4人組ロックバンドのTHE PINBALLSが14日、メジャー1stフルアルバム『時の肋骨』をリリースした。メンバーは古川貴之(Vo、Gt)、中屋智裕(Gt)、森下拓貴(Ba) 、石原天(Dr)の4人組。今作には彼らならではのアグレッシブなロックサウンドから、メロディと言葉を聴かせるナンバーなど多彩な全12曲を収録。今作は「時」をテーマに、1日をアルバムで表現したと話す。今までリリースして来た作品の中でも、一番スケール感が大きくなったという今作に隠されたストーリーとは何なのか、フロントマンである古川に話を聞いた。【取材=村上順一】

12×2がテーマ

『時の肋骨』通常盤ジャケ写

――7月にツアー『Leap with Lightnings tour』が終わりましたが、得たものなどありましたか。

 すごくありました。“Leap”ということもあってお客さんに凄く跳ねて頂いて、それによって地面が揺れるという凄さもありましたし、自分も予期せぬところで限界以上の力が出せるということがありました。限界だと思ってステージに立ったら、意外と今日良かったなということがあって。不思議なんですけど、人間の凄さを痛感したツアーでした。

――バンドの結束力がより高まったりも?

 そうですね。長いツアーだと楽屋とかでの無駄話などは減ったりするんですけど、そうすると逆にステージでの演奏で声を聞くようになるんです。それがまたいい効果を生んでいました。

――今作に収録された曲は、ツアーを終わってから出来た楽曲も?

 はい、あります。常に曲は作り続けているので、ツアー前から出来ていた曲もありました。

――常に作り続けているとのことですが、スランプとかもあったりしますか?

 曲が出てこないといったことはないですね。もちろんボツはありますけど何かしら出てきます。

――デモはどのように作っていくのでしょうか。

 ギターを弾きながら録音していくオーソドックスなスタイルです。「今日はギターの練習をするぞ!」といったテンションで入るんですけど、そこで、たまたま弾いた音から発展して、曲になってしまうということがあります。それで、録音したものを翌日に聴いて、「やっぱり大したことないな」といったことも多々あります(笑)。

――デモでも、歌い方は本番と変わらないんですか? 例えば、ちょっと抑えめに歌っていたり。

 本番とほぼ一緒です。その中で面白いのが、デモでは歌詞がないので、なんちゃって英語だったり、適当な日本語をはめているんですけど、それが何とも言えず良かったりして生かしたり。決まっていないものの良さや発見があったりしますから。

――未完成の勢いみたいなものですね。

 はい。そのあとに録音したものを聴いて、こういう風に言っているのかなと、自分の歌を耳コピしたり(笑)。そこから詞が出来たりします。

――その詞なんですけど、凄く詩人だなと感じました。どのように構築されていくのでしょうか。

 小説とかからインスピレーションを受けることもあるのですが、アフォリズム=格言から出来ることがあります。今日も電車の中で、ひとりで格言をつぶやいていましたから(笑)。

――今日はどんな格言を?

 「戦争は他のものにまかせておくがいい 幸いなるかな オーストリアよ 汝は 結婚すべし。」みたいな(笑)。そういうのが凄く好きで。名言や格言というのは綺麗な言葉だから、人に響くんじゃないかなと思っていて。言葉のファッション性とでも言ったらいいのかわかりませんが、そういう言葉に惹かれてしまうんです。

――確かに言葉としての見た目も格言は美しいかもしれませんね。聖書とかも読まれますよね?

 はい、聖書も好きですね。

――今作に収録されている「アダムの肋骨」なんか完全にそうですよね。アルバムタイトルは『時の肋骨』ですが、なぜ「時」にテーマをフォーカスしたのでしょうか?

 僕はタイトルに数字を入れるのが好きなんです。でも、僕の中でフルアルバムは特別なもので、過去の作品では敢えて数字を見えるようには入れて来なかったんです。でも、言葉としては見えてはいないけど、自分の中では数字は存在していました。そのなかで今回のテーマは12×2でした。12曲入りというのも関係しています。2015年に出したフルアルバム『THE PINBALLS』では1年というものを表現していて、今回はそれを時間でやってみたいと思いました。でも、1日というのは24時間あって、曲が12曲しかないと半日になってしまうというのがあるのですが、今回僕は1曲で2時間進むという流れで考えて制作しました。

――そのなかで肋骨というのは、何を表しているのでしょうか。

 12×2というテーマに掛かっています。肋骨というのは片側に12本あって、左右合わせて24本になるんです。対になるものとして、人体である肋骨を持ってきました。

――曲が揃ってからアルバムタイトルは考えたのでしょうか。それともタイトルが先?

 全曲揃ってからですね。めちゃくちゃアルバムタイトルは最後まで悩みました…。1日というテーマがあったので、今回のツアータイトルにもなっている『end of the day』も候補にはありました。あと、『24』も考えたんですけど、やっぱりジャック・バウアー(キーファー・サザーランド)が主演のドラマ『24 -TWENTY FOUR-』のイメージが強過ぎて(笑)。

――確かに。めちゃくちゃ考えられて制作されているんですね。

 考えるのが好きなんです。聴いてくれる人たちも歌詞を考えて読んでくれる方が多くて、その人たちにも面白いものを提供したいので、凄く考えてしまうんだろうなと思います。

――リスナーへの愛ですね。さて、今回「失われた宇宙」や「回転する宇宙の卵」、「銀河の風」とタイトルから、スケール感が大きい曲が多いなと思いました。

 そうなんです。今回、今まで出してきた作品の中でも、距離が一番遠くまで行けたなとも思っています。2016年にリリースした『PLANET GO ROUND』というミニアルバムがあって、それはフルアルバムのつもりで作った作品なので、敢えて数字を入れなかったんです。これもタイトルからわかるように宇宙がテーマにありました。『PLANET GO ROUND』は太陽系で、今作は銀河系を飛び越えるイメージで制作していて、凄くスケールが大きな作品になったなと自分でも感じています。

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