ロックバンド9mm Parabellum Bulletが14日、東京・日比谷野外大音楽堂で「~15th Anniversary~『東西フリーライブ』」を開催。同公演は今年結成15周年を迎えたことを記念し、同日と4月21日に大阪・大阪城音楽堂で開催する無料ライブイベント。この日は抽選申し込みの応募が殺到したため、東京公演のみ2回公演に変更されるという反響ぶり。そして9mmはその反応に爆音で応え、野外ステージを爆心地として都心を音で燃やすような、オーディエンス一体となる激熱大盛況の夜をつくり上げた。1公演目の模様を以下にレポートする。【取材=平吉賢治】

ハイ・デジベルの9mm全力疾走公演

9mm Parabellum Bullet(撮影=橋本塁 )

 ノイジーで鋭利なSEが流された瞬間、オーディエンスは直ちにオール・スタンディングで反応した。「Living Dying Message」でスタートした9mmのサウンドは、日比谷野外大音楽堂の“野外”というPA特性を存分に引き出し、静けさに包まれる日曜日の霞ヶ関オフィス・ビル街まで轟音を響かせる。9mmの持つサウンド・ポテンシャルと野音のPAは絶好のマッチング。少なく見積もっても、隣駅の国会議事堂あたりまで音が届いていたことであろう。

 4曲目に披露した「カルマの花環」まで、序盤から激熱の血気・士気・活気。「野音!」と叫ぶ菅原卓郎(Vo)のコールに全員右手を掲げて揺らし応える聴衆。ギターを高らかに上げて気合いを見せる滝 善充(Gt) 、スタートアップから魂のシャウトをうねらす中村和彦(Ba)。そして、ツーバスの鼓動に乗る鮮やかなシンバル捌きでグルーヴを支えるかみじょうちひろ(Dr)のプレイ。

 音という炎で都心を燃え尽くすようなその絶景は、“9mm Parabellum Bullet”という散弾がひとつの塊となり、それらをオーディエンスがフル・ブーストさせ、轟音サウンドをもって野音を蜂の巣にするようだった。老若男女集結したこの日の公演、子供のオーディエンスが「うわぁーい!」と笑顔でライブを楽しんでいた光景はあまりに印象的だった。「赤子に届く爆音」というのもなかなか無いものであろう。

 「みなさんのおかげで2回公演となりました。みんなのパワーでアレ、ブッ飛ばしてくれますか?」と、空を指す菅原。この日は高確率で雨天という天気予報だったが、9mmとオーディエンスが作り上げた灼熱のパワーは、野音に一滴たりとも雨で濡らすことを許さなかった。

 シンフォニックなギターソロが鳴り渡る「Everyone is fighting on this stage of lonely」、美麗なアルベジオからソリッドなアンサンブルに移行する「黒い森の旅人」と、野外ステージで光るセットリストを走らせる9mm、オーディエンスのテンションが落ち着くことは終始、一切なかった。ハイ・デジベルで駆け抜ける全力疾走公演である。

臨界点を突破する音圧・サウンド濃度

9mm Parabellum Bullet(撮影=橋本塁 )

 9月には新しいアルバムをリリース、そして10月からはツアーをおこなうという旨をMCで公表した菅原は、「できれば毎年、野音でやりたい」と、同ステージに対する気概をみせると、恍惚感と期待感に溢れるオーディエンスの声はブワッとサラウンドに鳴り響いた。「急遽2回公演に」というこの日の現象を形にしたような熱い声だ。

 ベースをガンガン振り回す中村のアクションのなかでメロディアスに踊るような菅原のボーカル。その独特な対比からは“9mmらしさ”が垣間見える。15周年という節目を迎えたバンドのアンサンブルの完成度と、その型の臨界点を突破するかの如くライブするサウンドには“限界値”が見当たらない。

 セットリスト後半、「Discommunication」では会場の音という音が高速で瞬き、ギターを放り投げんばかりのアクションで弾き倒す「Termination」では時間軸がねじれるようなサウンド・ステージングを魅せ、全てを叩きのめすような音圧で野音を支配した9mmサウンド。その場にいなければ感じ尽くせない圧・感覚を受け、気が付けば最終曲「新しい光」と、数時間体験したと感じた本公演の実時間は一時間弱という濃度の内容。

 以前、滝が左手の不調からライブ活動を休養した時期に観たライブがある。それは、素晴らしいものだった。しかし、滝も加わるフルメンバーで望んだ15thの9mm Parabellum Bullet日比谷・野音ライブは、別軸でそれを凌駕していた。“爆音の一つの塊”となったものに、強かに打ちのめされた。9月、10月と新たなアクションをみせる9mmの今後の活躍に対し、期待の念を禁じ得ようがない。

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