ラブソングを作ろうとしたきっかけ

 これまでジャケット写真では避けてきた自身の「笑顔」が今回、使われている。何か心境の変化があったのだろうか。

――ジャケットの笑顔が印象的ですね。

片平「今まで笑顔をジャケットとして使ったことが無かったんですよ。クシャっとなった顔にあまり魅力を感じなくて、スタッフさんが選んでも全部『イヤだ』と言い続けていたんだけど、今回は笑顔が良いかなと」

 彼女が作る多くのラブソングは「リアル」さがある。飾らずに、その時の感情をストレートに歌詞で表現する。それに対して、歌声は伸びやかで包み込むようだ。相棒のギターは、かき鳴らすときもあれば、撫でるように優しく奏でるときもある。その時々の感情を巧みに音で表現している。そうした彼女の等身大の歌詞、それを引き立たせる音は特に、同性からの支持が高い。

――前回のインタビューで、ラブソングで『嘘は書けない』と語っていましたけど、この5年間で恋愛観の変化はありましたか?

片平「探求はしていますね(笑)。今は、作品として納得出来れば嘘でも本当でもいいとは思ってます。去年は25歳で、25歳の当時の感情に忠実に表現することが面白いとは思っていたのですが。曲によって様々です。そういう価値観もかなり変わって来てますよね。デビュー当初は恋愛に気持ちは向かなくて。『女の子は泣かない』という曲もそうですが、人の話を聞いて、そこに感情移入をして自分の中で消化して曲にするというのが多かったんです」

――なぜ、ラブソングを作ろうと思ったんでしょうか。

片平「(福島から)東京に出てきて、ラブソングを書きたいなと思ったんです。それは家族愛でも恋愛でも友愛でも何でもそうなんですけど。親元を離れて次に何を求めるんだろうと思って。自分で新しい愛を探さなきゃと思って、誰かと過ごすことを求めるようになったので年齢とともに恋愛観は変わりました。最初は友達の話や妄想もありましたけど、大人になって自分の実体験も交えた曲が書けるようになりました」

――今の片平さんを見ると、とても充実しているように見えます。

片平「そうですね。今は好きなことばっかりできているし、ライブイベントも横のつながりや先輩からお話をいただいて自分でしっかり考えた上で出演しています。好きな人と関わっているのでそういう充実感はあるかなと」

――人は良くも悪くも人に影響されると思います。携わる人からパワーをもらう時もあれば、削られるときも。そういう人付き合いということを意識されますか?

片平「最近は特に人との関わりはすごく意識しています。10代の頃は人間不信もあったけど、もともと人間は好きだし、とにかく、自分がときめく方に行くようにしています。人との時間や出会いが栄養になればいいなと思うので。そういうことも音楽に影響していると思います」

片平里菜(撮影=冨田味我)

片平里菜(撮影=冨田味我)

 郷土愛が強く、東日本大震災で被害があった街にライブハウスを作るプロジェクトにも参加している。ミュージシャン仲間も多く、人とのつながり、社会とのつながりを大事にしているようにも見える。

――今の社会や世の中についてどう思いますか。

片平「私は依存するのがあまり好きじゃないんですよ。男の人にも、家族に関しても。共存していかなきゃいけないのですが、そこにいて当たり前だと思ったり、甘えてはいけないなと。自立、自分を立することができるようになりたいなと思っていて。日本も独立しているようで、断ち切れない様々な根深い問題があると思うんです」

――片平さんは何か、芯が強いですね。このご時世、弱いから人を攻撃する、という風潮があるように見えます。それは愛を欲していることの裏返しなのではないかと。認めてもらいたいという。

片平「自分にとって何が大切なのか分かっていたら、他人を叩く必要も妬む必要もないと思います。自分の根っこに故郷や家族や帰る場所があって、受け継ぐものがあってアイデンティティーがあれば他人と比べる必要はなくなるのかなとは思います」

片平里菜(撮影=冨田味我)

片平里菜(撮影=冨田味我)

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