シンガーソングライターでギタリストのReiが11月7日、1stアルバム『REI』をリリース。卓越したギターテクニックと、小柄な体からは想像ができないエネルギッシュな歌声で、多くのリスナーを魅了する彼女。2015年からミニアルバムを3枚、EPを2枚をリリースしている。今作は自身の名前をタイトルに付けたということもあり、ここまで発表してきた作品の集大成的な意味合いもあると話す。KenKenやちゃんMARI、CHAIのメンバーなど様々なゲストミュージシャンを招き制作されたアルバムについてや、ギターという相棒、Reiが目指す人物像など多岐にわたり話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

音楽やギターはボロボロのブランケットと同じ

Rei(撮影=村上順一)

――クラシックギターを4歳から始められたとのことですが、きっかけは何だったのでしょうか。

 おぼろげな記憶なんですけど、テレビでギターを弾いている女性を見て、私もギターが欲しいとおねだりをして買ってもらいました。その人が誰だったのか、何のギターを弾いていたのかも覚えてはいなくて…。ギターがオモチャと同じ感覚だったんだと思います。それから、クラシックギターを習い始めました。

――すぐ弾けるようになりました?

 今でも弾けているとは思っていないんですけど、習っていく中で曲を弾けた時の感動やアンサンブルの楽しさというのは感じていました。

――5歳でブルーズに出会って、そこからまた変わっていったんですよね。

 はい。学校のビッグバンドで演奏したことによって、即興演奏の楽しさを知りました。その時は英語力も中途半端だったこともあり、楽器の方が言葉よりも通じあえているなという感覚はありました。

――音楽に国境はありませんものね。

 そうなんです。歌も歌詞が付いていたとしても、伝わってくる感情はありますから。

――いつ頃から音楽を職業にしたいと思われたのでしょうか。

 一生音楽をやっていたいという願望は強かったので、物心ついた時からそう思っていました。職業という概念はあとから付いて来た感じで、一生一緒にいるということは、仕事にするということなんだなと、あとからわかったことなんです。

――物心ついた時からとは凄いですね。

 大人になってもボロボロのブランケットを大事にしている方とかいると思うんですけど、私にとって音楽やギターがそんな感じなんです(笑)。ブランケットももしかしたら人から見たらボロボロで汚いものかもしれないですけど、それがないと不安になるじゃないですか?

――愛着を通り越した何かがありますね。もしかしたら今もギターが手元にないのでソワソワしたりしてますか?

 今は大丈夫ですけど、ラジオとかで演奏するわけでもないのに、なぜか抱えて喋っていたりしますね(笑)。

――そんな一心同体ともいえるギターですが、選ぶ基準はやっぱり音ですか。

 もちろん音も重要なんですけど、抱き心地です。体との相性が悪いとプレイにもすごく支障が出てきちゃうんです。そこからどのように音が体に振動してくるかというのを、その後に確認します。音のバイブレーションも抱え心地の一部でもあります。

――そのバランスが判断基準なんですね。Reiさんはギターテクニックも素晴らしいのですが、テクニックというものをどのように捉えていますか。

 伝えたいこと、歌いたいことが一番大切だと思っていまして、テクニックはそれを伝えるためのツールで、私はそれを追い越してしまったらダメだと思っています。例えば料理を作るときだって、味覚だけでなく視覚や聴覚を使って判断したりするじゃないですか、感覚を研ぎ澄ますという意味でテクニックを使っている感じです。料理が出て来たときに、どんなテクニックを使ってこの料理が出来たのかというところに食べる人はさほど想いは馳せないと思うんです。聴いている人にテクニックは感じさせないんだけど、伝えたいことが正確に伝わるのが理想です。

――確かに何を伝えたいのかが重要ですよね。でも、テクニックは皆さん憧れがあると思うのですが、テクニックを身につけるには練習しかないですよね。

 そうですね。私はすごく忘れっぽいんですよ(笑)。なので、何遍も何遍も繰り返し練習していました。

――さて、楽曲についてお聞きします。いつ頃から作曲をされるようになったのでしょうか。

 10歳頃から宅録に興味を持ち始めました。最初は4トラックのカセットMTRから始まって、それから程なくPCでソフトを使うようになりました。

――今作でも聴けますが、アナログシンセサイザーのMoog(電子工学博士であるロバート・モーグが開発したアナログシンセサイザー)を使用されているのは宅録されていた中で興味を持たれて?

 もともとYes(英・ロックバンド)とかシンセを使ったプログレも好きでしたし、坂本龍一さんはARP(電子技術者のアラン・ロバート・パールマンが設立した米・シンセメーカー)を使っていますけど、YMOも大好きなんです。アナログシンセはデジタルのシンセと比べると人間味があって、そこに魅力を感じました。

――1曲目の「BZ BZ」はそのニュアンスも感じられますね。

『REI』 Standard Editionジャケット写真

 はい、全然曲調は違うんですけど、冨田勲(日本の作曲家、編曲家、シンセサイザー奏者)さんも好きなので、宇宙をテーマに自分の解釈で曲を作ってみたいなというのがありました。

――宇宙に興味が?

 私はSF小説が好きなので、その影響もあるのかなと思います。

――宇宙に行ってみたいと思ったりも?

 億万長者になったら、フィアンセを連れて月旅行なんて行ってみたいです(笑)。あと、宇宙船、無重力のなかでは音がデッドなのか、思いっきりエコーが掛かっているのかなど確かめにも行ってみたいです。

――ぜひ宇宙でライブをしてもらいたいです! さて、アルバムのタイトルは『REI』とご自身のお名前でもあります。過去のアルバムでもアルファベットで3文字でしたが、そこにこだわりが?

 造形美としてアルファベット大文字で3文字というのが美しく感じています。最後に私の名前で着地したいというのがありました。それを念頭に置いて最初から作っていました。

――では、集大成といったところも。

 少なからずあると思います。『BLU』『UNO』『ORB』の3部作、『CRY』、『FLY』の2部作をカウントダウン的に出して、最後にセルフタイトルで終わるというのが自分の中でのストーリーとしてありました。

――3部作ではお尻の言葉に続くようにタイトルが付けられていて、2部作ではYで終わるという流れもあって面白いなと。今作も同音異義語でRAY=光という意味も込められているとのことで、2部作から続いているような感覚もあって。

 回文みたいになっていたり、韻を踏んでいたりしています。今作から私を知ってくださる方には、単体の作品として楽しんで頂けるものでありつつ、私はシリーズ物の作品も大好きで、他の作品と繋がりがあるというのも発見があって面白いと思っていて。今まで応援してきて下さった方たちにも、楽しんでいただける繋がりがあったら良いなと思っていました。

――歌と言葉についてお聞きします。日本語や英語の捉え方というのは、ここ数年で変化はありましたか。

 あると思います。1stミニアルバム『BLU』の頃と比べたら、日本語の比率も増えていると思いますし、私の中では平等に英語も日本語も愛しているんですけど、それぞれがこういう時に使ったら良く聞こえるなとか、この意味と響きを合わせるのは不釣り合いだけど、それが面白いなとか。実験と成果みたいなのを作曲する中で重ねてきて、自分にとっての日本語、英語の使い方というのは発見できてきていると思います。誰に伝えたいかによって日本語と英語の選択をしているといった感じます。

記事タグ