ザ・フーパーズが1月25日、東京・神田明神ホールで、ワンマンライブ『FINAL FANTASIA ~愛の全部、For You!~』を開催。この公演をもってつばさが卒業、グループとしても約5年の活動に終止符を打った。またこの日は、9thシングルに限定加入していた澁谷梓希(i☆Ris)が登場。8人で「ジュエルの鼓動が聴こえるか?」などを届けた。本編では涙を堪え笑顔に徹していたメンバー。今春には新体制も発表される。星波が「これで終わりではなく、進化の一歩」と語っていたように、それぞれの道に新たな光を照らすような、そんな期待が大いに含まれたラストライブとなった。(約5200文字)【取材=木村陽仁】

INAZAKI

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赤いペンライトで染まる場内

 ホールは多くの“プリンセスと勇者”で埋め尽くされていた。スクリーンには、テープの早回しのように過去の映像が流れていく。場面が切り替わることに歓声がどっと沸く。程なくして開演を告げるブザーが鳴る。『FANTASIC SHOW』の衣装を身にまとったメンバーが登場。未来が「さあ、夢でも見ませんか?」と高貴な声で呼びかけ、曲を始める。最後のショウの幕開けは「トロイメライ」。ラストアルバムとなった同作の世界観を広げるような始まりだった。

 前半は『FANTASIC SHOW』の世界観を見せていく。1曲目を終え、大歓声に包まれるなかでメンバー紹介。SNS担当…ダンス担当…コスプレ担当……聞き馴染みのある紹介もこれで最後。感慨深いものがあった。それぞれが終え「それでは再び夢の続きをご覧あれ!」と語って「Cheers!」。更に、ロックナンバーの「Believer」を畳みかける。和の音が印象的な「シロツメクサ」では刀を持ち優雅な舞を見せる。五角形のフォーメーションは花びらのように美しく、その中央で未来と星波が佇んでいた。

 気付けば5曲を終えていた。笑顔をもって観客をエスコートするフーパーズ。そんな“彼ら”の最後となるこの日の一瞬一瞬を心に焼き付けようと大声援を送る観客。その熱気が場内を包み込んでいた。そのなかでBGMが流れると「ようこそ! ファンタジアの世界へ」。

 公演は「ヴァンパイアキス」で再開。狼の遠吠えが不気味な雰囲気を作り上げ始まった同曲を、マントをひるがえし見せていく。未来の力漲る歌声、そして伸びやかな千知の歌声が空間を切り裂いていく。7曲目「Don’t know why?」からはバラード曲が続く。星波の「ちゃんと心の声を届けていきたいんだ」というセリフにドキッとさせられる。

 それまで悲しみとは無縁だった空気感も、8曲目「Life is beautiful」からは変わった。一列になって歌うメンバー。目の前に広がるのは、つばさのカラーである赤色のペンライトで、染め上げられる客席だ。感極まり涙するつばさ。その姿を見て千知は下を向いて必死に堪える。陽稀は胸元を強く握り締め歌った。

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君のハートは返さない

 メンバーがいなくなったステージに、スクリーンが下がる。そこに映し出されたのは「マル秘映像」。仙台公演の打ち上げや陽稀復活の舞台裏、海外公演となった台湾での様子などの映像が流れた。

 ほっこりとしたところで第二幕が開演する。メジャーデビューシングル「イトシコイシ君恋シ」の衣装で再登場したメンバーは「からくりピエロ」を届ける。星波の側転やバク転などのアクロバティックなパフォーマンスが飛び出した「イトシコイシ君恋シ」、そして「雨を追いかけて」から「情熱」へと流れるメドレーで華やかに盛り上げる。

 暗転したステージに青のライトが薄く光を照らす。その光はやがてピンク色に変わり、焚かれたスモークを染め上げていく。美しい光景が広がるなかで「ラブハンター」。星波がブリッジしてそのいただきに肘をかける未来は星波の手を取り起き上げる。

 ブルージーなBGMが流れるなか、場内にメッセージが流れる。

 「予告通り君のハートは頂いた。この先離れた場所にいても君のハートは返さない」

 その言葉が心に染みわたる。

 再びメンバーがいなくなったステージにスクリーンが下りる。「マル秘映像第二弾」だ。つばさがこの公演の3日前におこなった『ザ・フーパーズつばさ 卒業謝恩会をするん会?!』の様子だ。メンバーがサプライズ登場し、驚くつばさ。仲睦まじい姿が印象的だった。

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皆、出発の準備できましたか

 無情にも時計の針は止まらない。ここから後半戦へと進む。船の汽笛が重く二度響く。港町のネオンの如く青色のライトがステージを照らす。

 「さあ、皆、出発の準備できましたか」
 「更なる冒険を」
 「一人は皆のために、皆は一人のために」

 そういう言葉を届けてメンバーが登場する。7枚目シングル「SHAMROCK」の衣装。Leeと乃愛が加わってから初めてのシングルだ。その衣装で「Your Color」、そしてデビューシングルのカップリング曲「未完成な地図」をパフォーマンス。場内一斉にジャンプ。終幕に向けて熱気は更に増す。

 疾走感のある「コトバテリトリー」、そして「Hoop a Go!Go!」。つばさの高速ラップが起爆剤になりテンポが上がっていく。陽稀が「まだまだ!」「かかってこい!」と煽れば、観客も大歓声をもって返していく。

 怒涛の楽曲。「GO!GO!ダンスが止まらナイ」。観客との掛け合いで更にヒートアップする。陽稀はここでも「もっと声を出せ! うしろ!」と煽っていく。そのなかで星波がステージ中央でブリッジからのバク転を見せる。

 背中合わせで熱唱する未来と陽稀。Leeのダンスもキレキレだ。おっとりとした雰囲気の乃愛もこの時ばかりは感情が露わになっている。

 そして、陽稀が「さあ、皆、ラストスパートだ。声出せるか。最後だよ。こんなんでいいの。俺たちへの愛はそんなものなの? 俺らの愛、欲しいんじゃないの? 皆で歌うよ!」と煽ってラストは「SHAMROCK」。

 それぞれメンバーがそれぞれの個性を全力で出し、それを全力で受け止める観客。まさに「出し切った」と言えるようななか、本編を終えた。

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メンバーの想い

 メンバーがステージを去った後、割れんばかりのアンコールが飛び交う。そのなかでラジオ風のメンバートークが場内に流れる。そのなかで思い思いの言葉を伝えていくメンバー。

 ラジオを終えたところでアンコールが始まった。当時休養中だった陽稀に代わりスペシャルメンバーとして限定加入していた澁谷梓希(i☆Ris)が登場。8人で「ジュエルの鼓動が聴こえるか?」を披露。陽稀と抱き合う渋谷は「久しぶり!」と笑顔。

 そして「クリアスカイ」を届ける。希望を感じさせるナンバー。乃愛がつばさに何かを語り掛けている姿も見られた。そして、MC。改めてメンバーが思いを語る。

 乃愛 本当にこんなにいっぱいの人に見届けられて幸せ。帰り道、考えた。今日という日は特別。皆も私たちも今日は何でもない日だったかもしれない。でも特別な日になってそれが共有できたことは奇跡。皆は大事な存在。私は超視力が良いからちゃんと皆を見れたよ。今日は世界一幸せになれましたか? 出会えて幸せを共有することが出来てとっても幸せでした。

 Lee 初心に帰ろうかなと思って髪の色を赤にしました。笑ってないと今にも泣きだしそうなので、笑います。伝えたいことはただ一つ、皆さんのことが大好きです。それぞれの道があって、こうやって出会えたことあは奇跡。ステージに立たせて頂けるのも、関わってくれている皆、そしてファンのおかげ、奇跡と奇跡がぶつかり合ってこうやって迎えることが奇跡。当たり前ではない。皆さんのことが大好き。支えて駆け抜けてくれてありがとう。本当に大好き。

 千知 言うことをずっと考えていたけど、一番は楽しいということ。本当にあっという間に終わって、でも1曲1曲鮮明に覚えていて、素敵な時間でした。皆に言いたいことがあって…。凄く広めて下さって、今日もソールドアウトで素敵な時間を過ごせて本当にありがとうございます。フーパーズは終わってしまうけど、変化は進化なので、これからも上へ上へ。「千知は笑顔が良いね」と言われるので、これからも笑顔を大事に。

 星波 最年少だった私も気づけは上から2番目。5年分の思い出は語りきれないから、今日はライブのパフォーマンスで伝えていこうということを目標としてやって…、受け取ってくれましたか? 高校卒業を機に、どういう進路にいこうかなと考えて。あの時の自分に「間違ってなかったよ」と言ってあげたいかな、それが一番。フーパーズを通して皆に出会えたし、個人の仕事もあって。駆けつけてくれる皆の温かさがあって頑張れた。これで終わりではなく、進化の一歩。リトルスターがビッグスターになることを見守って。

 陽稀 (大好きだった祖母が亡くなり、改めて人と人との繋がりについて考えたものとして)時間や距離、いろんな壁はあるけど、こうして繋がっている、心が繋がっていることに、愛しい、恋しいと思いながら今ここに立てています。大好きだったおばあちゃんのように、皆とそういう関係になりたい。フーパーズは一端終わるけど、春戻ってきたときに「ここだな」と思えるような、これから先も一緒にと思えるようになりたい。

 未来 今日まで5年間、応援して下さってありがとうございました。みんなの支えがあってここまで来ることができた。ここまで成長ができた。私たちの人生はこれからの方が長い。そう比べると5年はちょっと。これからも嫌と言えるほど一緒にいられるから、待っていてください。

 つばさ お礼を言いたいのは「Life is beautiful」の時、顔を上げたら(客席の)全面が赤くなっていて本当にありがとうございます。5年間、楽しい事、辛い事たくさんあったけど、どれも良い思い出、ここまでつばさとして生きられて本当に良かった。今日で卒業。みんなのことも絶対忘れないし、みなさんにとっても幸せな日が続くように祈っています。これまで応援ありがとうございました。大好きです。

 澁谷も思いを語り、ファン、そしてメンバーにエールを送った。

 澁谷梓希 フーパーズのファンからスタートして、同じステージに立てて。こんな小さな輪が、こんなに大きく輪になって、国を越えて、日本だけでなく海外のお客さんもいて。それってすごいことで、メンバーの仲が良いこともある。泉貴さんと佑妃さん、麻琴みんながいてフーパーズ。ツイッターでも言ったけど、終わりには始まりがある。それぞれの旅があります。私ももちろん「ジュエル」からすごい旅があって、ここに立てて。どこに着いていくかは皆の舵取り次第。また出会える機会がありますから、また応援してほしいし、全員がビッグスターになれるように。

 改めて澁谷が「わたしたちは、皆の泣き顔を見たいのではなく、笑顔を見たい」と語り、澁谷の希望で再び「Cheers!」。「皆、ジョッキを持ってください! かんぱーい」と満面の笑みで届けていく。つばさを抱きしめる陽稀。大熱狂の中、終演。メンバーは横一列になって5秒頭を下げて感謝し、ステージを後にした。

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集大成のFANTASIC SHOW

 それでもやまないダブルアンコールを望む声。そのなかでつばさ1人が登場。

 つばさは「ありがとう。『つばさ』と呼ぶ声が奥からも聞こえて。本当に5年間やってきてたくさんの愛を頂き、世界一幸せ。離れたくない気持ちでいっぱい」と屈託のない笑みをこぼしながらありのままの想いを伝える。

 そして「この曲で盛り上がっていきます」と「永遠の詩」。メンバーが合流して届けられていく。つばさと星波、そして未来がこぶしを重ねる振り。2度目はつばさと星波が重ねたこぶしを未来が手でつかむ。感極まった星波が涙目になる。

 曲を終え、改めて星波がメンバーを代表して思いを伝える。

 星波 5年間たくさんの愛を、たくさんの応援を有難うございました。ここでフーパーズの旅は止まってしまうかもしれませんが、私たちは止まってしまうわけでなく、新しい旅に出るために準備。違う道を歩む人もいるかもしれないけど、新しく踏み出すことを応援してくれますか? 好きでいてくれますか?

 そして「ラストまだやっていない曲ありますよね。ラストはみんなで、笑顔でまた春に会えるように、もっと上を目指してはばたいていけるように」と、最後の最後は「NEW WORLD」。この先の道を示すかのように力強く歌い届ける。

 すべての曲を終え、「まだまだ止まりません。また春に会いましょう!」と再会を誓うメンバー。深々と頭を下げたまま10秒。頭を戻した瞬間、堪えていた感情が一斉に溢れ、涙。未来は泣きじゃくった。

 この5年間の集大成をライブで示そうと、最後まで涙は抑え、パフォーマンスに徹した彼女たち。繊細でありながら力強く、それでいて可憐。それはパフォーマンスだけでなく、歌もしかり。その一つ一つに5年間で培ったにもの全てが反映されていた。まさに、集大成のFANTASIC SHOWだった。

 この日、「世界を見据えた新プロジェクト」の一端が3月にも明らかになることも発表された。ザ・フーパーズという母港を出港した彼女たちの航海はこれからだ。

https://www.youtube.com/channel/UCh1KwQfpcKlfIoXJfbr4fBw

セットリスト

M01. トロイメライ
M02. Cheers!
M03. Believer
M04. ユラメクホノオ
M05. シロツメクサ
M06. ヴァンパイアキス
M07. Don’t know why?
M08. Life is beautiful
M09. コイゴコロ
M10. からくりピエロ
M11. イトシコイシ君恋シ
M12. 雨を追いかけて~情熱は枯葉のように(メドレー)
M13. ラブハンター
M14. Your Color
M15. 未完成な地図
M16. コトバテリトリー
M17. Hoop a Go Go!
M18. Go!Go!ダンスが止まらナイ
M19. SHAMROCK
EN1. ジュエルの鼓動が聴こえるか?(with 澁谷梓希)
EN2. クリアスカイ(with 澁谷梓希)
EN3. Cheers!(with 澁谷梓希)

WEN1. 永遠の詩
WEN2. NEW WORLD

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