巴山萌菜が2019年1月9日に、1stアルバム『Beginning』を発売する。「アイカツ!」歌唱担当を卒業後、ソロシンガーとして活動を始めて約2年。中には、漫画やイラストを動画化した映像とコラボレートした楽曲たち。Re:versed名義でシングル発売、ドラマ『賭ケグルイ』のテーマ曲にも起用された「一か八か」などを収録。同作品の魅力をじっくり話していただきました。【取材=長澤智典】

歌と漫画のコラボレート作、「漫画コラボ動画」とは…

巴山萌菜


        
――今年3月に、Re:versed名義でドラマ『賭ケグルイ』のテーマ曲「一か八か」を発売し、メジャーデビューを飾りました。作品を出して以降、萌菜さんにもいろんな変化の波が訪れました?

巴山萌菜 変わりました。とくに、ライブで歌っているときの感覚が変わりました。Re:versedとしては、いつもの巴山萌菜ではなく、別人格の…もう一人のわたしとして歌っているですが、巴山萌菜のライブの中で「一か八か」を歌うと、会場に一気に盛り上がりの空気が生まれるので、わたし自身も歌いながら吹っ切れる瞬間になります。何より、ライブの雰囲気を妖しくガラッと変えてくれるので、わたしにもファンの皆さんにもすごく刺激を与えてくれる楽曲になりました。しかも、ライブで「一か八か」を歌うたびにRe:versedとして歌っているときの別人格のわたしが、巴山萌菜自身にも影響を与えてくれて、互いに刺激しあってゆく感覚にもなっています。

――萌菜さんと言えば、オリジナル曲が持つ世界観を、漫画家やイラストレイターの方々の物語と共に描く動画にしてネットで公開するという形の、歌と漫画、イラストとのコラボレート制作を行ってきています。あの作品たちは、萌菜さん自身のイメージを伝えたうえで制作しているのでしょうか?

巴山萌菜 もちろん、それぞれの楽曲にわたしなりの想いはあって、それはお伝えしていますけど、それをそのまま絵にしていただくのではなく、お願いをした漫画家さんやイラストレイターの方の想像する世界で描いて欲しいなと思って、それぞれお任せでお願いをしました。

完成した作品たちは、わたしの気持ちとぴったり重なる物語もあれば、想像とは違う嬉しい意外性を持った内容になっていることもありました。だけど、どの作品にも目に見えない繋がりと言うか、共感や共鳴する想いがあって、結果、巴山萌菜にしか届けられない作品たちとしてしっかり成り立ったなと感じています。

――予想外の嬉しい展開の物語が届くときもあるんですね。

巴山萌菜 自分の想像とは違う解釈の物語に仕上がったときには、「同じ曲なのにこういう想像もあるんだ!」と嬉しい驚きがあって、その新鮮な驚きをくれた世界観にあらためて共感して、観ながら泣きだしちゃうこともよくありました (笑)。

――自分の想像とは異なる解釈の物語がどれか気になります。

巴山萌菜 どの作品も意外で、感動して泣いてしまったのですが(笑)、特に驚いたのは最新作の「A.」(アンサー)ですね。くもすずめさんの描いてくださった漫画は、わたしの想像に全くない物語をドラマチックに描き出してくれていて、細かい面にもこだわりを持って描き出されていました。

今回5本の「漫画コラボ動画」を作ってきたのですが、作品全部に言えるのが、みなさんしっかりと細かい設定や世界観を考えて、創り出して、描いてくれたということです。わたしの人生に寄り添ってくれていることはもちろん、その作家さんのこれまでに描かれてきた作品とも繋がっていたり、絵柄に関しても、みなさん本当に細かい事柄や背景を描写してくださるんですよね。そんなことも思って、どの作品でも初めて観たときは嬉しさのあまり泣いてしまったということもあります(笑)。

――ソロシンガーとして活動を始めてから約2年の歳月が経過。2019年1月9日に待望の1stアルバム『Beginning』を発売します。萌菜さん自身、どんな狙いを持って制作をしたのか教えてください。

巴山萌菜 巴山萌菜としてシンガー活動を始めてからこれまでに、同人作品として『#もなリク』というシリーズでアニソンのカバー作品を音源化していましたが、オリジナル曲たちをひとつの作品にまとめるチャンスがなかなかやってきませんでしたが「ついに!」という気持ちです。定期的に行っているライブ活動を通して、支えてくださるファンの皆さんとの絆も深まってきていて、その中で巴山萌菜のオリジナル曲たちがとても大きな役割をはてたしてくれていました。その繋がりの結晶として、まずはこの5曲を1枚の作品にしたいなという想いがありました。同時に、タイトルへ『Beginning』と名付けたように、「ここから新たに物語を始めたい」という気持ちを持って今回の作品を作っています。

――萌菜さんの2年間の歩みを詰め込んだ作品だ。

巴山萌菜 まさに、そういう形になりました。初めて歌ったオリジナル曲の「cu letters」から、最新曲の「A.」まで、どの楽曲もライブなどいろんな場所を通して、ファンのみなさんと一緒に作ってきたと言ってもよい曲たちばかり。それくらい思い入れの強い作品だからこそ、今回のリリースはわたし自身とても感慨深く感じています。

――ここからは、収録した楽曲たちの魅力を一曲ずつ紐解こうと思います。アルバムの冒頭を飾ったのが、最新ナンバーの「A.」になります。

巴山萌菜 わたしが「アイカツ!」の歌唱担当をしているときに歌っていた楽曲の中に、わたしの大のお気に入りで、とても大切に思っていた「Poppin' Bubbles」という楽曲があります。その曲を書いてくださったのが、クラムボンのミトさんでした。なぜ、ミトさんにお願いをしたのかにも理由があります。

――そこ、詳しく教えてください。

巴山萌菜 わたしが何よりも大切にしているのが「目に見えない繋がり」です。ファンの皆さんとの関係って、まさにそうで、それを歌にしたいと思いながら「聞いてくださるみなさんの人生にわたしの歌が重なりあったら素敵だなぁ」と考えていたときに、それをしゃぼん玉に例えて表現したいな思いつきました。太陽の光の下でふわふわと空を舞うしゃぼん玉の姿が、何故か、ファンの人たちとわたしとの関係性にリンクしたんです。同時にしゃぼん玉と「Poppin' Bubbles」の印象も重なったことから、「この曲をミトさんに作ってもらいたい」と思いお願いをしたところ、快く引き受けてくださいました!

――作詞は、meg rockさんが担当しています。

巴山萌菜 meg rockさんは、お話をさせていただいたときにミトさんが「そういう曲ならmegちゃんにお願いするのが良さそう!」と言って、繋げてくださったことからのご縁になります。じつはわたし、アニソン・カバーでmeg rockさんの「笑顔の理由」を歌わせていただいているんです。まさか、その曲を歌っているご本人が歌詞を書いてくださるなんて、それも嬉しい驚きでした。

――「A.」の歌詞には、ファンの人たちとの関係性を記していますよね。

巴山萌菜 そうです。その想いをmeg rockさんに、しかも、わたしの想いをより具体的にして歌詞にしていただけたのがすごく嬉しかったです。漫画を担当したくもすずめさんも、作品にしゃぼん玉を登場させてくださいました。
                      

『cu letters』は、伝えきれていなかった想いを「歌のお手紙」にしてみんなへ届けた歌。

巴山萌菜


                              
――2曲目には、「cu letters」を収録しています。

巴山萌菜 「cu letters」はわたしにとって初のオリジナル曲で、ソロ活動を始めた一昨年の年末以来、ずっと歌い続けています。「cu letters」は、「私の想いをお手紙にして届けたいな」というテーマの歌です。理由は、それまでわたしを応援してくださった家族や仲間やファンの皆さん、友人たちへ、ソロ活動を始めた当初、伝えきれていなかった想いを「歌のお手紙」にして届けたいと思ったことからでした。そう考えたときに思いつき「アイカツ!」時代に担当キャラクターの曲の多くの歌詞を書いてくださっていた、作詞家の只野菜摘さんに作詞をしていただきました。そんなきっかけで生まれた曲ですが、2年間歌い続けてきたことで、この「cu letters」という曲を受け止めるわたしの心境にも変化が生まれました。

――それ、気になります。

巴山萌菜 最初は、わたしを取り巻く人たちへ送った歌の手紙だったのが、今は、「過去の自分が今の自分へ送った手紙」に思えるようにもなりました。それだけ、この歌に、今のわたし自身の心が支えられているからだと思います。

――取り巻く環境の変化によって、自分の気持ちに変化や成長が生まれるのは当たり前のことですからね。

巴山萌菜 そうですよね。これからもずっと「cu letters」を歌い続けてゆく中で、もしかしたらこの先、未来の自分が今の自分へ向けて送る手紙に感じたりするようになったりもするのかなと想像できたりして、自分自身、どんな風にこの曲の受け止め方が変わってゆくのか、もしくは変わらないのかということも楽しみです。 

――「cu letters」の「動画コラボ漫画」を手がけたのが、カガミツキさんになります。

巴山萌菜 お手紙をテーマにした楽曲に合わせるように、漫画の物語の中でもお手紙が題材になっています。あとでカガミツキさんからうかがったのですが、中に描かれているライブハウスは、実際にわたしが最初のライブで歌ったライブハウスがモデルだということや、さらにカガミツキさんが大切に描いていらっしゃる別の漫画の世界ともリンクしているということでした。作品自体が青春物語のように、わたしの「アイカツ!」時代の青春模様にも重なって見えて、胸が熱くなる物語になりました。

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