ロックバンドのパノラマパナマタウンが10月11日に、東京・渋谷Club asiaで自主企画イベント『パノラマパナマタウン presents「渦:渦」』をおこなった。山嵐とSUSHIBOYSの2組が参加し、3組のエネルギーとオーディエンスのエネルギーがぶつかり合い、まさに“渦:渦”するようなステージで楽しませた。トリを務めたパノラマパナマタウンは、12日に配信リリースされた新曲の「くだら nation」などアンコール含め全11曲を披露し、イベントを成功させた。2019年2月には『パナフェス2019』も開催するパノラマパナマタウンの、初自主企画イベントのもようを以下にレポートする。【取材=村上順一】

SUSHIBOYS

SUSHIBOYS(撮影=浜野カズシ)

 トップバッターを飾ったのはファームハウス、エビデンス、サンテナの3MCからなるヒップホップグループ・SUSHIBOYS(スシボーイズ)が登場。身近にあるものをテーマにしたリリックと、クールさとファニーさが入り混じったトラックが印象的なグループだ。自動車に始めて乗った時の感動を落とし込んだという「軽自動車」や、その軽自動車にダンボールを貼った「ダンボルギーニ」など洒落のきいたナンバーで、オーディエンスを惹き付ける。

 <OMG>とオーディエンスとのコール&レスポンスで一体感を出した「OMG」、プールなどで使用するアヒルのフロートボートを、フロアに投入し沸かせた、その名も「アヒルボート」など、演出面でも楽しませた。3人の個性が絡み合う息の合ったフロウが紡がれていくなか、ラストは、「辛いことも過去になれば大したことはない」というメッセージを込めた「問題ねぇ」。幅広いスタイルを見せながら、<音楽は鳴り止まねぇ>と力強いメッセージを残し、ステージを後にした。

山嵐

山嵐(撮影=浜野カズシ)

 2組目はミクスチャーロックバンドの山嵐が登場。結成22年というベテランバンドがどのようなステージを見せてくれるのか期待が高まるなか、7人がステージに登場。会場を揺らすほどの武史(Ba)によるベースの低音が鳴り響き、自己紹介ナンバーともいえる「山嵐」でステージの幕は開けた。ダイナミックなYOSHIAKI ISHII(Dr)のドラムとKAZI(Gt)とYUYA OGAWA(Gt)のヘヴィなツインギター、そこに広がりを与えるKAI_SHiNE(Maschine)のSEと、多彩なロックサウンドでアグレッシブに攻めてくる。「自分たちなりに全力でやっていくのでついてきて下さい」と、オーディエンスに投げかけ「パカパカ」に突入。KOJIMA(Vo)とSATOSHI(Vo)の息の合ったツインボーカルによるスリリングな絡み合いが、感情を揺さぶりかけてきた。

 KAI_SHiNEが「音楽で繋がりましょう!」と「Ride with us」を披露。ビートに合わせ体を弾ませ、ライブならではの臨場感を堪能し「Rock’n Roll Monster」と立て続けに披露。ラストはより一層ラウドなサウンドが降り注いだ「BOXER’S ROAD」。7人から放たれるロックバンドのアイデンティティをオーディエンスも受け止め、一体感のある空間を作り出していた。キャリアを感じさせた圧巻のステージ展開で、パノラマパナマタウンへとバトンを繋いだ。

パノラマパナマタウン

パノラマパナマタウン(撮影=浜野カズシ)

 そして、大トリを飾ったのはパノラマパナマタウンだ。今年はメジャーデビューと、全国で熱狂的な空間を作り上げた『HEAT ADDICTION TOUR』を完遂した彼らのステージに期待が高まるなか、会場は暗転。真っ赤なライティングが緊張感を放つなか、田村夢希(Dr)、田野明彦(Ba)、浪越康平(Gt)の3人がステージに登場し、そして、岩渕想太(Vo&Gt)が続く。岩渕は「調子はどうですか!?」とオーディエンスに挨拶代わりの言葉を投げかけ「PPT Introduce」でスタート。「もっとPPT」の声にオーディエンスも全力で<PPT>とコール。そして、間髪入れずに浪越のソリッドなギターカッティングがクールな「世界最後になる歌は」に突入。この曲でのライブならではのハイライトといえば、岩渕がフロアに降りオーディエンスと近い距離で歌を届けるパフォーマンスだ。岩渕は「今まで色んなバンドとライブをやってきて、バトンを受け取ってきたけど、今一番重いバトンを貰ってライブをしている気がします。オチがない漫画や映画なんて面白くない。最後しっかり結末を締めに来ました」と、このステージへ掛ける決意のメッセージ。その言葉に早くもクライマックスのような盛り上がりを見せた。

 「世界最後になる歌は」で得た熱量をさらに「リバティーリバティー」でブースト。田野と田村による一体感のあるドライブしたリズムセクションが、体を心地よく揺さぶりかける。岩渕は「もっと熱いの見せてくれ!」と、まだまだこんなもんじゃないだろうといった様子で「マジカルケミカル」へ。4人の放つサウンドは勢いだけじゃない、繊細さを感じさせる絶妙なバランス感覚で展開。

 岩渕は「俺たちの渦と(SUSHIBOYSと山嵐)2組の渦、そして、みんなの渦がぶつかり合って、でっかい渦を作る日、それが『渦:渦』。初めての自主企画だったけど、みんな集まってくれてありがとうございます」と感謝を伝え、「カッコいいという言葉と、楽しいという言葉には色んな意味があると思う。そんな色んなカッコいいや楽しいモノが集まった日だと思います」と語り、「パノラマパナマタウンのテーマ」へ。

パノラマパナマタウン(撮影=浜野カズシ)

 ライブは中盤戦へ。「もっと深いところまで行こうぜ!」と「Gaffe」に突入。曲中で様々な感情変化を感じさせるような演奏と表現力で、オーディエンスを扇情させ、岩渕はギターを手に取りミディアムナンバー「ラプチャー」でよりエモーショナルな一面を見せた。

「(この日集まった)3組の意味がわかってもらえるか正直不安でした。でも、みんなの楽しんでいる姿を見て、『渦:渦』をやって良かったと思った。色んな音楽があるし、音楽以外にも映画やファッションとか色々面白いものがある。そんなものに目を向けて欲しいなと思って、俺の好きな人達を呼んで(イベントを)やらせてもらいました。自分の好きなものを押し通すのはすごく勇気がいることだと思うけど、俺は自分の好きなことは曲げないというのが一番大切だと思っています」と思いを告げ、岩渕のフリースタイルラップから新曲の「くだら nation」を披露。この世の中に蔓延する出来事への、皮肉を目一杯込めた岩渕らしさ全開の歌詞と、それを後押しするパワフルな演奏で会場を席巻していった。

 ライブも佳境に入り6月にリリースした「$UJI」へ突入。バンドの放つ熱に惹き寄せられるかのように、オーディエンスも前方に押し寄せる。岩渕は「譲れないものをひとつ持って下さい」と「フカンショウ」を投下。浪越はシャツを脱ぎ捨て、上半身裸でエナジーみなぎるギターサウンドをぶつける。フロアのボルテージも最高潮まで高まるなか、本編を終了した。

 アンコールに応え、再びステージにメンバーが登場。岩渕は「(自主企画)またやりたいです。今日一日いろんな選択肢があった中で俺たちのことを選んでくれたお前ら…いい趣味してるね!」と投げかけラストに「いい趣味してるね」を全身全霊で演奏。曲が進むにつれ爆発力を高まっていく、イベントを締めくくるのに相応しいナンバーで『パノラマパナマタウン presents「渦:渦」』は大団円を迎えた。

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