cinema staffが26日、東京・渋谷TSUTAYA O-EASTでデビュー10周年を記念した2マンライブイベント『two strike to(2) night~バトル・オブ・オオバコ』東京公演をおこなった。デビュー10周年記念ライブシリーズとして、19日の大阪公演にKEYTALK、東京公演では今年活動24年目を迎え、cinema staffのメンバーも尊敬するというBRAHMANが登場。熱いステージを引き継ぎ、飯田瑞規(Vo、Gt)が「俺らの積み重ねた10年間、それが俺らなりの喧嘩の売りかた」と語った様に、10年間の集大成を見せたステージの模様を以下にレポートする。【取材=長澤智典】

今日は特別な日に

 魂の歌で観客たちを殴り続けたBRAHMANのライブを受け、バトンはcinema staffへ。ライブは、荒々しく掻き鳴らす辻友貴(Gt)のギターの音に導かれ、「GATE」から幕を開けた。変拍子を活かしたシアトリカルな演奏の上で、飯田瑞規(Vo、Gt)が想いを詰め込んだ歌を響かせる。ジワジワと、でも、その音には確かな熱源が詰め込まれていた。少しずつ放たれる熱を抱いた調べたち。始まりは、まだまだ期待を胸に抱かせる、嵐の前の静けさの様相を呈していた。と書きながらも,フロアーのあちこちから無数の拳が舞台へ向け突き上がれば、終盤には<勘違いの><成れの果ては>など会場中を巻き込んだ合唱も誕生。誰もが、身体中から沸き上がる熱を放ちたくてうずうず心を騒がせていた。

cinema staffのステージ(撮影=ヤオタケシ)

 三島想平(Ba)のベースが唸ると同時に、演奏は一気に鋼のビートを刻みだした。解き放ちたい感情が、「革命の翌日」のソリッドな演奏に合わせ一気に騒ぎだす。突き上がる無数の拳。重厚な音を刺しながらも、クールな眼差しで観客らを煽るメンバーたち。それでも僕らは、自由奔放にギターの音を撒き散らす辻の感情のように、フロアーに生まれた熱を楽しく味わっていた。

 久野洋平(Dr)のカウントに誘われ、ギターを鳴らす飯田。沸き立つ感情のままに飯田は「シャドウ」を歌いだした。一つひとつの音が重さと鋭利さを備えている。ヤバい音の塊の上で、エモーショナルに歌をはべらす飯田。その歌や演奏に触発され、身体が自然と沸き立つ。いや、もっともっと沸き立たせて欲しいと、誰もが舞台上へ大きく手を伸ばしていた。

 「今日は特別な日にしましょう、僕らの始まりの歌。夏の終わりの歌を聞いてください」。飯田の言葉に続いて、場内に優しく響きだした「into the green」。夏の熱さを呼び戻すよう、次第に温度を上げる演奏。その上で歌う飯田の声は、閉じていた夏の日々に想いを馳せてゆく。心沸き立つロマンチックな歌なのに、演奏はなんて熱しているのだろう。

 ここまでに描き出した熱源ヘ少しの水を差すように、cinema staffはゆったりとした調べに乗せ、「制裁は僕に下る」を演奏。その調べは、閉まっていた想いを少しずつ引き出すよう、哀愁な想いとともに心の奥へ触れてきた。穏やかな演奏の中へ心地好い緊張を覚えるのも、彼ら自身が、高いテンションの中に生まれる音の駆け引きを楽しんでいるから。想いを馳せるような飯田の歌声が、胸をキュッとつまみ続ける。程よいその痛み、もっともっと感じていたい。

 それまでの静寂を一気に切り裂くように、cinema staffはソリッドかつスケールあふれた音を突き付けた。スリリングな演奏から、ふたたび穏やかな顔を見せながら楽曲は「daybreak syndrome」へ。緩急を巧みに生かした演奏を魅力に、4人は会場の人たちを、熱を張り巡らせた美しくも心地好い緊張を覚える世界へ連れだした。胸に染みながらも、身体を揺さぶらずにいれない演奏だ。その音へ、今はただただ身を任せていたい。

10年集大成のライブ

 飯田は「僕らがCDを初めて出してから10年。今日が集大成のライブ。BRAHMAN、出てくれてありがとうございます。今年入ってすぐBRAHMANにオファーをして、それが現実味を帯びだして。正式に返事を頂いた時は手足が痺れるくらいメチャクチャ嬉しかった。今はキャリアの面でもまだまだ歯が立たないのかも知れない。でも絶対に勝つところを捜そうと。その時間を大切にしたいなと思って、毎日今日のことを考えながら過ごしてきました。2マンする時は喧嘩するくらいの気持ちでこいよと言われてビビッたけど、すごく嬉しくて。でも、俺にとっては何か違うなという気がしていて。だから今日は、絶対的な尊敬を持ってかましにきました。俺らの積み重ねた10年間、それが俺らなりの喧嘩の売り方じゃないかと思っています」と語る。

ライブの模様(撮影=ヤオタケシ)

 メンバーの気迫と気合いを音に乗せ突き付けるよう、cinema staffは「西南西の虹」という音の刃を斬りつけた。今にも牙を剥きださんばかりの表情で、彼らは火傷しそうな熱を、演奏と歌声に乗せ満員のフロアーへ突き付けた。裸の心で挑むメンバーに負けじと、客席からも無数の拳が突き上がる。

 熱を抱いたまま、止まることなく演奏は「poltergeist」へ。狂ったように歌い叫ぶメンバーたち。舞台上を所狭しと駆けまわりながら、4人は鋭利な音を突き付けていく。なんてハードコアな姿勢を知らしめたステージングだ。辻は客席へダイブする様も披露。高ぶった感情はどんどん上がり続ける。

 その熱は、天井知らずで高まり続けていた。cinema staffは「pulse」を突き付け、もっと来いよと観客たちを挑発し続けていく。火のついた感情を静めることなく、いや、それどころかもっともっととガソリンを注ぎながら、身体が千切れんばかりの勢いを持って、ソリッドな演奏を観客の熱した感情へ刺し続けていった。

 飯田は「俺らはここから始まる気がしている。ここから始めるために来たんです。俺らは、あなたの何か変われるきっかけになっていきたい」と呼びかける。

 ライブは、あっと言う間に終盤戦だ。高まる歌声のシュプレヒコール。会場中の仲間たちと気持ちを一つに分かち合おうと、cinema staffは「HYPER CHANT」を演奏。誰もが声を張り上げ、高く拳を突き上げ、高ぶる気持ちを分かち合っていた。とても気持ち沸き立つ歌だ。嬉しいくらいに魂の震えが止まらない。この震えは、最高に気持ちが高ぶっているから生まれるもの。それくらい魂を歓喜させる高揚と興奮を「HYPER CHANT」が、cinema staffの演奏が導いてくれた。終盤、会場中を包み込んだ雄々しき声の連なり。僕らは確かにここに生きている。沸き上がる勇気に熱く興奮を覚えていた。それこそが、cinema staffが僕らに注ぎ込んだ明日へ向かう熱源だ。

 本編最後に、cinema staffは熱した魂をすっ裸に剥き出しながら「チェンジアップ」を叩きつけた。重厚で鋭利な音が身体をグサグサと貫きだす。その衝撃に魂を震わせ、誰もが身体騒ぐままに拳を突き上げ暴れていた。互いに気持ちを一つに狂い続ける。辻に至ってはギターを置き、客席へ飛び込んでいた。頭真っ白に感情を解き放つライブ、それって最高じゃない。

 熱した声に導かれ、再びメンバーはステージへ。ここでcinema staffは最新ナンバーを演奏。とても開放的でパンキッシュな楽曲に触発され、再びフロアーには熱が沸きだした。何より、彼らの演奏が魂を熱く震わせる。とてもエモーショナルな歌だ。右手を突き出し、溢れ出るその音や彼らの魂を全力でつかみたい。沸き上がる興奮に、僕らはずっと浸り続けていたかった。それが、何よりも一番欲しい欲求なんだもの。

 三島の吹くブルースハープの音色に導かれ、最後の最後にcinema staffは「海について」をプレゼント。その演奏は、すべてのわだかまりや影を差した感情さえ暖かく包み込み、ハートフルながらもシャープな音に乗せ彼方へ消し去った。心を無邪気に開放しながら、ポカポカな日射しの中、身体を揺らすその演奏にただただ触れ続けていたかった。心地好いこの余韻を身体に染み渡らせながら、僕らはこの日に心へ詰め込んだ想いを、そっと心の宝箱の中へ閉まっていった。
   
 cinema staffは、これから新たな旅へと足を進める。でも、彼らは何も変わらない。この熱源を持ってただただ器が深く大きくなっていくだけ。その姿勢が恰好いいじゃない。

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