GLIM SPANKYが16日、東京・渋谷のSpotifyオフィスで、ニューアルバム『LOOKING FOR THE MAGIC』のリスニングパーティをおこなった。このなかで亀本寛貴はLAでのレコーディングを回想し「ロックが当たり前の国でロックしている人は決定的な違いがある」と語った。松尾レミも「そのサウンドを知って日本でやるのと、知らないでそれっぽいのをやるのは違う」と熱く語った。

トークするGLIM SPANKY

トークするGLIM SPANKY

 『LOOKING FOR THE MAGIC』は、ユニットにとって4枚目となるアルバム。今年『FUJI ROCK FESTIVAL '18』のメインステージに出演するなど、勢いに乗る彼らの今が凝縮された作品となっている。この日は抽選で選ばれたファン20人が来場。21日に発売される今作をいち早く聴けるこの機会を待ちわびていた様子だった。

 イベントはGLIM SPANKYのが登場してスタート。ファンを目前にした松尾はまず「本当に嬉しいです。ライブハウス感があって」とコメント。亀本は「少しミスしただけですごい目立つよ」とジョークを添える。二人は過去にもラジオ番組の出演に当たってプレイリストを作成するなど、Spotifyとは縁があるそうだ。

 続いて、松尾がアコースティックギター、亀本がエレキギターを構え、スペシャルライブをおこなった。観客の前でサウンドチェックを終え、亀本が「『TV Show』を演奏します。今日は二人だけでブルージーな感じになると思います」とMC。さらに松尾が「いつもは見えないところが見えると思うので、そんな演奏ができたらいいなと。なので今日はこの曲を二人でやろうと決めました」と話して、演奏開始。二人だけの編成ながら、臨場感あふれるサウンドで魅了した。

 ライブ終了後、松尾が「すごい新鮮だね」ともらすと、亀本は「(この編成だと)バンドがいないのを気合いで補わなきゃいけないので。その良さは出たかな」と応え、満足げな表情を浮かべた。重ねて松尾が「声をかすれぎみに歌う時は、アコースティックの方が生々しくて、ひりひりドキドキするサウンドにできる」と醍醐味を語った。

松尾レミ

松尾レミ

 イベントはここからリスニングパーティ本編へ。まだ誰も聴いたことのない『LOOKING FOR THE MAGIC』の全貌が明らかになっていく。楽曲を試聴しながらの解説も想いが溢れて時間が足りなくなるほどだった。

 特に前述した「TV Show」は、LAでレコーディングをおこなったという。これについて亀本は「人種や国籍で分けたくないけど、ロックが当たり前の国でロックしている人は決定的な違いがある」と回想。それに対し、松尾は「そのサウンドを知って日本でやるのと、知らないでそれっぽいのをやるのは違う。その地で生まれたロックを体験してから、また自分の音楽を作り出したい」と力強く語った。また海外のレコーディングについては、松尾が「大変だと聞いてたけど、最高しかなかったです」と述べた。

演奏するGLIM SPANKY

 全11曲の試聴が終わってから、24都市27公演のツアー『LOOKING FOR THE MAGIC Tour 2019』の情報も発表された。これについて松尾が「楽しみですね。アルバムの世界観を、前の楽曲を織り交ぜながら作っていきたいと思います。みんな是非ロックで遊びましょう」と意気込みを語り、イベントは幕を閉じた。

亀本寛貴

 各曲のメンバーの解説の概要は以下。

▽4 Dimensional Desert

松尾「普通に歌を入れるといつもどおりな感じになるので、歌に聴こえない歌を入れようと試行錯誤しました」

亀本「より大きいステージでやる時にかっこいいSEがあるといいなと思って作りました」

▽Love Is There

松尾「アルバムの最後にできた曲。人それぞれその人だけの愛の扉というか、魔法を日々探してほしい。この曲からヒントを得て素敵な日々を過ごしてほしいと思って作りました。私からみんなへの愛の曲です」

▽TV Show

亀本「LAでレコーディングしました。人種や国籍で分けたくないけど、ロックの様な音楽が当たり前の国でロックしている人はやっぱり決定的な違いがある」

松尾「そのサウンドを知って日本でやるのと、知らないでそれっぽいのをやるのは違う。その地で生まれたロックを体験してから、また自分の音楽を作り出したくて。海外のレコーディングは大変だと聞いてたけど、最高しかなかったです」

▽ハートが冷める前に

松尾「炭酸飲料とのコラボ曲でテーマは『刺激強め』。心の奥底で弾けるものを表現したいと思いました。炭酸は炭酸が抜ける前に飲んだ方がいいじゃないですか。そこにもかけた歌詞になってます」

亀本「この曲は音圧もあって一番派手な曲になった。テンポがここまで落としても派手にできたのは僕的には収穫です」

松尾「そこが大事だと思うんです。早くすればいいってものでもないじゃないですか、音楽って。自分たちのやりたいことを伝える挑戦でもあったので、自分では満足な曲ができました」

▽The Flowers

松尾「伊勢丹『花々祭』とコラボということで『花』をテーマに。日常の街のなかでどんな言葉が聞こえてきたらドキっとするかなと考えます。私はコスメが好きなので、口紅を選ぶ時にこの歌詞を聞いたら素敵な気持ちになるんじゃないかな、と考えて作詞しました」

▽In the air

亀本「この曲はほとんどシンセで僕が入れました」

松尾「汚い音のロックも好きだけど、こういうドリーミーなロックも好きです」

亀本「サイケなエレクトロロックをイメージしました」

松尾「シングルの2曲目3曲目に入っている楽曲もステップアップにつながったので、今年のアルバムには欠かせない。それくらい大事な曲です」

▽愚か者たち

松尾「前作『BIZARRE CARNIVAL』を録る前にレコーディングしてました。すごい前に録ってたんですけど、映画の主題歌ということもあって寝かしていました。メロディアスなんですけど、バッキングはすごいシンプルなんです。それでいいバランスになっています」亀本「サウンド的には新しいものに挑戦したということもなく、ソロもいつもの自分のスタイルなんです。『進歩してないって言われたらどうしよう』と思ってたら、非常に好評で。『GLIM SPANKYめっちゃ進化してる」って感想もあって(笑)、本当にわからないですね」

▽Hello Sunshine

松尾「『朝の曲を書いてください』とお願いされて作りました。朝の曲ってイエイ!みたいな曲もいいけど、私はロマンチックに楽しくなっていく朝を表現しました。サビはアメリカっぽい感じですけど、Aメロのフルートみたいな音は60年代後半のヨーロッパのサイケ音楽を参考にしながら作りました。段々と色々な太鼓やおもちゃを鳴らして、最終的に色々な子どもたちが集まってきてみんなの朝が明けていくイメージです」

▽All Of Us

松尾「ギターソロがとてもいいね」
亀本「割とラフに弾いただけだったんですけど」
松尾「汚い音を作りたいので、いつも『下手くそに弾いて』と言ったりするんですけど」亀本「ギタリストからしたらパニックになるよね。めっちゃ頑張ってきたのに」

松尾「下手風に弾くのはめちゃくちゃ上手くないとできないから、頑張ってる!」

▽To The Music

亀本「この曲を作っている時にフランツ・フェルディナンド(スコットランドのバンド)の新譜が出て。それに影響を受けたんです。ハイハットが印象的なバンドですね」

松尾「そういう大御所の人たちがサウンドを更新している姿を見るとロックファンとして勇気をもらいます。曲は私たちがいつも言っている『世界の壁を越えてロックで繋がりたいね』ということメッセージを込めました」

▽Looking For The Magic

松尾「私が初めて変則チューニングで作った曲です。録音前にLAのサルベーション・マウンテンに行きました。厳しい砂漠を抜けたら、LAからメキシコに向かう長い線路を貨物列車が走っていたんです。それが自分の人生と重なりました。つらい砂漠の真ん中にあるサルベーション・マウンテンも日常にたまにある幸せと似ている。その幸せがあるからこそ、その先に行けるじゃないですか。そういうものをシェアしたくて、日本に帰ってこの曲を作って、再びLAに行ってレコーディングしました」

【取材・撮影=小池直也】

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