BEGINが4月4日、東京・中野サンプラザで全国ツアー『第23回BEGINコンサートツアー2019』の追加公演をおこなった。ツアーは昨年リリースされた20枚目のオリジナルアルバム『PotLuck Songs』を引っさげて、1月14日の神戸国際会館こくさいホールを皮切りに、追加公演含め全18公演をおこなうというもの。その追加公演となった本ライブは『PotLuck Songs』の曲を中心に届けた1部、マルシャメドレーと題したカバー曲含むメドレーの2部と、自由で開放的な空間を作り出し、訪れたオーディエンスを魅了した。以下にそのライブの模様をレポートする。【取材=村上順一】

リクエストを交えた1部

BEGIN

 中野サンプラザには、穏やかなBGMでゆったりとした空気が漂う。開演時刻になりメンバーがSEに乗ってステージに登場。比嘉栄昇(Vo)は追加公演への感謝を述べ、「リビングに居るような心持ちで今日は宜しくお願いします」と話し、「バンドを組もうよ」でライブの幕は開けた。1部はニューアルバム『PotLuck Songs』からの曲を中心に演奏。1曲ずつ曲にまつわるエピソードを話しながら、アットホームな空間を作り上げた。メインボーカルを島袋優(Gt&Vo)が務めるノンフィクションのナンバーだと話す「久茂地川に陽が昇る」、上地等(Pf&Vo)が歌う「君がいて良かった」と、3人の人間性が反映された心地よい揺らぎを与えてくれた。

 メンバーのトークが長くなりそうな雰囲気になると“巻き”の合図を出す比嘉。それはスムーズにライブをやってみたいというものだったが、それは早くも叶わず諦め、初めてきた観客から聴きたい曲を募ることに。会場から飛び交う様々な曲のタイトル。比嘉の耳に止まった中から2004年リリースのシングル「誓い」、1stアルバム『音楽旅団』から「SLIDIN’ SLIPPIN' ROAD」を演奏。予定調和ではない、なんとも自由で緩い進行で、ホールでのライブとは思えない近さを感じさせてくれた。これが観客の心をより引き寄せたのは確かだ。

 饒舌なトークを楽しみながら、一際ブルージーな「網にも掛からん別れ話」や、デビュー曲「恋しくて」でしっとりと届け、観客の耳に幸せを運んでくるよう。幅広い音楽性を見せるが、BEGINの味や魅力はそのままに、あっという間の約1時間で、軽快なビートに身体を揺らし、クラップ(手拍子)を誘発した「笛」で1部を終了。

マルシャメドレー

 2部はマルシャ・ショーラ(※ポルトガル語で行進を表す言葉)にちなんで「マルシャメドレー」と題し、カバー曲も含めたノンストップメドレー。これがただのメドレーではなく、音楽が如何に健康にも良いのか、運動量を実証する面白い試みも盛り込まれている。最新のデジタル技術!? を使用したハイテクさを売りに、この中野サンプラザから、28曲を完走するまでにどのくらい距離を進めるのかシミュレートしていくという、一風変わったお楽しみ企画とともに「マルシャメドレー」はスタート。

 メドレーは3ブロックに分け、女性ダンサー2人も加わり、趣きを変えながら進行。第1ブロックは「夢をかなえてドラえもん」や、ジブリアニメ『となりのトトロ』の「さんぽ」など、子ども達にも人気のナンバーを散りばめ、客席最前列、ステージギリギリまで観客の子ども達も集まり、体を動かし演奏を楽しむ姿が見れた。堅っ苦しいルールなどここには存在しない。そんなことを感じさせてくれたステージだ。

 2ブロック目は80年代の“懐メロ”を中心に展開。メインボーカルも変えながら、松山千春の「長い夜」やチェッカーズの「ジュリアに傷心」など50代以上のオーディエンスには青春時代を思い出させてくれるセットリスト。要所に「中野坂上」など、どこまで進んだか現在地点を報告。まだ見ぬ目的地へ向けて、オーディエンスもビートに乗って足を動かし、手を掲げ体全身を使って楽しむ。

一緒に乗り越えましょう!

BEGIN

 そして、最後の第3ブロックは少しテンポを落とし、ラストスパートへ向け嵐の前の静けさとも言える楽曲も交えて進行。「上を向いて歩こう」や「海の声」などの聴かせる曲も盛り込みつつ、比嘉が「今が一番きつい時です。一緒に乗り越えましょう!」と投げかける場面も。メドレーもラストスパートに突入し、アルバム『PotLuck Songs』に収録の最速ナンバー「ソウセイ」で会場のボルテージはMAXに。手の花が勢いよく咲くような快活な景色がそこには広がっていた。

 ラストはしっとりと「涙そうそう」でクールダウン。観客は言葉一つひとつに耳を傾け、ここまで完走した自分たちを労ってくれるような1曲となっていた。そして、ここでゴールとなった場所が発表された。その場所は「明治神宮」で7400歩、距離にすると5.7kmという数字に、会場からは歓喜の声が上がった。ちなみに全国ツアーを廻ったダンサーの総距離は20万7150歩で145km、中野サンプラザから富士山までの距離に相当するという結果になった。

 アンコールでは1部で聞いたリクエスト曲から披露することに。「三線の花」や「オジー自慢のオリオンビール」、「春にゴンドラ」など珠玉のナンバーたちを次々に届ける。お客さんが聴きたい曲を臨機応変に演奏出来る、バンドの理想像がここにはあった。トークもユーモアを交えたバリエーションの豊かさで飽きさせない。どの会場でもBEGIN色に変えてしまう圧倒的な存在感。何よりもみんなで楽しもうという精神が会場全体から溢れていた。「島人ぬ宝」で感じる多幸感は唯一無二だ。そして「1回観たら、『もう1年は観たくない』と思えるようなライブを心掛けています」と、比嘉のライブへ臨むスタンスを告げ、ラストに「君の歌はワルツ」を届け、約3時間、濃密な時間となった『第23回BEGINコンサートツアー2019』の幕は閉じた。

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