BiSHが2018年12月22日、千葉市美浜区の幕張メッセ(9・10・11ホール)で、『BiSH BRiNG iCiNG SHiT HORSE TOUR FiNAL “THE NUDE”』をおこなった。ストリングス隊を携えた大所帯ハンドに、全方位のセンターステージ、紗幕を使ってのVJ演出など豪華絢爛。動員数も1万7000人と、演出・規模と共に過去最大のワンマンは、場内が揺れるほどの盛り上がりをみせ、全国10カ所に及んだ自身初のホールツアーを締めくくった。2019年にはライブハウスツアーをおこなうことも発表。更なる活躍に弾みをつける一夜となった。【取材=木村陽仁】

撮影・外林健太

撮影・外林健太

VJ演出で打ちあがった花火

 エンドステージから伸びる花道の先にあるのは全方位のセンターステージ。アリーナ席はそれを取り囲むようにある。その頭上には、高解像度大画面スクリーン。本来ならばエンドステージに設置されているにスピーカーはこの場所にあった。24人に及ぶストリングス隊に、2人のギターにベース、キーボード、ドラムの計29人によるバンド編成。音響も整ったなかでこの後、荒れ狂ったライブはその全方位センターステージを震源地に、激しく繰り広げられていくことになる。

 開演時刻が過ぎ、スクリーンにオープニング映像が流れる。メンバーが鎖によって囚われるという内容だ。その映像に登場した神父がメインステージに現れると、メンバーをコールする。それに合わせて、鎖から解き放たれたメンバーが一人ずつ、そのステージの奈落からリフトアップされる。その姿は戦士のごとく凛々しい。

 メンバーが全員揃ったところでライブの蓋は切って落とされた。最初に披露したのは最新曲の「stereo future」。過去に「孤独と向き合う戦士の歌。私達も心と体を削ってパフォーマンスしている」とも述べていた「BiSH史上かなり激しい」楽曲。幕開けにふさわしく、トップスピードに乗ってその勢いのままに、エンドステージからセンターステージへと全力疾走する。

撮影・外林健太

撮影・外林健太

 息を切らせながらも、セントチヒロ・チッチが「幕張!! 楽しんでください!」と掛け声。そのなかで「BiSH -星が瞬く夜に-」を披露。ここから怒涛のパンクロックをぶつけていく。周りを埋め尽くす多くの清掃員(BiSHのファンの総称)。メンバーから溢れた思いを一つ残らず回収するかのように、手拍子や振りを一緒に踊る。アリーナの清掃員による一糸乱れぬその光景は凄まじいものがあった。いくつかの場所で起こるサークルピット。モモコグミカンパニーも「ついて来いよ! 幕張いけるか!」と煽る。ハシヤスメ・アツコも「BiSH、行くぞ!」と唸る。3曲目「SHARR」ではレーザーなども演出に加わり、狂乱させていく。

 最初からフルスロットルの展開。高揚感とともに息を切らせる清掃員。それを見渡し笑みを送るメンバー。ここで自己紹介を挟む。このなかでアユニ・Dは「アユニ・Dの『D』は『ただいま幕張』の意味」と語った。そして、モモコが「お口を大きく縦に開けて。開けられますか! 顎を外していこうぜ!」と煽って「S・H・i・T」へと放り込む。正座して頭を何度も上げ下げを繰り返すメンバー。それは行儀のよいヘドバンといったような格好で、清掃員はそれに呼応するようにヘドバンを繰り返す。

撮影・外林健太

撮影・外林健太

 ここからはピアノのイントロが印象的な「HiDE the BLUE」などメッセージ性の強い曲を立て続けに披露していく。「Life is beautiful」では、リンリンがアユニの手を取り小走りし、そして、抱き合う。曲の世界観を、寸劇を織り交ぜた振付で表現していく。

 ここで一呼吸を置くようにMC。「この半年間、私たち6人はきょうを楽しみに過ごしてきました。平成という時代が変わろうというタイミング、少し早いクリスマスを、ここ幕張で一緒に過ごしましょう」と。センターステージを、透過する紗幕が囲む。その内側にいるメンバーはかごのなかの鳥のよう。そのなかで「My landscape」を届ける。ストリングスの音色が響き渡るなか、その紗幕に煙や球体などの映像が映される。メンバーの手の振りに合わせて飛沫(しぶき)があがったり、花火もあがる。一つの打ち上げ花火が一筋の線を頭上高くまで作った瞬間、その紗幕が下ろされ、場内の明度が一気にあがる。魅せられたVJ演出のそのあとは、なにかが開放されたかのようにアグレッシブに叩きつけていく。場内の熱量はもちろん、増すばかりだ。

撮影・外林健太

撮影・外林健太

 その後もメロディアスな「FOR HiM」などが届けられ、パワーバラードが続いたこのセクションを「サラバかな」や「JAM」で占める。そして、MCを挟む。

 アツコが、BiSHがもっと成長するためには「コントが必要」との持論を展開。彼女なりのユーモアで笑いを誘うと、2019年4月から全国14カ所21公演にもおよぶZEPPクラスのライブハウスツアー『LiFE is COMEDY TOUR』をおこなうことを発表。札幌から沖縄までを回るという。そのアツコはどさくさに紛れ、所属事務所WACKの渡辺社長にソロデビューを直談判。OKサインをもらうと喜びを露わにし「頑張ります!」と気合。アツコのソロデビューは嘘か誠かは分からないが、“アツコ劇場”を締めくくりと言わんばかりに、アツコの手をメンバーが握り、そのまま「プロミスザスター」へ。ラストスパートへと突入する。

撮影・外林健太

撮影・外林健太

愛された1年

 センターステージを震源地に場内は激しく揺れる。プレートとプレートがぶつかり合うように物凄いエネルギーが放出されていた。そのなかでリンリンが煽り、「GiANT KiLLERS」。センターステージからは火柱がいくつも上がり、さらに興奮を高めていく。

 突入したアグレッシブなゾーンのなかにあって、モモコは「今日の幕張は世界で一番幸せ!」と語り、ダンスナンバーを放り込む。その流れからアイナ・ジ・エンドが「幕張、ラストスパートいくぜ!」とまくしたて、ベースが全面に出た「SMACK baby SMACK」へとなだれ込む。アイナがソウルフルに歌い上げると、モモコはアツコの肩に顔をやり笑みを見せる。手を前後に上げ下げするメンバーに習い、清掃員も模写する。「beautifulさ」ではBiSHがエンドやセンター、花道に散らばる。ステージに腰をかけたり、倒れ込むなどして思い思いに魅せていく。1万7000人が踊りまくる。大熱狂のなか、最後は「BUDOKAN もしくはTAMANEGI」で締めくくった。

撮影・外林健太

 アンコールでは、ゆっくりとした足取りで手を振りながら登場したメンバー。センターステージに横一列になるとそれぞれが思いを述べていく。

 アユニ・D この一年嫌なこともあったと思う。でも今日という日を過ごすことができ良い1年になったと思う。終わり良ければ全て良し。

 リンリン 今年の最後にこのライブが出来て良かった。私自身は色んなことがあったけど、来年からはBiSHだけの人生を送りたい。

 ハシヤスメ・アツコ 今年の一文字をいつも決めていて、2016年は「種」、17年は「芽」、18年は「咲」。自分的にはそう思っていて。でもその「咲」も満開ではなくて。19年は少しでも満開に近づけるようにしたい。

 モモコグミカンパニー 12月22日にここで過ごすことを選んでくれてありがとう。目と目が合うライブ会場に来てくれることが嬉しい。

 アイナ・ジ・エンド 大きくなるにつれて批判の声も目にすることが多くなって、精進する日々。誰が何と言おうと今日が最高の日。

 セントチヒロ・チッチ 初めてのことばかりだったけど、支えてくれるみんなのおかげ。来年は私たちらしく、当たり前を裏切って、BiSHらしさを見せていきたい。

 そして、改めてチッチが「それぞれの場所に帰っても空の下では一緒」と語ると、「オーケストラ」「ALL YOU NEED IS LOVE」を披露。バラードから急転直下のパンクに変わる、彼女たちらしいとも言える楽曲を届けたあと、最後は「NON TiE-UP」。リアルタイムVJやレーザーが飛び交うなか、アグレッシブに披露。最後にメンバーは改めて「愛された1年でした。来年も頑張りたい」と意欲を示すと、ショーの幕は閉じた。

撮影・外林健太

撮影・外林健太

セットリスト

BiSH BRiNG iCiNG SHiT HORSE TOUR FiNAL “THE NUDE”
幕張メッセ9・10・11ホール

OPENiNG
1. stereo future(with Strings)
2. BiSH-星が瞬く夜に-
3. SHARR
4. DEADMAN
5. スパーク
6. S・H・i・T
7. HiDE the BLUE
8. 本当本気
9. Life is beautiful
10. My landscape(with Strings)
11. FOR HiM
12. PAiNT it BLACK
13. サラバかな
14. JAM
(コント)
15. プロミスザスター(with Strings)
16. GiANT KiLLERS(with Strings)
17. MONSTERS
18. DA DANCE!!
19. SMACK baby SMACK
20. beautifulさ
21. BUDOKANかもしくはTAMANEGI
アンコール
22. オーケストラ(with Strings)
23. ALL YOU NEED IS LOVE
24. NON TiE-UP(with Strings)

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