まだ黒羽麻璃央の個人名義で、シンガーとかとしてデビューしたくはない

――音楽のお話をおうかがいできればと思いますが、今までのお仕事の中ではミュージカル『テニスの王子様』ミュージカル『刀剣乱舞』と、ミュージカルのお仕事がかなり大きなところにあるかと思いますが、そんなところから今、ミュージカル俳優という立場は、黒羽さんにとってかなり大きな部分を占めているという印象があったのですが、最初に芸能界に入ろうとした時には、どのような思惑があったのでしょうか?

 最初は“芸能人”になりたかったんだと思います。

――芸能人ですか?これまでどのような経緯で、そう思われたのでしょうか?

 すごくざっくりしてあいまいな感じなんですけど、テレビの中で活躍する人になりたかったんです。だからテレビのお仕事のオーディションもいっぱい受けましたし、でもなかなか思うようにいかなくて。

 そんな時にミュージカル『テニスの王子様』が決まり、そこからたくさんの舞台のオファーをいただくようになって、いろんな経験を積んで、またミュージカル『刀剣乱舞』という舞台のオーディションも受かり、ずっと舞台の役者で生活ができるというか、そういう感じの中にいました。そんな中で最近、やっぱり俳優になろうと思いました。「タクフェス(TAKUMA FESTIVAL JAPAN)」という作品に出会って。

 そこで同時に「もともとやりたかったこと、テレビの世界で生きていくこと」ということを忘れていたな、とも思って。今はお芝居をやっていてすごく楽しいし、であれば俳優でやっぱりテレビに出られる人間になりたいな、ということに途中で気が付いたし。そこからはいろんな人にそういうお話もしたりして、最近はそれこそドラマで主演をやらせていただいたり、もう最高の形になってきたと思うんですけど、やらせていただけるようになって。

――ご自身の世界が広がっていく様子がわかります。

 テレビへの進出というか露出も徐々に増えてきているな、という状況だったんです。もちろん舞台に対してもモチベーションは変わらないというか、最初は舞台だったし、そこに育ててもらったというか、自分を見出してくれたというところもあるので、なんかバランスよく自分の欲と、みんなに求められていることのバランスをうまくできればいいかな、というのは今思っています。だからミュージカルしかやらないとか、テレビしかやらないということはないです、今は。

――では、今は逆に求められるバランスがうまくいけば、何を要求されても結構できる自身もある?

 う~ん、でも…何でも…というわけではない、かもしれないです(笑)。実はちゃんと自分の中で、これだけは今やらない、というものが1個だけあります。

――それは何ですか?

 「アーティストデビューは絶対にしない」ということです。

――音楽は、ということですか?

 そうです、個人名義では、という意味で。僕はすごく音楽が好きなんです、歌とか。好きなんですけど、それを今仕事にしたくないなという思いがあって。お金をもらうようになると、歌とかを全部仕事としてしか見られなくなっちゃうような気がして、それは切ないと思っているんです。だからまだシンガーとして出たくはないかな、と思います。役者の中のミュージカルとかなら全然いいんですけど、一方でそれは多分、いろんなことをやってきたからこそ、だと思う。

 自分じゃまだ無理だな、と思っているんです。でもその考えがいつか変わる時はあると思うし、その時に歌もやってみたいと思う瞬間が、多分来ると思っています。

――ちなみにそんな思いがあったということは、ミュージカルに初めて出られる時には“ちょっと抵抗があります”みたいなこともあったのでしょうか?

 いや、でもちょっとそれは違うんですよね、自分の中では。お芝居しながらの、役を背負ってという感じというか。“黒羽麻璃央”として歌う、ということで抵抗を感じているんだと思います。役として歌う分には、全然。かえって少し強気になれるというか。そういったわだかまりがなくなった時に多分、この状態というか“黒羽麻璃央”の状態で歌が出せるかな、と思っています。

――なるほど。ではそれはちょっと将来的に期待したいですね。では、その核心に迫りたいのですが、黒羽さんにとって“音楽”とはどんなものでしょう?

 「脈」かな? それによって僕自身も速くもなるし、遅くもなるし。すごくストレートに気分を乗っけるじゃないですか、音楽って。映画とかドラマ、舞台とかでもそうですけど、音によって感情ってすごくたかぶったり、静まりかえったり、感動を呼ぶようなことだったりするので、なんか生きている速度を変えられるというか。そういう意味で、“脈”かな、と。

――独自な表現ですね。この質問はいろんな方におうかがいしたのですが、「脈」という表現は初めてです。

 ありがとうございます、個性派で売っていきますので(笑)。「鼓動」とか「脈」とか、そういうものかなと思います。自分の生きるリズムを作ってもらえるものかな、と。僕は本当にずっと音楽を聴いているんですよ。移動中も、家にいる時も。音がないと無理、って。

黒羽麻璃央

黒羽麻璃央

(おわり)

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