今年メジャーデビュー10周年を迎えるHilcrhyme(ヒルクライム)が1月30日、通算8枚目となるオリジナルアルバム『Hilcrhyme』をリリースした。一昨年末より、元DJの不祥事から活動を休止、TOCはその後、DJの脱退、EP『One Man』のリリースを経て、9月2日に東京・日比谷野外大音楽堂でおこなった復活ライブでHilcrhymeの活動を再開させた。この活動再開までを追ったドキュメンタリー番組TOKYO MX『ココロタビ』で訪れた徳島と台湾の旅で、Hilcrhymeというものを改めて見つめ直したと言う。それらの経験を経て初のセルフタイトルとなったニューアルバムが完成。10周年という節目と1人でHilcrhymeを続けていくという決意がセルフタイトルへと導いた。「これから進化して行く様を見せたい」というTOCに昨年の復活ライブについてや、このアルバムに込められた想いを聞いた。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

2018年の復活ライブを振り返る

TOC

――『ココロタビ』では、最初と最後では表情が全然違うという印象を受けました。徳島県や台湾の様々な場所を訪れたときの思いは?

 『ココロタビ』はこれから一人でHilcrhymeをやっていくにあって、リセットをするという感覚はありました。色々めまぐるしい毎日になり世界も一変して、活動休止したときは人生で初めて起こることばかりがあったので、ちょっと心を落ち着かせるために旅に出て、それが映像になったという感じです。音楽のことを考えつつ、日比谷野音の復活ライブが決まっていたので、どういう形でHilcrhymeが戻ってきたらいいのかということを考えながら徳島と台湾を旅していました。凄く良い旅でしたね。

――その旅の中で、これからHilcrhymeを一人でやるということに対して向き合い、葛藤があったと思います。そのあたりについてどうでしょうか。

 実際にDJなしでどうやってライブをするのかというところからスタートしたんですが、ライブの構成を今まで自分で組んできたので、あとはそれの出し方を変えて、データも全部自分で作っちゃえばいい。要はDJがいるかのようなミックスを自分ですでに最初に作っておいて、それを裏方に出してもらえば大丈夫だと。

――見せ方については悩まれたのですね。

 そう。最初はバンドを入れたりしようかなと思ったんですけど、野音というとてもドラマティックな舞台でもあるから、この公演は一人で頭から最後までやろうということになりましたね。

――公演のタイトルにもありましたが色んな意味での「One Man」になったのですね。実際に一人で野音のステージに立って、今はどういった心境でしょうか?

 凄く良い一日でしたね。Hilcrhymeは野音でやったことがなかったので凄く楽しみだったんです。歴史のある場所ですから。復活の舞台なので色んな感情があるんですけど、その一日は気持ちが良過ぎて覚えていないですね。時空が歪んでいるかのような長くて楽しい一日でした。

――『ココロタビ』のなかで、一人になってしまったことによって離れてしまう人がいてもそれはしょうがない、ということをお話していましたが、その点には不安もありましたか?

 不安はありました。それは、僕だけではなくてHilcrhymeに関わってくれている人全てが不安を持っていたと思います。やっぱり活動休止明けってそういうものらしくて。僕の先輩のバンドとかもそう言ってました。でも蓋を開けてみたら即完売だったし、全国の映画館でライブ・ビューイングをしたりWOWOWで生中継をしたりと、結果これまでで一番多くの人に観てもらった公演になったと思っています。

――どういった復活ライブにしようと思っていたのでしょうか。

 いつも通りのHilcrhymeを見せようとスタッフとは話していて、変に奇をてらったことをせずにいつも通りのライブを、聴きに来てくれていた人に届けようという、一心でやりました。ライブ前に雨が止んで、最後の曲を歌い終わったらまた雨が降ってくるという、ちょっと神がかったこともあり、きっとHilcrhymeに関わる人にとっても一生忘れられない一日になったんじゃないかなと思います。

――TOCさんは基本、野外ライブでは雨が降りませんよね。

 自分のことを「晴れの神だ」って言ってるんですけど(笑)。でもあの日は午前中は降っていて…でも午後は絶対止むからって話していたら本当に止んで! そのまま空もずっと耐えてくれたんですけど「大丈夫」を最後に歌い終わった後に再び降ってきて…。

――やっぱり持ってますね。

 持ってますかね(笑)。


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