女優で歌手の小西真奈美が24日、メジャー1stアルバム『Here We Go』をリリースした。数多くのドラマや映画、CMなどに出演する中で2016年の舞台『KREVAの新しい音楽劇 最高はひとつじゃない 2016 SAKURA』への出演をきっかけに、ラップの作詞作曲を始めたという小西。これまでに、2017年にインディーズで「I miss you」などを配信リリースしてきた。アルバム『Here We Go』はKREVAの全面サウンドプロデュースで、全作詞作曲を小西自身が担当し、独特の浮遊感のある歌声とラップを披露している。「お芝居はオールアップしたら私の手を離れるけど、音楽はみなさんの手にお届けするギリギリまで自分が携われる。責任はあるけど、面白みもすごくある」と話す彼女。音楽制作における気持ちや本作に込めた気持ちなどを聞いた。【取材・撮影=榑林史章】

クリエイティブな作業に面白みがある

小西真奈美(撮影=榑林史章)

――ラップのアルバムを出すことになった経緯は?

 作詞作曲はスタッフさんからのすすめで、以前から少しずつやっていました。それから2016年に『KREVAの新しい音楽劇 最高はひとつじゃない2016 SAKURA』という舞台に出させて頂いて、ラップに初めて挑戦しました。

 KREVAさんが同じ事務所の先輩で、事務所からこういう舞台をやるから出て欲しいとオファーを頂いたんですね。その時はやはり、「私ですか?」と驚きました。でも、話を聞くと、お芝居の部分もしっかりした作品にしたいから出て欲しいということで。ただ、出演者は全員KREVAさんの楽曲を歌うので、当然私もラップすることになり、きっと足を引っ張るだろうと思っていました。それで、ある練習の日に、KREVAさんを始めとした共演者のMummy-D(RHYMESTER)さんやAKLOさんといった“ザ・ラッパー”のみなさんの前でラップを披露することになって。

――すごいプレッシャーですね。

 そうなんです。でも歌い終わったら、まさかのお褒めの言葉を頂いてしまって。「真奈美ちゃんのラップは独特だ」「作ったほうがいいよ」と。それで試しにラップの曲も作るようになったのですが、それがラップになっているのが自分では判断がつかなかったので、KREVAさんに聴いて頂いたら「できるてるよ」って。周りのスタッフさんにも聴いてもらったら評判が良く、自信がついて、どんどん作っていったらアルバム分できたという感じです。

――もともとヒップホップやラップの曲に興味があったんですか?

 KREVAさんやKICK THE CAN CREWのみなさんの曲は好きで、聴いたりライブに行ったりしていました。なので、普通に耳には入っていました。もともと音楽が好きで、自分の生活には、常に音楽があるという感じだったので。

――ちなみに、学生時代に好きだった音楽は?

 ザ・ブルーハーツやZARD、BOΦWYなど、邦楽のヒット曲です。初めて洋楽で聴き込むようになったのが、ジャネット・ジャクソンの「アゲイン」という曲で、たぶん中学生くらいだったと思いますけど、英語の歌詞をカタカナにして覚えて友だちと歌っていたことを覚えています。そのころは歌詞の意味までは意識していなかったのですが、しっかり歌詞を聴くようになったのはベッド・ミドラーの「ローズ」という曲でした。最初は耳で聴いていい曲だと思って聴くようになり、ふと歌詞の意味を調べたら、「冬は雪が積もって寒くて何も無いようだけれど、その下にはつぼみがあって春には花が咲く」といった内容の一節があって。

 学生だった私には、頑張っていればきっと何かいいことがあるんだと、すごく希望を感じさせてくれたんです。それは、歌詞がすごく自分に響いた経験でしたね。それ以降ジャンルに関係なく、ロックもクラシックも、R&Bもオルタナティブでも何でも聴いています。

――芝居は役を演じます。音楽は、自分の内面の表現という感じですか?

『Here We Go』初回限定盤

 表現するという部分は同じだと思いますが、お芝居は役というものを、自分の身体を通して具現化していくので、自分が出ないようにすることのほうが多いです。脚本家さんの意向や共演者さんとの共鳴のなかで出てくるものを、観ていただく方に感じてもらえるようにということを常に考えています。歌の場合は、作詞作曲もさせて頂いているので、私全部が全面に出ていくという違いはあります。

――何か自分の中にあるものを表現したい欲求みたいなものが、どこかにあった?

 自分を出したいということよりは、クリエイティブなことをやるという点が大きいかもしれません。もちろん、お芝居もクリエイティブな作業ではあるけど、台本があって共演者がいてスタッフさんがいないと何もできない。歌も関わる人が必要だけど、いちばんの大元は自分の中だけの世界で、自分からふっと出てきたものが、曲というものになったり、スタッフさんを介して音源という形になったりミュージックビデオなどの映像になって、それが誰かの心に届く。そういう広がり方はお芝居とは全然違うものなので、そこに自分で作りながら、すごく面白みを感じています。

――全部ひとりで脚本も書いて主演もして監督もして、みたいな。

 極論はそういうことでしょうね。役者は、撮影が終わってオールアップとなると、編集もおまかせになりますし、もう自分の手を離れてしまう。それがこういう音楽の作品だと、いちばん大元の作るところから、みなさんの手にお届けするギリギリまで自分が携われる。責任はあるけど、面白みもすごくあると感じます。

――役者では感じられない面白みや楽しさがあると。サウンドプロデューサーであるKREVAさんとは、どのようなやり取りを?

 最初はパソコン上でデモを送ったり、メールでイメージをお伝えしたり、やりとりを何度かおこなって。その上で、実際にスタジオに入って、音色を選ぶなど音を詰める作業を一緒にやって、プリプロを経て本番のレコーディングをするという流れでした。

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