奄美大島出身の歌手・城南海(きずき・みなみ)が23日、東京・昭和女子大学人見記念講堂で全国ツアー『ウタアシビ2018 冬』の最終公演を開催。12月1日の岡山・岡山市民会館公演を皮切りに全国5カ所をまわった。NHKの大河ドラマ『西郷どん』に楽曲提供をおこなうなど活発な活動を展開した1年を振り返るようなステージを展開。さらに、公演会場限定で今月1日に発売した城にとって初の自己プロデュース作『遠い約束』からの新曲など全18曲を披露し、来年デビュー10周年を迎える彼女の意気込みも垣間見えた一夜となった。【取材=桂 伸也】

カバーコーナーも

城南海

 ステージ前の会場は、鳥のさえずる声にあふれていた。例えばロックならロックの名曲、あるいはライブを行うアーティスト自身の曲を流したりする。だが城のライブ会場では、会場入りをするといつも鳥のさえずりが聞こえ、何かホッとした雰囲気を感じさせてくれる。会場はまさに、城のルーツとなる奄美の自然を表している、そんな印象すら感じられるのだ。

 そしてステージスタートから少しすると暗転したステージの中、城が登場、会場は拍手で満たされる。そのあたたかい祝福に一礼し歌い始めた1曲目は、2016年に発表されたアルバム『月下美人』のオープニングナンバー「晩秋」。ピアノのイントロから緩やかに、流れるようにメロディーが紡がれていく。

 そのメロディーは奄美を感じさせる民謡的な雰囲気と、整然としたボーカルスタイルが入り混じったような独自の歌いまわしで豊かな世界観を作り上げ、まさしく「晩秋」に感じるちょっぴりの寂しさと、相反して存在する気持ちのあたたかさを空気に含ませて、会場中に振りまいていった。

 そして続く「サンサーラ」では、長く歌い継がれ作り上げられていったこの歌の世界観をそのままに、そこに城ならではの存在感をしっかりとちりばめる。ボンゴの刻むゆったりとした16ビートの調べに乗って、情感たっぷりに歌い上げられたそのメロディーに、観衆はただひたすら黙って耳を傾けていた。

 今回のツアーでは、ファンからのリクエストも選曲の参考にしたという城。「ゆっくり今年最後のライブ、楽しんでいただければと思います」とフレンドリーな呼びかけに、観衆からもあらためて拍手が送られる。

 序盤は、カバーのコーナーより徐々に展開を見せる。槇原敬之の「冬がはじまるよ」、中島美嘉の「雪の華」、そしてSMAPの「夜空ノムコウ」と、ユニークな選曲ながら、どれも冬の雰囲気にぴったりなものばかりだ。アレンジも展開に凝ったもの、静かなバラード、そしてリズミカルなものとバラエティに富んだ曲調の中で、“城南海が歌っている”ことをしっかりと存在感として表した、珠玉のメロディーが会場をしっかりと包み込む。

 さらに続けて、新曲を披露。会場限定で発売された、城にとって初の自己プロデュース作『遠い約束』から、優しくも力強い声が、聴くものの芯にまで響いてくるようなバラード「遠い約束」と“城が自身の視点から見た東京”を描いたという「一輪の花」を披露。
 この曲は、上京して間もなく、不安を感じながらもがむしゃらに歌い続けていた城が、ある日城に会うために東京にやってきた父が、東京という街で一輪の花を見つけたことに感動している姿を見て、ふと思ったことを振り返って書いたというもの。牧歌的な雰囲気から、また新たな城の一面が垣間見られ、観衆はしっかりとその雰囲気を心に感じ取っていた。

デビュー10周年の感謝の曲「心の唄」

城南海のステージ

 中盤には、今年大きな話題となった、大河ドラマ「西郷どん」への楽曲提供を振り返る。「西郷どん紀行~奄美大島・沖永良部島編~」から「愛加那」へ。城の原点である奄美の地に近いエピソードを持つ楽曲だけに、城の魅力が存分に発揮され、歌に含まれた味わい深い雰囲気が、会場を満たしていく。

 そしてライブもいよいよクライマックスへ。デビュー曲であり、曲への思いも深い「アイツムギ」から「祈りうた」へ、そして雰囲気を一変して「ウタアシビのコーナー」と題し、「島のブルース」へと突入。

 島唄のようなゆったりとした、それでいて楽しい雰囲気に、観衆もサビのラストを合唱、会場は明るい雰囲気に変化していく。そしてファンからのリクエストに応じて選曲したという「夢の地図」から、ラテンなリズムが最高に盛り上がる「風人」、「アカツキ」で会場が盛り上がると、城もステージの左へ、右へと観衆の方に近づき、さらに高揚する気持ちを煽っていく。

 ラストナンバーは『遠い約束』に収録された「心の唄」。来年でデビュー10周年を迎えるという城が、その感謝の思いを込めて作ったという楽曲で、あふれるような思いを存分に披露。さらにアンコールではアカペラで「きよしこの夜」を歌うサービスも。そんなたっぷりの魅力を随所にちりばめたステージで、2018年のステージを締めくくるとともに、自身の大きな節目ともなる2019年への思いを見せながらライブは幕を閉じた。

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