4人組ロックバンドのLAMP IN TERRENが3月16日、東京・恵比寿LIQUIDROOMで全国ツアー『LAMP IN TERREN ワンマンツアー2019 「BABY STEP」』のツアーファイナルをおこなった。ツアーは昨年12月にリリースされた4thアルバム『The Naked Blues』を引っさげて、2月16日の福岡BEAT STATIONを皮切りに、全国8カ所を回るというもの。『The Naked Blues』の曲を中心に「innocence」などアンコール含め全17曲を熱演。更にこの日、7月28日に東京・日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブ『日比谷野音ワンマンライブ「Moon Child」』の開催も発表された。最高傑作を引っさげたツアーファイナルの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

ここに集まった全員と俺ら4人が一つのバンド

松本大(撮影=浜野カズシ)

 会場が暗転すると、幕が開きそこには4人の姿があった。ステージは薄っすらと明かりが灯るなか、何か違和感を感じさせていた。それはメンバーの立ち位置、大屋真太郎(Gt)が下手(しもて)、中原健仁(Ba)が上手(かみて)といつもとは逆。そして、川口大喜(Dr)も少し内側にドラムセットを向けたセッティング。松本大(Vo.Gt)はキーボードにスタンバイし、クールな和音が印象的で、アルバムでもオープニングを飾った「I aroused」でツアーファイナルの幕は開けた。静かに燃え上がらせるような、内面から湧き上がらせてくれる1曲だ。

 後方の壁には“Lamp In Terren”のネオン管が存在感を放つなか「New Clothes」と流れ込み「最高の1日にしましょう!」と透明感溢れるナンバー「Water Lily」へ。松本は小媒体のインタビューで、昨年はまだ自分の声を上手くコントロールできていなかったと吐露していた。しかし、このステージは違った。自由に表現する松本の姿があった。「様変わりした姿を証明しに来ました」この言葉に偽りはなかった。

中原健仁(撮影=浜野カズシ)

 松本の威勢の良い「遊ぼうぜ!」の投げかけから始まった「Dreams」はオーディエンスも手を掲げ、バンドの放つエネルギーに応えていく。「ここに集まった全員と俺ら4人が一つのバンドです」、MCで話したその言葉を体現しているかのような瞬間だった。続いての「at(liberty)」では、感情の押し出し方が以前とは比べものにならない感覚を与えてくれた。ガムシャラとはまた違う、届けるという概念の変化を感じさせた。その松本の歌に応えるかのような演奏のエネルギーも凄まじいものがあった。

 ダークな世界観で良い意味でロックのけだるい部分を感じさせるミディアムナンバー「亡霊と影」、中原のベースが存在感を放つ「凡人ダグ」とニューアルバムからの曲を立て続けに披露。圧巻の演奏にフロアは静寂に包まれる。着ていたジャケットを脱ぎ、松本は「良い静けさ」と言葉を漏らし「heartbeat」へ。以前よりもバンドサウンドはラウドになっているのを感じさせ、それは「innocence」でも感じることが出来た。意識の変化や経験が生み出したサウンドでオーディエンスを扇情させていく。

 場面は一転し、宇宙を感じさせるシンセサイザーのサウンドが会場を包み込み、深い闇へと誘い込む「Beautiful」。楽曲が進むにつれ、闇を飛び越え、いつしか美しい光を掴むような1曲だ。そして、松本が自分自身と向き合い正直になれた一曲で、『The Naked Blues』の制作にもキーとなった「花と詩人」。日々変わっていく感情によって、この曲の響き方も変化していく。そんなことを強く感じさせたパフォーマンスだった。

 MCではこのツアーでの思い出を話すメンバー。この話を聞いていると、あっという間の1カ月間でツアーが充実していたことが、伝わってきた。緩い空気感で今までとはMCの趣きにも変化。松本のギターサウンドから「キャラバン」に突入。オーディエンスのシンガロングも盛大に鳴り響き、ライブならではの一体感に包まれた。

 そして、ストレートに愛を伝える、バンドの中でも最速のナンバー「オーバーフロー」は先ほどのシンガロングのデシベルを更新。続いて「身体で歌って下さい!」と盛り上がり必至の踊れる1曲「地球儀」へ突入。フロアは体を弾ませ盛り上がる中、松本と大屋が体を寄り添い、サビを一緒に歌い上げ、この曲で定番となった松本がフロアに降り、オーディエンスに囲まれるなか熱唱。「理想像や現実から解放されるのが僕の最大の願い」と以前話していたことが、徐々に形になってきていることを、このパフォーマンスから感じさせてくれた。

本当の意味で自分達が生まれ変わったツアーでした

 『The Naked Blues』のインタビューで松本が、「僕らは太陽にはなれない、でも月にはなれるんじゃないか」と話していたことが、筆者の心に強く残っていた「月のこどもたち」。自分自身と向き合い、出したひとつの答えがこの曲には詰まっていた。静かな決意が感じられた一幕だった。

大屋真太郎(撮影=浜野カズシ)

 そして、松本は語る。

 「自分に足りないと思っているものを探して、音楽を作り歌を歌って来ました。理想の自分になれればそれが叶うと思っていた。けど、理想に近づけば近づくほど、空っぽになる自分に気づき、だんだん歌っている、曲を書いている、存在している意味がわからなくなって、気づいたら自分のことを嫌いになっていたなと思います。音楽やバンドが好きだし、どうやったら聴いてもらえるか、歌い続けていられるか、考えた先にあるのは自分がやっていること、自分をこの世で一番と信じること。自分に足りないものは自分を愛する事でした」。

 「胸を張って言います、このバンド、今の自分が大好きです。これからも歌い続けて行こうと思っています。それが叶うと思っています。本当の意味で自分達が生まれ変わったツアーでした。苦しいこと、辛いこと、挫折しそうになることがあると思うけど、一つだけちゃんと示しておきたい、もっともっと自分達を好きになれるような、背中を押せるような音楽を歌って、鳴らしていきたいなと思います」。

川口大喜(撮影=浜野カズシ)

 「だから今、その背中を押します」と告げ、「BABY STEP」を披露。自分をもっと好きになって欲しい、そんな思いが存分に詰まった一曲を全身全霊で歌い上げる松本。感情を揺さぶり掛ける音でオーディエンスを魅了し感謝を述べる。

 「当たり前にはアンコールはやらない――」現在そのスタンスを見せているLAMP IN TERREN。アンコールを求めるオーディエンスのシンガロングと声に再びステージに登場。本編に全てを注ぎ込んでいる彼らはアンコールの曲は決めてはいない。松本は「普通にやるのはつまらない」と、歌から始まった「緑閃光」。「自分のことを嫌いだという人がいても、俺らの音楽を愛してくれた人たちを俺たちが全力で愛します」と間奏でメッセージを放つ。<ここに居る意味も君がいないとわからなくなりそう>と歌詞を変えたこの言葉が重く心に響く。松本は「人生で一番緊張した日でした。でも楽しかった」と述べ、ツアー『LAMP IN TERREN ワンマンツアー2019 「BABY STEP」』は大団円を迎えた。

 「一緒に向かっていくのではなく、LAMP IN TERRENが作ったものを観に、聴きに来てほしい」とメッセージを綴った7月28日に開催される『日比谷野音ワンマンライブ「Moon Child」』は、昨年とは全く違った姿を見せてくれることだろう。

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