セカイ系おしゃべりJPOPユニット・ポップしなないでが3月4日、東京・渋谷WWWで主催イベント『ポップしなないでpresents.「冗談」』をおこなった。ライブはMaison book girl、Wienners、集団行動、ポップしなないで、計4組でおこなうというもの。一癖も二癖もあるアーティストたちによるイベントは、芸術度が高い音楽で終始溢れていた。主催であるポップしなないでは「今日出演したバンドやグループとの共通項を見つけてもらえたら嬉しい」と話した、イベントの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

Maison book girl

Maison book girl(撮影=稲垣謙一)

 トップバッターは、ポップしなないで・かわむら(Dr)と縁が深い、ニューエイジ・ポップ・ユニット・Maison book girl。ストロボが瞬くなか、けたたましく鳴り響く核磁気共鳴によるノイズ。そのなかを矢川 葵、井上 唯、和田 輪、コショージメグミの4人がステージに登場。床に寝そべり、クラップに合わせ1人ずつ起き上がっていく。オープニングを飾ったのは、浮遊感のあるアンビエント系のサウンドが印象的な「夢」。夢の中を浮遊するかのような振り付けと、透明感のある優しい歌声で魅了した。

 変拍子を取り入れた独特な世界観の楽曲に合わせた振り付けは、曲の持つ情景を可視化し耳だけでは感じ取れない、新たな印象を与えてくれる。「faithlessness」では、畳み掛ける<裏切られて>の言葉にゲシュタルト崩壊を起こさせるインパクト。

 続いての「townscape」では童歌でみせるような振り付けが印象的で、日本に根付く遊び心を感じさせてくれた。ラストの心踊らせる「karma」までMCを挟むことなくノンストップでパフォーマンスし、そのステージはショートムービーでも観たかのような感覚を与えてくれるオリジナリティあふれるステージ。4人が表現する芸術的な世界観で、オーディエンスを楽しませた。

セットリスト

01.fMRI
02.夢
03.rooms
04.faithlessness
05.townscape
06.最後のような彼女の曲
07.karma

Wienners

Wienners(撮影=稲垣謙一)

 2組目は∴560∵(Ba/Cho)、アサミサエ(Vo/Key/Sampler))、玉屋2060% 、KOZO(Dr)による4人組バンドのWiennersが登場。玉屋2060%が「爆音でぶち上がっていきませんか?」と投げかけ、「恋のバングラビート」でステージの幕は開けた。幅広いジャンルからエッセンスを取り入れ、シンセのサウンドをアクセントに、ただのロックバンドでは終わらせないセンスを感じさせる楽曲たち。

  4つ打ちのビートでフロアを煽った「VIDEO GIRL」。しかし、一筋縄ではいかない展開で飽きさせない。良い意味で節操のない演奏はワクワク感を与えてくれる。

 MCではコミュニケーションを取るのが苦手だと話していたが、そんなことは感じさせないトークと、ロックの持つ衝動的なサウンドにポップセンスを散りばめたアレンジで、ガッチリとオーディエンスの心を掴んでいたWienners。「自分が好きだと思うものを貫いてください」と投げかけ、無条件に体が反応してしまう代表曲のひとつ「蒼天ディライト」、「LOVE ME TENDER」でボルテージは最高潮。ラストは紅一点のアサミサエがメインボーカルを務めるナンバー「愛鳥賛歌」で、最高の空間を作り上げ、集団行動へ繋いだ。

セットリスト

01.恋のバングラビート
02.TRADITIONAL
03.VIDEO GIRL
04.南無阿弥陀仏のリズムに乗って
05.蒼天ディライト
06.LOVE ME TENDER
07.愛鳥賛歌

集団行動

集団行動(撮影=稲垣謙一)

 3組目は真部脩一(Gt.)、齋藤里菜(Vo.)、 西浦謙助(Dr.)、ミッチー(Ba.)の4人からなる集団行動。王道ポップスとしての新しいスタンダードを作ることを目指すバンドだ。齋藤による「こんばんは、集団行動の時間です」の言葉から、4月3日にリリースされるニューアルバム『SUPER MUSIC』のオープニングを飾る表題曲「SUPER MUSIC」でスタート。懐かしさを感じさせるディスコティックでファンキーなナンバーで、グルーヴィーな空間を作り上げ、オーディエンスの体も弾む。

 続いてもニューアルバムから真部のギターリフが印象的でテクノポップのようなニュアンスも感じさせる「テレビジョン」齋藤の<ぐるぐる巻きにしてやるよ>の一声で始まりギャップを感じさせる1曲「ぐるぐる巻き」と3曲を立て続けに披露。MCではCHAGE and ASKAの「SAY YES」が流れ、ドラマ『101回目のプロポーズ』のパロディでミッチーが「ポップは死にましぇん!」と、オーディエンスの笑いを誘っていた。

 続いて、オーディエンスもクラップで一体感を作り上げた「充分未来」、そして「ザ・クレーター」、「ホーミング・ユー」とバンドのレベルの高さを感じさせるプレイ。ラストはリリカルな世界観を持つミディアムナンバー「バックシート・フェアウェル」。このステージのエピローグのようにしっとりと音が紡がれていく。これで終わったかと思いきや西浦によるカウントから「鳴り止まない」で、シンガロングしたくなるメロディで盛り上げ、ポップしなないでへバトンを繋いだ。

セットリスト

01.SUPER MUSIC
02.テレビジョン
03.ぐるぐる巻き
04.充分未来
05.ザ・クレーター
06.ホーミング・ユー
07.バックシート・フェアウェル
08.鳴り止まない

ポップしなないで

ポップしなないで(撮影=稲垣謙一)

 大トリは今回主催を務めたポップしなないで。元気よく颯爽とステージに登場したかめがい、そのあとをゆっくりとステージに現れたかわむら。登場から対照的な2人は楽器の置いてある場所にスタンバイ。オープニングを飾ったのは、今回共演したMaison book girlの和田輪がMVに出演し話題となった「魔法使いのマキちゃん」。出だしから気持ち良さそうな表情でキーボードを奏でるかめがい、クールなリズムにスコーンと抜けるスネアの音が、一際心地良いかわむらのドラミング。

 2人というミニマムな編成だが、最大公約数を常に打ち出し、そのエネルギーでオーディエンスを巻き込んでいく。吉幾三を彷彿とさせる頭のラップと、エネルギッシュな歌と演奏で会場を満たした、遊び心満載の「エレ樫」と、序盤から強烈なインパクトを放つ。

 かわむらは「今日出演したバンドやグループとの共通項を見つけてもらえたら嬉しい」とこの日のイベントの意味を各々感じて欲しいと話す。「新曲を作ってきました」と、タイトなドラムから始まった「救われ升」。“セカイ系おしゃべりJPOP”と呼ばれる所以なのか、情報量の多さが圧巻のトーキングスタイルの歌から、サビではかめがいとかわむらによるツインボーカルでメッセージを紡いでいく。そのダイナミックな演奏に、オーディエンスも手を掲げ盛り上がった。

 赤と青のライティングは動と静のイメージを与えるなか、パワフルで伸びやかな歌声が印象的だった「Creation」を披露。これでもかと畳みかけるリリックの波状攻撃。絶妙なコードワークと安定感のあるビートに病みつき。

ポップしなないで(撮影=稲垣謙一)

 昨年リリースしたミニアルバムから「言うとおり、神さま」を披露。エモーショナルな始まりは、感情を揺さ振りながら、我々を深い世界へといざなってくれる。ブレイクからかめがいのカウントで本編に突入。さまざまなワードが雨のように天から降り注ぎ、オーディエンスはどの言葉も浴びるように堪能。

 かめがいは「踊れるような曲で終わりたいと思います。いけ!」と、かわむらを煽り、4月12日に配信リリースされることが決定した「丑三キャットウォーク」を投下。コンテンポラリーでクールなナンバー。楽曲後半で見せた、かめがいのスキャットも熱を帯び、ボルテージは最高潮まで高まった。

 アンコールの手拍子に再びステージに2人が登場。6月29日に新宿・LOFTで『ポップしなないでpresents「そそげ!ドンペリ」』を開催を発表し、訪れたオーディエンスに感謝を告げラストは「ノストラ」を届けた。アンコール含め7曲というボリュームだったが、ポップしなないでの魅力がしっかりと凝縮されていたステージ。そして、このイベント全体を通して、現実逃避させてくれるライブだった。これから我々にどんな景色を見せてくれるのか、期待感が高まるなか『ポップしなないでpresents.「冗談」』は大団円を迎えた。

セットリスト

01.魔法使いのマキちゃん
02.エレ樫
03.救われ升
04.Creation
05.言うとおり、神さま
06.丑三キャットウォーク

アンコール

EN1.ノストラ

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