Wakana「約束を持って生きなければいけない」ファンへ届ける“声”のお返し
INTERVIEW

Wakana「約束を持って生きなければいけない」ファンへ届ける“声”のお返し


記者:榑林史章

撮影:

掲載:19年03月25日

読了時間:約11分

誰かと一緒に制作する喜びを感じた1stアルバム

Wakana

――また1曲目の「約束の夜明け」を代表に、アルバムの歌詞には<約束>という言葉がたびたび登場します。Wakanaさんの中で、<約束>という言葉はどういう意味を持ちますか?

 自分が歌えているのは、みなさんがいてくれるからで、たくさんの方に支えていただくことで成立していると思っています。なので「約束をする」という感覚よりも、自分としては「約束を持って生きなければいけない」と自分の中に持って、肝に銘じて生きていくことという感覚です。そして、その約束を今果たしたいと願っています。「約束の夜明け」は、実際にそういう思いが表れた曲になったし、アルバムの幕開けであるという気持ちも込めて、1曲目にしました。

――<目の前で踊る君が>や<星の子供が>といったフレーズもあって、ライブ会場でのファンの様子も浮かびました。

 なるほど。いろいろな受け取り方があっていいと思います。正直なところ歌詞は、メロディからインスピレーションを受けて、メロディに対する言葉として綴っているものが多いのですが…。決してそれだけとは言い切れない部分もあって。ベースには等身大の私がいるので、意図していなかったとしても、きっと自分の思いが自然と言葉に乗っているのだろうと思います。

 実はこの<子供>は、私の中では、胎児のことを表しています。胎児が真っ暗なお腹の中で、記憶を呼び起こしているメージです。そして命と宇宙は繋がっているとも思ったので、最初は子どもで大人になって消えてまた生まれるという、命のサイクルと星のサイクルをリンクさせました。2番以降では、嘘や偽りを閉じ込めて、子供のようにきれいなままでいたいと歌っているのですが、後半のメロディが盛り上がっていくところでは、気持ちを思い直して「この世界に飛び出していくことが、自分の運命でやるべきことだ。今、生まれよう」と、歌っています。

――また「僕の心の時計」は、同じメロディの繰り返しが、まるで同じ時を繰り返しているようなイメージで、曲としてとても面白い作りですね。最後にメロディが変わり歌声も力強くなり、<大丈夫>という歌詞が出てくるところからも、グループの活動休止から、思い出したり振り返ったりすることもありながら、昨年のツアーで止まっていた時間が、また時を刻み始めたというイメージも想起させます。

 武部さんが送ってくださるデモは、最初はピアノのメロディだけなんです。最初に聴いたときは「不思議な曲だな」と思っていて、武部さんは繰り返しの部分を指して「呪文ソング」とおっしゃっていました(笑)。それを何十回と聴きながら歌詞を書いていったのですが、辻褄合わせをするのも難しくて、思ったことを素直に言葉にした感覚です。

 時間というものは常に進んでいるけど、人間だけは思い出すという行為で時間を戻ることができると書いています。それは私が音楽活動をおこなう中で感じたことでもあるし、ファンの方と接してきた時間にも通じると思うので、ツアーでみんなにそれを伝えたいと思って、書いている部分も含まれていると思いますね。

――この曲に限らず、ウーアー系のコーラスがたくさん入っていて。コーラスやハモりをお一人でやったのは、いかがでしたか?

 とても新鮮でした。特に武部さんのやり方は、主旋律を録りながら「ここにコーラスを入れたい」と言って、目の前でパッと五線譜に書いて、「じゃあこれを歌って」というスタイルなんです。急に対応しなくちゃいけないので「アワワ」となりましたけど、コーラスを重ねたものを聴くと感動したし達成感もあったし、とても勉強になりましたね。

――また「流れ星」では、Wakanaさんご自身もティンシャとレインスティックという楽器で演奏に参加しています。

「Wakana」初回限定盤A

 ティンシャというのはチベットの楽器で、小さなシンバルみたいなベルがふたつ付いている楽器です。「流れ星」のイントロで鳴るチーンという音などがそうです。レインスティックは、波の音や雨音が再現できる小さい筒状の楽器で、サンドパーカッションとも呼ばれています。傾けすぎると中の粒がザッと一気に流れてしまうので、加減が難しかったですね。

 今回は、どの楽曲もリズムトラックを録る段階から、すべてのレコーディングのプロセスを間近で見させていただきました。「流れ星」での演奏参加は、プリプロを録ったときに、スタジオでShusuiさんが「こんな楽器もあるよ」と持ってきてくださったのがきっかけです。「金木犀」や武部さんとの曲では、バンドさんのレコーディングのときに仮歌で参加させていただきました。ボーカルの本番は別の日なのですが、生のボーカルを聴きながら録るほうが、演奏全体のグルーヴがひとつに整うんですね。そうして一行程ごとに、曲に対する思い入れがどんどん深くなって、誰かと一緒に制作するよろこびをたくさん感じることができました。今作では武部さんやShusuiさんの他にも、たくさんの方と制作して、いろんな作曲家さんと制作すると本当に勉強になるなと実感しました。

――Wakanaさんにとって、歌うということは一人ではできないものなのでしょうね。

 音楽はみんなで楽しんだほうが、より楽しいです。私ができることはまだまだ小さいので、これからもっと大きく広げていきたいという気持ちもあります。

――そして4月4日からは、『Wakana LIVE TOUR 2019 ~VOICE~』を開催します。ツアーに向けては、どんなお気持ちでしょうか。

 私という一人の人間の声を、みなさんに聴いていただいて、それを表明するツアーにしなければいけないという思いから、『VOICE』と付けさせていただきました。私自身もお客さんとしてさまざまなライブに足を運びますが、やっぱりリラックスして一緒に口ずさんで楽しむことも、ひとつのライブの形だと実感します。同時にやりたいように自由に楽しむのも、またひとつの形です。私の中にあるライブの形を、みなさんと一緒に作っていけたらいいなと思います。

 昨年の秋のツアーでは、オフコースさんの「秋の気配」という曲をカバーさせていただきました。今回もアルバムの曲はもちろん、カバー曲も披露させていただこうと考えています。カバーの選曲も楽しみにしていてください。

――ツアーグッズも楽しみです。Wakanaさんがお好きなサメをモチーフにしたものも出されるんでしょうね。

 今でも伝説的なのが、サメをモチーフにしたネックピローで、好評につき再販に再販を重ねて、通販で1日300個の注文を受けた記録があります。今回ももちろん作りますので、どんなものになるのか、これもぜひ楽しみにしていて欲しいです。

(おわり)

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