シンガーソングライターのmajikoが23日、EP『COLOR』を発売。同作は2019年初の音源で、タイトル通り「色」にまつわる新曲が3曲と自身のルーツに関する2曲のカバーが収録されている。作中ではシンガーソングライターMichael Kaneko、ヒップホップ・グループGAGLEといった異色のコラボレーションも実現。2018年を「種まいた年だった」と総括したmajikoの新たな年の幕開けとなる、今作にはどの様な意図が込められているのだろうか。自身初となるラップへの挑戦や同作を引っ提げたツアーへの意気込み、自分の音楽の向かう先も含めて話を聞いた。【取材=小池直也】

リード曲は「気付きの歌」

『COLOR』限定盤

――今作の制作はいつ頃から始めたのでしょうか。

 EPの制作については急に決まったことだったんです。でも新曲は『COLOR』というタイトルに寄せて制作できて、統一感のある作品にすることができたと思っています。それぞれの歌詞に色に関係する言葉を入れているんですよ。曲たちによって『COLOR』が完成しましたね。

――アートワークはアルバム『AUBE』やシングル「ひび割れた世界」も担当されていた、ロンドン出身のKate Baylayさんですね。

 今回も担当してもらえて、とても嬉しいです。いつもお任せでお願いしています。どうやって発注しているかは私は知らないんですけど、スタッフさんはグーグル翻訳を使っていると言っていました。そこまで便利なのかと(笑)。

――ではEPについてお伺いしていきます。まずカバー以外の3曲はどの様に制作を?

 3曲とも、もともと次の作品のために作っていた曲なんです。それでスタッフさんと相談してこの選曲になりました。Michael KanekoさんとGAGLEさんとの客演も提案を頂いて決まったんです。Michael Kanekoさんはアコースティックのライブでお会いしたことはありましたけど、GAGLEさんは初対面でした。どちらとも、私が普段作っている曲調とは違うじゃないですか。デモの段階でいいなと思っていて、そこからもドラマティック感が増し増しになって「こういう科学反応が起きるんだ」と驚きでしたね。レコーディングもスムーズで、みんなで一緒に作っている一体感を感じました。

 「狂美(くるうつ:「狂おしいほど僕には美しい」の略)」についてはほとんどお任せで作って頂きました。MVも中国で撮りました。撮影前日に中国行きが決まったんですよ。「え!?」みたいな(笑)。2日前くらいから「中国に行くかもしれない」とはほのめかされていたんですけどね。2泊3日で色々なところを周りました。廃墟とか、美術館とか。廃墟は怖かったし、ヤベえと思いました(笑)。アー写とかも撮りました。撮影チームも素晴らしくて、楽しかったです。ずっと笑ってましたね。

 Hiro-a-keyさんの歌詞は「色彩」という言葉だけ、EPタイトルにちなんで入れさせてもらいましたけど、やりとりはそれくらいでした。あと、この曲はMVを撮った時点で完成したという気持ちになったんです。「あ、なるほど」と映像を撮りながら気づいたことがたくさんあって。この曲は「気付きの歌」で、私の声が格好良く聴こえる印象ですね。

――「気付きの歌」とは?

 <僕には美しい>という言葉が私にとって印象に残っているんです。それは自分自身に言い聞かせる言葉だし「美しいんだ!」という意思表明でもある。フルサイズのMVだと最後に暗いホテルのカーテンをバッと開けて、朝の光が入ってくるという場面。そこで「目覚め」や「気付き」みたいなイメージが浮かびました。醜いものでも認めていいんだ、みたいな。それは僕にとって美しい。そこに「気付き」を感じました。

――確かに最後の<僕には美しい>という部分の、感情の入り方は引き込まれるものがありました。

 めちゃくちゃ頑張りました(笑)。わー! って歌って、エモエモでした。ライブでもまだやっていなくて、今練習中なんですよ。リハーサルもやっていますので、お楽しみにという感じです。

――それから2曲目は「ミミズ」ですが、また不意を突くタイトルですね。

 これを作っている時に死んだミミズを見る機会があったんですよ。まだ歌詞を書く前だったんですけど、道に干からびているミミズがいて。「なぜ、土にいればいいものを」って思ったんですよね。でも、彼はどっちにしろ死に向かうんですよ。土の中にいても暑くて死んでしまうし、熱くて出てきたのに太陽に照らされて干からびてしまう。それを見て、ミミズと自分を照らし合わせてできたのがこの曲です。スタッフの人からも「このタイトル、これでいいの?」と何回も聞かれました(笑)。でもこの曲はこのタイトルじゃなきゃ駄目なんです。

 楽曲自体は「ノリやすい曲」とテーマを立てて、曲先行で作っていきました。ライブで1曲目に鳴る様な曲が欲しかったんです。デモの時よりもBPM(テンポ)を上げて調整もしています。作っているうちに「ミミズ」になっていって。夏に書いていた曲なので、夏に出そうかなと思っていたんです。でもEPのお話を頂いたので、このタイミングで出したいなと収録しました。

――この曲のアレンジはご自身と木下哲さんで担当されています。エンディングのビートが変わるところも興味深かったのですが。

 あそこは「ガラっと変えたいね」と話していたんです。二人でやりとりしている時はオラオラ・オルタナティブというか(笑)、激しいんだけど、オルタナティブが入っているみたいにしたかったんです。最後は歌詞の中で自分が初めて感情を出す部分だと思うので、違う展開にしたかった。あと<僕は今まで生きてきたから>という言葉は自分にも言いたい言葉だなと思うんです。やっぱり言葉に書いて感じることもあるんですよね。

 基本的に彼とはデータのやりとりで制作しています。まず私が自分なりにまるまるアレンジして、それを哲っちゃんに渡します。次に私がいじれるドラムやベースについて「もっとこうした方がいいんじゃない?」と意見をもらって、それをいいと思ったら採用していきます。疑問に思ったらディスカッションして「私はこう思う」と伝えて。最後に哲っちゃんがギターを入れる、という工程ですね。やりとりはメッセンジャーを中心に、それで伝わらない時は電話で話しています。

――ちなみにまた虫をテーマにした曲を書くとしたら?

 …ゴキブリとか、ダニとか(笑)? そういえばワンマンの時も「ミミズ」をアンコールで演奏したんですけど「それでは聴いてください『ミミズ』」と言ったら、ざわざわってなりました(笑)。また作るとしたら「ダンゴムシ」ですかね。


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