INTERVIEW

LAMP IN TERREN「“ありのまま”という言葉に向かっていた」試練を超えて生まれた音楽


LAMP IN TERREN

記者:村上順一

掲載:18年12月08日

読了時間:約13分

メンバーに太陽はいない

――「亡霊と影」を野音で聴いた時も格好良いなと思って、私のお気に入りの一曲なんですけど、これはポリープ切除手術のときの麻酔体験が元になっているみたいですね。

松本 大 全身麻酔は本当に怖いですよ。もう2度と起きないんじゃないかと思いながら目を閉じますから。歌詞に出てくる<白けた声>というのは看護師さんの「眠りますよ」という声のことなんです。それを言われて視界が揺らいで「やべ~」と声を出しましたから(笑)。

中原健仁 叫んだんだ(笑)。

――(笑)。あと、この曲のエンディングで出てくるギターフレーズがクラシック・ロックの雰囲気もあって、この曲の世界観を表現しているなと。

大屋真太郎 「こういう風にしたらどうなるんだろう?」みたいな感じでパソコン上で色々試していて、出来上がっていった感じだったよね。

松本 大 そうそう。このフレーズは僕が考えたんですけど、ちょっとダサいんです(笑)。でも、そのダサい感じを全力でやっているのが格好良いと思っていて。ハードロック系のバンドがやっているリフってクリーントーンで弾くと結構ダサいんですよ。でも、歪ませて全力で弾いているから格好良くなるみたいな感覚があります。そういうフレーズを一回やってみたかったので、馬鹿になってみました(笑)。

中原健仁 たまにリハとかでギターを歪ませないで弾いて遊ぶんですよ。それがまたすごく情けない音で、めちゃくちゃダサいんですよ(笑)。

松本 大 「I aroused」なんかは、コードの響きがすでに格好良いので、どうやって弾いたとしても格好良くしかならないですから。でも、ぎりぎりダサくなるフレーズを作るのが僕は好きで、「Dreams」のイントロのフレーズも単体で聴いたら結構ダサい(笑)。

――アンサンブルの妙みたいな。ダサいというのもこれからのキーワードにもなってくるかも知れないですね。さて、最後に収録されている「月のこどもたち」はなぜ月をテーマに?

松本 大 最初は英語で「moom child」というタイトルでした。もう2年ぐらい前なんですけど、自分が何になれるのかというのを、考えていた時に出来た曲です。その中で太陽みたいな人っていると思うんですけど、僕はそれには該当しないなと思いました。でも月にはなれるんじゃないかなと思って。ちょっと諦めを歌った曲でもあります。

――太陽はファンの方だったり、メンバーだったり。

松本 大 そうですね。でも、メンバーに太陽はいないと思います(笑)。太陽みたいな人は何かを与えようと思っていなくても、与えてしまう人だと思っていて。僕らは自分たちから求めに行かなければ、何も出すことは出来ないんじゃないかなと思います。僕は自分を月だと思いましたけど、他のメンバーは星かも知れないし、岩かも知れないし…。

川口大喜 岩って(笑)。

――自分を見つめた中で出来た曲だったんですね。

松本 大 曲を書く上で自分を否定しながら生きてきた人間だったのですが、今回はそうではなかったなと思いました。自分と話し合って、言いたいことを理解して曲に落とし込んでいったなという感覚はあります。誰しもが自分は特別だと思って生まれてくると思うんですけど、今作はそこで挫折した人が、もう一度特別な存在になるためのアルバムと言いますか。

――「BABY STEP」はまさにそのことを強く歌った曲でもありますよね。

松本 大 そうです。今26歳なんですけど、こういう曲が書けたこともあり、僕の中では生まれ変わった感覚もあるので25歳+1歳という感じなんです。

――ある意味生まれたてですね。さて、今作のタイトルにサブタイトルをつけるとしたら?

松本 大 『The Naked Blues~不滅~』ですかね。そういう気持ちで作っていたし、自分は往生際が悪いと思っていて。本当に野音が駄目だったら辞めるくらいの勢いもあったけど、このアルバムを作ったことに往生際の悪さが出ているなと(笑)。

川口大喜 今回このアルバムを完成させて良い事実が出来たと思っています。これから挫折したとしても、このアルバムがあるからまた戻って来れると思っていて。自信作と自分でも言っているのはそういう感覚があるからなんです。なので『The Naked Blues~真実~』かなと。

中原健仁 う~ん…。僕は『The Naked Blues~松本 大の素直な日記~』かな(笑)。

大屋真太郎 僕は「I aroused」の歌詞から引用させてもらうと、『The Naked Blues~私でいるために~』かなと思います。どの曲にもこの言葉が当てはまるなと思いました。他にも僕の中には「理想」や「現実」もキーワードとしてあったんですけど、大のアイデンティ、原点回帰といった感覚もあるので「私でいるために」が一番ハマるかなと思いました。

――それぞれあって興味深いですね。さて、野音で復活を果たし、最高傑作と呼べる作品も出来たわけですけど、これからの展望は?

松本 大 『The Naked Blues』は世の中の流行りを無視した作品で、時代に逆行していっているなと感じていて。でも、今度は世の中の流れ、空気感を読んでみたり、人との距離感を測って自分の言葉を出せたら、どんな化学変化が起こせるかなと楽しみなんです。アルバムが出来たあとも、新曲ができてきていて、メンバーと合わせたりしているので。

――創作意欲が溢れてますね。

松本 大 そうなんです。でも、まずは来年から始まるツアーかなと思っています。いずれ構築された“ショー”と呼ばれるものになっていくと思うんですけど、今の自分たちには“ショー”ではなくまだ“ライブ”かなと。枠組みはもちろん作るんですけど、その時のお互いの熱量をぶつけて完成していくものをやりたいです。アルバムは4人で作り上げましたけど、ツアーはスタッフやお客さんみんなで作って行くものだと思っているので、ぶつかっていきたいなと思っています。

(おわり)

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