声優で歌手の内田彩が8日、Zepp Tokyoでライブイベント『AYA UCHIDA LIVE 2019 ~Take it easy~』の東京公演をおこなった。ソロライブとしては昨年夏におこなった全国ツアー『AYA UCHIDA LIVE TOUR 2018 ~So Happy!!!!!』以来。この日は、内田が「みんなが魔法をかけてくれて、いつもと違う自分が出せる」と語ったように、歌手として全17曲の熱いステージを届けた。【取材=桂 伸也】

“のんびりしたセットリスト”でも熱狂

内田彩(撮影=青木早霞)

 声優としても現在、様々な作品に現在引っ張りだこの内田だが、歌手活動としても6日に最新シングル「Sign/Candy Flavor」をリリースしたばかり。

 3月に入り、続いていた雨はこの日止んだ。空は青く澄みわたり、清々しく春の到来を感じさせていた。そんな日に披露された、この内田のライブ。彼女の歌声、そしてパフォーマンスは、その暖かい空気とオーバーラップするような感覚すら覚えさせていた。

 パステルカラーに彩られたステージ。背面には宙に浮かぶキャンディーのモニュメント、セットには大きな犬のぬいぐるみが座ったソファーが左に、そしてベッドが右に設置されていた。さらにハート型の風船、棒付きキャンディーなど、その色使いも含めポップな雰囲気を漂わせる。久々に披露されるライブだけに、会場のスタンディングフロアは開場より程なくいっぱいになり、それぞれがペンライトを手に嬉しそうな表情を見せ、今か今かと内田の登場を待ちわびていた。

 そして、開演時間を少し過ぎた頃、フッと会場の明かりが落とされると、フロアからは「おーっ!?」という大きな声が流れる。そしてダンサブルなSEにのってバンドマンたちが登場、最後に真っ赤なミニスカートのドレス姿の内田が登場し、観衆は大きな声を上げた。オープニングは最新シングル曲「Candy Flavor」。しっとりと落ち着いただけの風でもなく、逆に激しく頭を振るような音でもない。リズミカルながら繊細なハーモニーが、徐々に観衆の気持ちを温めていく。そして緑とピンクのペンライトが会場を染める中、内田は満面の笑みで、みんなの気分をウキウキさせる歌を披露していく。

 久しぶりのワンマンライブに、ステージに登場する前には緊張もあったと語る内田だが、ステージから大勢の観衆を見てそれは喜びに変わったという。そんな観衆の熱狂ぶりに思わず「もう暑いの? のんびりしたセットリストにしたのに…」と、嬉しい戸惑い。

 そして、この日のステージタイトルにもある「Take it easy.」=「気楽に行こう」を観衆に勧めつつ、さらにアクティブにステージを進めていく。「What you want!」から「So
Happy」へ、徐々にリズムも躍動的になり、観衆の気分も高揚してくる。そんな会場の雰囲気に内田も「楽しくなりすぎて、息が苦しくなってきたよ」と、思わず笑顔でへたりつきながらも、歌となれば元気なパフォーマンスを披露していった。
 中盤からは、間もなく訪れるホワイトデーの話より「キックとパンチどっちがいい?」と、少し趣を変えた展開。なんとも衝撃的なタイトルだが、内田が歌えばそれすら楽しい一時の演出、そして歌詞の一つひとつまで暖かい空気を感じさせる。続けて「いざゆけ!ペガサス号」「Holiday」と、アットホームな雰囲気から、一気にロックンロール・テイストへ。観衆の動きもそれに追従してさらに激しくなり、会場の空気を熱くしていった。

“新たなワクワク”を予感させる区切りの時

内田彩(撮影=青木早霞)

 8曲を歌い終えると内田は一度ステージを降り、ステージはバンドのセッションタイムに。ロック魂むき出しのプレイに会場が興奮した後には、白のスカートに青のトップス姿へとお色直しした内田が再びステージに登場。雰囲気をガラリと一変させ、新曲の「Sign」を披露する。切なさを秘めたマイナーキーのこのバラードは、元気な曲が多い内田の曲の中では珍しい部類のものとも感じられるが、時にステージを左に、右にと忙しく動き回り、アクティブなパフォーマンスを見せていた彼女ともまた違う新鮮な雰囲気を感じさせていた。

 しかし、この曲が終わると、ステージは一気にクライマックスに向けて駆け抜ける。ディストーションのかかったギターがガツン! とかき鳴らされると同時に、フロアからは大きな歓声が響く。

 そして「Sweet Rain」「Ordinary」とキラーナンバーが続く。「ここからはラストスパート! 声出していけますか!?」内田の呼び掛けに、観衆は大きく応える。そしてバイオレットのペンライトの海の中で飛び込んだ「SUMILE SMILE」より、ラスト曲「Say Goodbye, Say Hello」と、熱狂のステージ。最後は会場揃ってのジャンプでしっかりこの日のステージを締めくくった。

 アンコールでは、内田はこの楽しかったライブへの礼とともに、自身の思いを語る。「ライブだと、みんなが魔法をかけてくれる気がするんです。いつもの私じゃない自分が出せる気が…」今後への意気込みとも見られるこのコメントを残し、彼女は、いつもの溢れんばかりの笑顔とともに、何度もステージの礼を告げながらステージを去った。

 前回のツアーから約半年ぶりと、ファンにとってはまさに“待たされた”ライブということもあったのだろう。ステージのひと時は、文字通り「あっという間」に過ぎていった。またライブでも時折内田は語っていたが、平成という時が、いよいよ終わりを告げる時が近づくタイミングでもある。その意味でもこの日のステージは、何か一つの区切りを感じさせるものとなった。

 内田のどこまでも届くようなハイトーン、それでいてしっかりと自身のカラーを織り交ぜた歌は、彼女ならではの魅力の一つだ。そんな変わらない自身のキャラクターを残しつつ、気持ちがワクワクしてくるような雰囲気で始まったこの日のライブは、今後また彼女が何か大きな変革を見せてくれるのではないか? そんな予感を抱かせてくれるようなパフォーマンスだった。緑の時、そして暑い夏に向けて、内田は次にどんなワクワクを、みんなに提供してくれるだろうか。大いに期待したいところだ。

セットリスト

内田彩『AYA UCHIDA LIVE 2019 ~Take it easy~』東京公演
2019/03/08 @Zepp Tokyo

01. Candy Flavor
02. What you want!
03. Floating Heart
04. Everlasting Parade
05. So Happy
06. キックとパンチどっちがいい?
07. いざゆけ!ペガサス号
08. Holiday
09. Sign
10. Sweet Rain
11. Ordinary
12. SUMILE SMILE
13. Say Goodbye,Say Hello

encore

EN01. ドーナツ
EN02. キリステロ
EN03. アップルミント
EN04. Merry Go

記事タグ