映画のような…初めて時間をかけて曲を集めた

 BENIは昨年10月、SPICY CHOCOLATEの「君のことが好きだったんだ feat. BENI, Shuta Sueyoshi (AAA) & HAN-KUN」(スパイシーチョコレート BEST OF LOVE SONGS収録)で、Shuta Sueyoshi、HAN-KUNと競演した。また、今年9月に新木場STUDIO COASTで開催された『渋谷レゲエ祭2018』にゲスト出演。この3年を見ても様々なコラボを見せている。

――『渋谷レゲエ祭2018』に出演されました。熱狂的な雰囲気にのまれずに“BENI”という個性を出していることが凄いと思いました。

 どうなるのかは、出るまで想像できなかったんですけど、本当に温かかったので楽しかったです。とても一体感がありまし、特に「君のことが好きだったんだ」は、みんな歌えていたし嬉しかったです。

――客演のステージで、1曲で観客を惹きこむというのは凄いことだと思いますが、あの経験からご自身のライブへプラスになっていることはありますか?

 短期集中という感じがスッと出る、というああいうフェスは久しぶりで。ボルテージをいきなり上げなければならないじゃないですか? それが凄く新鮮でした。バックヤードも色んな人がいて面白かったです。

――楽屋も凄そうですね(笑)。さて、3年ぶりのオリジナルアルバム『CINEMATIC』ですが、どういったコンセプトで制作されましたか?

 実はここ3年くらいは制作を続けていました。それを一枚にまとめると聞いて、改めてこの3年を振り返ってみた時に、作ってきた曲はわりとコンセプトありきで作り始めていた曲が多かったんです。映画で言う、ワンエピソード、ワンシーンを物語るような。それを並べたときに凄く映画チックで、まるで自分の日々がドラマチックのように感じて。

 それで映画のように考えたときに「これはサントラなんだ」という自分のなかで解釈して、それで『CINEMATIC』というタイトルを付けました。自分のサウンドトラックを作るような意識で、いわゆる普通、日常のリアルでも、それをドラマチックに1曲1曲を表現しているという。

 普段は「よし、作ろう」と1カ月、2カ月短期集中で作るんですけど、こんなに時間をかけて曲を集めたのは初めてです。

――自分の気持ちなどはけっこう反映されている?

 もちろんです。周りにインスパイアされたりとかも。知り合いのドラマチックな恋愛を聞いて、それに影響を受けたり、それこそ映画を観て感化されたり。

――この3年で様々なコラボもありましたが、その経験も反映されていそうですね。ちょうど1年前にSPICY CHOCOLATEさんと「君のことが好きだったんだ」でコラボされましたが、意識的な変化は?

 コラボをすると新しい自分が引き出されることが多いので、SPICY CHOCOLATEさんに関しては、私がそっちの世界に入るということを含めて、普段出さないような声質だったり、普段歌わないような内容だったり、そういうときじゃないとなかなか自分のコンフォートゾーン(自身の領域)から出れなかったりするので、今回はそういう意味では各コラボの中で新しいBENIが聴こえてくると思います。

――声の出し方の変化は感じますか?

 感じますね。もしかしたら自分の中の、みんなが気付かないレベルかもしれないですけど。無理して変えているというよりも自然に。今の私がこの曲を歌うとしたらこういう風に歌いたい、この主人公になりきって歌う気持ちで歌いたいというのが出ている感じです。

――全体的に良い意味で余裕があるというか、これまでに比べるとそのように感じます。それは色んな経験をしているのか、それとも無意識なのでしょうか?

 色んな要素が詰まっていると思います。経験もそうですし、単純に今の気分というか、自分の表現の仕方があまりガツガツしていないというか。内容もわりと誰かに訴えかけるというよりも、そっと伝えたり。例えばMVでナレーションをしているんですけど、熱く語るというよりも、心の声がポロっと出ているような、そういう作品にしたいなと思って。

――歌うのと、淡々と言うのとでは違いますか?

 違いますね。強いて言うならメロディではないぶん照れくささはありますね。自分の得意としている表現の仕方とはちょっと違うから。でもそれが今回チャレンジングで凄く楽しかったですけど。新しい声の表現があるとしたら“喋る声”かなと思って。歌い方を変えるというよりも、今回MVでより一層曲を伝えるには“語る”ということが自ら必要かなと思って。

――語りも凄く良いと思いました。前後から引き継いでいるものもあれば、前後でガラリと変えるというか、そういう役割がありますよね。MVは3部作ということですが、こういうアイディアもBENIさんが?

 そうですね。スタッフと一緒に考えながら作ったんですけど、そういうドラマ仕立てにはしたいと最初から思っていました。

――けっこう衝撃的な展開ですが、なぜドラマ仕立てにしたいと思ったのでしょうか?

 目から入ってくるメッセージと、耳から入ってくるのとでは想像の膨らませ方が違うじゃないですか? 普通MVってざっくり言うと、何となく曲に沿った内容のシーンを表現していくんですけど、思いもよらないような、ある意味、極端なドラマをそこにくっつけたら全然違う聴こえ方がするなと思って。そういうやり方で曲を発表したことがなかったので、わりと曲だけを聴いて、後から映像を観て、ご自由にという感じですけど。今回は明確にこのシーンでこの曲が流れる、「こういう歌なんだ」という。それでまさかの展開、ちょっとスリリングで刺激的なものを作りたかったんです。自分が凄く映画が好きなので。

――とても刺激が強いですよね。

 強かったですね(笑)。あえての結末を決めないというか。どっちにも捉えられるし、ハッピーなのかそうじゃないのかは、観る人の価値観、考えであって欲しいです。そういう映画が私は好きで。後からも語られるような作品。「え? 何だったのあれは?」という、ちょっと疑問が残るくらいの方が、ファンタジーがあっていいんじゃなでしょうか。

――ああいった構成はBENIさんが関わっているのですか?

 はい。終わり方は何回も考え直したり。それこそ現場で急にストーリーを変えてみたりとかしました。ちょっとモヤモヤする感じが残りつつも、妙にしっくり納得いくような終わり方ないかなと思って今の形になったんですけど。最後、終わるシーンがド頭のシーンと繋がっているので、無限ループというのをイメージさせられるような映像になっています。

「CINEMATIC」初回


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