中学生時代の挫折

『I love U』ジャケ写

――今でも夢を追い続けている人たちはもちろん、夢を諦め、いろんな人生を背負いながらも、今の生活の中で必死に前を向いて生きている人たちの心に『I love U』の曲たちは熱く染みるなと感じました。

 そう思ってくれたら、本当バンド冥利に尽きますね。僕は、転んだって何度も立ち上がればいい、死ぬこと以外はすべて人生かすり傷みたいなものと思っています。20年間も活動を続ければメンバーそれぞれに背負うものが増える『I love U』には、そんな僕たちが20年間やってきたからこそ歌える曲たちばかりを詰め込んでいますからね。

 正直、若いバンドのように無鉄砲には進めなくなった。だけど、背負うものがあって、守るものがある大人たちの戦う姿を格好良いなと感じている自分たちがいて、それをTHEイナズマ戦隊は歌っていきたいなと思っています。

――いろいろ背負うものがあるからこそ、強い意思を持って突き進んでいけるということですね。

 そうだと思います。しかもTHEイナズマ戦隊の場合、良い意味で期待を裏切るということは、あんまり考えていません。応援してくれる人に、しっかり期待通りの球を投げたいと思っています。

――「俺達の1ページ」に綴った、<押してもダメなら 鍛え上げて更に押せ>という生き方がTHEイナズマ戦隊らしいですよね。

 これまでのTHEイナズマ戦隊は、そうやって進んできたバンドです。それが、必ずしも良い生き方とは思わないですが、自分たちと同じように思ってくれる人たちがいたら嬉しいなという感じです。

――年齢を重ねてきた世代には、「OLD ROOKIE」を通して背中を押してもらえる度に「まだまだ若い連中には負けてられない」という気持ちにさせられます。

 若い子たちは元気いっぱいなんで、自分らが応援しなくても頑張れる。それよりも、身近で、今も必死に夢を追いかけている世代の近い人たちのために歌ったのが「OLD ROOKIE」です。

――人生歌を高らかに歌う姿に共鳴し、支持の声を上げる30代以降の人たちが多いのもTHEイナズマ戦隊の特徴だと感じています。

 THEイナズマ戦隊のことを好きな人って、僕らと同じ世代でライブでも一緒に歌ってくれる人が多いんですよね。そういう人たちに支えられながら、THEイナズマ戦隊は今も歌い続けられている。だからこそ僕は、THEイナズマ戦隊の歌を心の支えや糧にしている人たちが聞いて、心で泣いてくれる歌を書くことを心がけている。僕たちみたいなメッセージソングを歌っているバンドは、そこが大事だなと思います。

――タイトル曲「I love U」の中で、<生まれたての赤ん坊がギャーギャー泣いた あれが俺には書けない 1番のメッセージソングさ>と記しています。とても共感できるメッセージです。

 あれこそが本当の素直な叫びであり、メッセージソングやなと僕は思います。あれを目指して僕も歌を書けたらいいんですけど、何を書いても、赤ん坊の泣き声には勝てないと思います。

――「まだ夢を見てる」では、小さい頃にはプロ野球選手に憧れていたけど、怪物の存在を見て諦めたことも記しています。これも実体験ですか?

 中学3年生のときに、地元の高校1年生にとんでもなく野球の上手い選手がいて。その選手に憧れて同じ高校へ進学しようと思ったんですけど、担任から「お前の実力では、到底そこの高校への合格は無理やな」と言われ、そこで自分の才能の限界を知ったんです。野球の実力を比べる以前に、偏差値のレベルで現実を知ったという。

 確かに、小さい頃は「プロ野球の選手になりたい」という夢は持っていたけど、明確な意思を持っていたわけでもなくて。小さい頃から明確な意思を持って夢に向かう人たちには、もうその時点で負けていますからね。

――世の中には実力差や才能の差があるのを分かった上で、それでも夢を追いかける人たちもいますよね。

 それが、僕らにとっては音楽でした。あきらかな実力差を感じることがなかったからこそ、こうやって今も自分たちを信じて活動を続けているんでしょうからね。

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