ようやく地球上における存在が認められたような気がする

リチャード・カーペンター(撮影=冨田味我)

――その中でリチャードさんが思うカーペンターズ・サウンドの肝となっている部分はどこだと思いますか。

 カレンのリードボーカルの素晴らしさはもちろんなんだけど、僕ら2人で作ったハーモニーが相まってのアレンジが独創的だったことかな。その中で必要に応じて、カレンのボーカルをあえて下げることによって、ボーカルばかりが目立たないようにしていたのも特色だと思います。けれども、歌詞の一つひとつがハッキリと聞こえるということは意識していました。

 カレンは生粋のボーカリストということもあって、歌で様々な関連付けをしているんだけど、それがアレンジで曇らないようにキープしつつ、だけど歌だけが際立たないようにしていたのも大きい。曲に対して何が一番ベストなのかというのを、アレンジャーとして僕は常に考えていました。

――ボーカルを下げることもあったというのは意外でした。そういった特色もあり全世界でカーペンターズのサウンドは支持され続けているわけですが、デビュー当時はこうなると思っていましたか?

 全然、思わなかったよ(笑)。カレンが歌い始めた16歳頃を振り返ったら、とてもじゃないけど今のような状況は夢にも思わなかった。「(They Long to Be) Close to You」(邦題:遥かなる影)あたりにようやく世界的に売れていると実感できたぐらいですら、時を超えて50年も聴いてもらえるなんてイメージすらしなかった。こんなに長く皆さんの興味を惹き続け、喜ばれ続けているというこの事実によって、自分がやってきたことが正当化された、良い仕事ができたんだなと今になって思えています。この地球上における存在が認められたような気がしていますね。

――こうなると思っていなかった、とは言いましても、ご自身が作り出す作品には自信があったわけですよね。

 それはもちろん! さっきも出したけど、「(They Long to Be) Close to You」の時は特に、自分でも「こんな音は聴いたことがない」というものがあったからね。その中で当時、面白いことがあってね。A&Rスタジオで作業していた時なんだけど、スタジオは通常、廊下があって個室があるといった環境なんだけど、各部屋から音が少し漏れるんだよね。部屋には関係者以外立ち入り禁止はもちろんなんだけど、人が作業しているスタジオに部外者が入ることって普通は失礼だからやらないよね? だけど我々の部屋から漏れる音を聴いて、「こんな音聴いたことがないぞ」といった感じで、みんなが勝手に我々のスタジオに入ってくるんだよ(笑)。普通じゃ考えられないけど、でもそれもあって、こんなにみんなが興味を示してくれるぐらいの良い曲ができているのかなと思ったのを覚えています。

――入りたくなってしまうほど斬新な音だったんですね。逆にリチャードさんが他のスタジオの音を聴いて、部屋に入って行ってしまったことはありましたか。

 招かれれば行くけど、自分からは行かないよ(笑)。勝手に入ったら普通は怒ると思うんだけど、僕は怒らなかった(笑)。みんながワクワクしてくれたなら、それでオッケーみたいな感じだったからね。


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