情景が浮かぶような音楽が特長の3人組ロックバンドのサイダーガール。クリエイターの3人がネットを介して出会い、バンドを組んだ。その音楽性は、一瞬で弾ける炭酸のように刺激的で爽快感がある。11月28日にリリースした2ndアルバム『SODA POP FANCLUB2』は「幅を広げつつ、掘り下げていく」というテーマのもとに制作された。「一瞬一瞬を大切にしていきたい」という思いが表れた1枚とも言える。この作品を発表する前にはアルバムの収録順通り演奏するライブも実施。そこでは新しい発見もあったという。彼らの出会いから結成、そして今作がどのようにして生まれたのか、話を聞いた。【取材=桂泉晴名】

うちのバンド、シティーボーイがいないんです

――まずバンドを結成した経緯を教えていただけますか。

知 僕らはネットを通して作品で知り合い、そこでお互いに興味を持ったんです。Yurinは僕の曲をよく歌ってくれていて、フジムラも昔からお互いに曲を作っていて知り合いでした。そこで僕から2人に「バンド組みたい」という話をして。出身地もバラバラなんですけれど、運よく東京で集まることができたんです。

――3人の性格は?

フジムラ まったく違いますね。

――フジムラさんは何か言われると落ち込んでしまうタイプ、と伺ったのですが。

フジムラ はい(笑)。

知 Yurinくんは普段結構、ぼーっとしているんですけれど、意外と男気があるというか。僕とかフジムラくんは迷いやすいんですけれど、Yurinくんは結構スパッと決めてくれるかな、という感じです。引っ張ってくれて「これでいいじゃん」みたいな。

Yurin 知はロジカルというか、ものごとをすごく組み立てて考えてくるタイプかな。あとは歌詞にも出ているんですけれど、妄想の感じというか。青春のあまずっぱさみたいなものを、すごく上手に書ける人だなと感じています。最近周りから言われるようになって、本人は「嫌だ」と言っているんですけれど、僕はすごいくいところだな、と思っています。

知 最近よく思うのが、2人をミックスしたのが僕だな、と。ラジオに出させてもらうときも、YurinくんがMCと話す空気感を大事にしたいから、ヘッドホンをつけないでしゃべるけど、フジムラは自分の声をちゃんと聴きたいからヘッドホンをつける。僕は片耳だけつけています。

――本当に半分ですね(笑)。出身地もバラバラだし、共通点がない人たち同士でバンドを組むことに関しては、不安はなかったですか?

知 「バンドをやりたい」という共通点は間違いなくあったので、そこが強かったのかな。後は作品で知っていた、というのが一番のところです。作品のイメージから、その人がこれから作ってくるものを想像できたので。だからあまり不安はなかったですね。

Yurin フジムラは関東出身なんですけれど、そんなに都会じゃなくて。僕と知くんは田舎育ちなので、そういうところでは安心感があったというか。うちのバンド、1人としてシティーボーイがいないんです(笑)。
知 確かに(笑)。

Yurin 空気感が似ているな、というのはあったので、そこがよかったなと思います。

泣いているお客さんもいた、アルバム先行ツアー

――今回2ndアルバム「SODA POP FANCLUB2」がリリースされましたが、リリース前にアルバムの曲順に演奏する先取りツアー(「サイダーガール 2ndALBUM 先取りツアー サイダーのゆくえ -半透明、2018 秋-」)をやられていますよね。ファンの手元に届いていない楽曲をライブで演奏してみていかがでしたか?

Yurin すごく新鮮でした。今までアルバムの曲順通りにライブをする経験がなかったのですが、実際にやってみて、アルバムの曲順とライブのセトリはまったく別ものだな、と。アルバムとしては流れが美しくなるように考えたんですけれど、ライブでいざこの通りにやろうと思ったら、意外と見せ方が難しい。お客さんがまだ曲を知らないというのもあるのですが、ちゃんと1曲1曲提示をしていかないとダメだ、というのもわかったし。改善点も見つかって、もっとよく見せられるという確信が生まれたので。前もってやれてよかったと思います。

フジムラ CDを聴いてからライブに遊びに来る人がほとんどなので。自分たちのファンに対して、新しい曲を聴かせる。しかもそれが大多数を占めるから、リハーサルからいつも以上に「どうやっていこう」と話し合ってできたツアーだった、と思います。

――アルバムの流れとライブのセットリストの違いは、具体的にどんなところで感じましたか?

Yurin  普段、僕らはライブで曲と曲をつなげたりして、ライブならではの流れの美しさを出すんですけれど、アルバムの流れの良さはそれとは別もので。ライブだと「この曲とこの曲をつなげるのは難しいな」といったことが発生するんです。

知 曲数の問題もあるかもしれないんですけれど、アルバムの曲順は、あくまでもアルバムを聴いたうえでの美しい曲順として考えているので。ライブでアルバム通りにやると、自分の思っているライブの波よりも短いスパンの緩急を感じて、それが難しかったと思います。

フジムラ あと、お客さんからはどう思われたのかな、というのはすごい気になります。やっている側にはわからない感じ方があると思うので。

知 でも「dialogue」という曲では、お客さんの表情を見ていて、ぐっと深く聴いてもらえているんだな、と感じましたね。

Yurin 泣いているお客さんもいて。バックで映像も流していて、視覚的にも観てもらえる曲だったんですけど、ライブで初めて聴いて泣いてくれるのはすごいと思いましたし。それは印象的でしたね。

知 僕たちにとっても貴重なツアーでした。

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