そらる、なぜ支持を集めるのか 「歌う」「作る」ことの本質 シーンと共に歩んだ10年
INTERVIEW

そらる、なぜ支持を集めるのか 「歌う」「作る」ことの本質 シーンと共に歩んだ10年


記者:木村武雄

撮影:

掲載:18年11月28日

読了時間:約16分

過去への自己防衛、そらるの魅力とは

――そうなると時代に合っているか、合っていないか、というのが問われるわけですが、そうした作品はきっと自分の感性や経験が重要になってくると思います。10代の頃のものがそのまま感性となって今の音楽に繋がっている点もありそうな気がしますが。

 高校生、中学生の頃って凄く多感な時期じゃないですか。だから。そのときに感じたものを思い出して曲を書いたりすることはあります。ただ、当時と比べると、色んなことに対して感覚が薄れていくというか。それは自己防衛に近いものがあると思っていて、当時のそのままをずっと生きていくのは辛すぎると思うんですよ。

 心を殺さなきゃいけない瞬間というのが大人になるにつれて増えていって、鈍感にならざるを得ないというか、そうなっていかないと生きていけないようになっているんじゃないかなと。

 けれど、そうした当時のことは、傷付く覚悟があれば、より繊細に感じられると思うんです。

 大人は、「なろう」と思わないとなれないというか、「なろう」と思ってなっていくもので、当時を取り戻せる部分もあると思いますね。当時と同じようにわがままで繊細で、それは同時に傷付きやすくて、そういう当時の自分に戻るということでもあって。そうする覚悟があれば得るものがあるというか。

「歌うこと」、「作ること」の本質

――先ほども、好きでおこなうのとそうではないもの、という質問をしましたが、では「歌い手」とアーティスト活動の違いは?

 「歌い手」は自由に自分が楽しんで、好きな曲を好きなように歌って無料で聴けますし、自分が出したものだけど、そこに対しての責任というのはお金をとるものに対しては凄く軽いというか、自由にやっても文句を言われないので。だからこその良さというのはやっぱりありますよね。CDとかライブになったらやっぱり、そこに来てもらう、お金を出してもらうことに対しての保証を自分がしなければいけないというか、するべきだし、クオリティだったり、努力をして良いものを作るのが当然で。

 やらなければいけないことになったことによる縛りみたいなのが増えて、本当はできるだけ楽しく歌ったものが一番良いものという思いはあるんですけど。違いはそういうところにあるかなと。かといって、お金をとらない「歌ってみた」の方が質は低いかというと、そんなことはなくて、自由に好き勝手に歌ったからこその良さというのがあると思うんです。

――そらるさんはその両方を経験しているわけで、そうした作るというなかで葛藤などはありましたか?

 あったかな…? もともと同人文化というのがあって、コミケとかそういう所でCDを出すという。それってメジャーレーベルからCDを出すのと「歌ってみた」の中間くらいにあるもので、けっこう自由に作って自由に出していいもの。買う側も売る側も「参加者」で。自分はそこを経由していて。物によっては数十円とか数百円でCDを買えたり、自由にやって自由に値段設定をしていいというところを通っていたので、急に「メジャーレーベルからCDを出します」ではなかったので、あまり違和感はなかったかもしれません。

――「歌い手」シーンの根幹と、そらるさんの考えが分かった気がします。もう少し、遡ってもいいですか。「歌い手」として動画を上げ始めた以前の音楽との接点は?

 高校生くらいまではそんなに音楽を聴いていなかったんですけど、当時CDのレンタルショップが流行っていて、MDコンポを買ってレンタルショップにあるランキングのものをたくさん借りてきて、それをMDに焼いてずっと聴いてるみたいな。本当に色んなものを聴いていましたね。そのとき流行っているのはどういうものなんだろうというところで広く浅く。その中でもバンドが好きなんだなと思うようになって、遊びで友達とバンドを始めてみたという感じです。13年くらい前ですかね。

――13年前と言ったら…。

 RADWINPSとかELLEGARDENとかBUMP OF CHICKEN、“ロキノンブーム”というか。レミオロメンとかもですね。そういうことをやり出した人がいて、それを観て凄く楽しそうに見えて自分もやってみたいと思って。歌を歌うこと自体は好きで、本格的ではないんですけど、当時はバンドもやっていて、歌うことには興味があったので自分もその輪に入ってみたいと思って。それが始めたきっかけです。

――バンドマンになりたいという思いはあった?

 なかったですね。単純に聴く音楽のジャンルとしてバンドが好きだったので、同じようにバンドをやってみたいと思っただけですね。

――大学でバンドを組んだということでしたが、その後の進路については特に考えていなかった?

 進路は音楽ではなかったですね。好きなことを仕事にしたいと思っていて、それが音楽ではなくてゲームだったので、ゲームクリエーターになりたいと思ってゲーム学校に通いました。

――そのときのことは今の活動にも活かされていますか?

 自分で曲を書くうえでの発想のもとになっている、というのはあると思います。ちょうど去年出したアルバム(夢見るたまごの育て方)はゲームをテーマにしたアルバムで。他のコンポーザーさんにもお願いして、自分でも曲を書いたんですけど、各々に、今までのなかで一番印象に残っているゲームをテーマに書いてももらって。なので、作品作りのもとにはなっているんです。

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