若手ラッパーの日本一を決めるフリースタイルバトル『BSスカパー! BAZOOKA!!! 第15回 高校生RAP選手権 in TOKYO』が3日、東京・新木場STUDIO COASTでおこなわれ、東京・品川出身の百足(ムカデ)が優勝。大会後に取材に応じた百足は「驚いています。実感がない」と初の栄冠に自身でも驚きを隠せなかった。

 年に2度開催されている大会。この日、全国のオーディションを勝ち抜いた16人がステージに立った。個性派が揃った今大会は波乱。前回覇者のHARDYがベルに、第12回覇者のNovel CoreがMOGURAに敗れる番狂わせ。決勝に駒を進めた藤KooSも、ジャーナリストを目指す社会派のMOGURAに苦戦を強いられる展開だった。

決勝、藤KooSと百足(C)BSスカパー!BAZOOKA!!!第15回高校生RAP選手権 in TOKYO

 接戦に次ぐ接戦で、審査員も「きょうは素晴らしい試合が多い」と絶賛。そうした激戦のなかで優勝を手にしたのは、ゼロゼロ世代で最強の呼び声が高い百足。藤KooSとの決勝戦は一瞬の隙を逃さず、勝利を呼び込み、初の栄冠。

 大会を振り返り審査委員長を務めた、漢 a.k.a GAMIは「大会を増すごとに出場者のスキルが上がっているのが分かる。このまま高校生には日本の将来のラップを期待したい」と総評した。

出場者(C)BSスカパー!BAZOOKA!!!第15回高校生RAP選手権 in TOKYO

 百足は大会後、囲み取材に応じた。第13回・第14回大会は予選落ち、本戦会場の横で泣いていたという彼にとって悲願の本戦初出場にして初の優勝。「驚いています。実感がないです」と喜びを噛みしめた。

 「ゼロゼロ世代」の一角を担う百足。出場者のなかには過去に別イベントで対戦し、勝利した経験があることから「余裕を感じていた」ようだが、「ふと、負けた時の事を考えてやばいなと焦りはありました」という。百足はこう振り返った。

 「余裕と感じていたけど、1回戦が始まって、楽屋でみんなの笑いが無くなった瞬間に余裕でいるのは俺だけだ…と。ちょっかい出したりしていたけど、試合始まった瞬間に『そうじゃないから』とガキを見る目でさげすんできて…」

 戦いは既に楽屋でも始まっていた。

 そんな彼がヒヤッとしたのが初戦の相手、ZERO-CORE。「周りからはダークフォースと言われていて、彼のことは知らなくていけるだろうと思っていたけど、延長になってそこで『負けるかも』と焦った。なんとか火事場の力で勝ったけど…。自分は韻で攻めたり、乗り方で戦うけど、彼はフロウ重視で戦いにくかった」と振り返った。

 そうした状況でも乗り越えられたのはメンタル面だという。「『負けるかも』と思うとメンタルをやられてしまって返せなくなるので、『優勝』と思ってラップをしていたら、調子が良くなった」と、気負いせずに取り組めたことも勝因の一つとした。

 普段から仲が良いという藤KooSとの決勝は「ワンバース目で聴いたときに不調だなと思って、そこをついてバンバン行こうと。そうしたら押されていたからツーバース目から優勝を確信して」と相手を熟知しているからこそ、ほんの一瞬の隙を逃さなかったとした。

 また、自身が「ベストバウト」と挙げているのは韻マンとの対戦。韻を猛烈にぶつけてくる韻マンに対して、トラップに乗って勝負。

 「会話ができないし、普通だったら揚げ足を取るけど、バンバン韻を踏まれたらなんて返せばいいだろうと。しかも彼の韻は返せない。延長でトラップビートが流れたから乗り方で勝つしかないと思った。さすが韻を踏むやつはトラップは乗れないだろうと思ったけど、韻を踏んで乗ってきたらから…。ギリギリで勝ちました」

 激戦をそう振り返った。

 ラップを始めたきっかけがこの選手権だったとも語った百足。大会出場資格は今回まで。最後の大会でNovel CoreやHARDYらライバルとも戦いたかったと名残惜しみながらも、今後は「音源制作に集中したい」。その目は輝いていた。

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