビビリーバー」、立て続けに情熱的な「テテ」と、ライブ鉄板の流れでオーディエンスの身体を揺さぶり掛け、ボルテージは最高潮まで高まった。

 MCで近藤は再スタートを機に別名義で活動しようと思っていた旨を話す。しかし、近藤晃央として活動していくことを決めた理由に「あなたたちが愛してくれた曲が捨てられないから…。その曲が俺も好きなんです。こんなに楽しそうにしている姿見たことないでしょう? この楽しさをみんなと共有したいから、音楽を続けていく所存です」と、強い意志を語り本編ラストは「相言葉」を届けた。この1年間の葛藤と未来への希望を感じさせる歌声にオーディエンスも静かに耳を傾け、その思いを受け止めるなか、本編を終了した。

 アンコールの声に応え、再び近藤とサポートメンバーがステージに登場。「また遊びましょう」と「存在照明」を披露。一度クールダウンしたフロアを再び火を付けるかのように、熱いステージを展開。オーディエンスのシンガロングが会場を包み込んだ。そして、サポートメンバーがステージを去り、残された近藤はアコギ一本、マイクを通さず生声で「らへん」を歌唱。少しでも近くに感じてほしい、ステージギリギリまで赴き、リアルな歌声が直接、オーディエンスの耳へと届けられた。このライブのエピローグであり、これから先の活動への決意表明ともいえる瞬間だった。心地良い余韻を残しながら『賢者はジャッジメントに踊りだして〜第3話〜』の幕は閉じた。

 『賢者はジャッジメントに踊りだして』はまだ序盤戦。最終話となる8月の地元名古屋ではどのようなステージ、どんな感情を我々に見せてくれるのか。新たなスタートを切った近藤晃央のこれからが楽しみとなったライブだった。

記事タグ