セカイ系おしゃべりJPOPユニット・ポップしなないでが10月24日、全国流通盤第2弾となるミニアルバム『CDはもう売れない』をリリースする。2015年にかめがい(Vo、Key)とロックバンドTHIS IS JAPANでも活動するかわむら(Dr)によるミニマムなバンドスタイルで結成。2016年12月に全国流通盤第1弾となったミニアルバム『Faster, POP! Kill! Kill! 』をリリース。キーボードとドラムで構築するシンプルながらも複雑に絡み合う独特なサウンドと、かわむらの不思議な歌詞の世界観を歌い上げる、かめがいの歌声は聴くものを“ポップしなないでワールド”へ引き込んでいく説得力がある。その楽曲の世界観の謎に迫るとともに、結成の経緯など2人の音楽ルーツにも迫った。【取材・撮影=村上順一】

CDを売るということは今でも特別なこと

かめがい(撮影=村上順一)

――キーボード・ボーカルのかめがいさんとドラムのかわむらさんの2人という最小限の編成ですが、ベースやギターを入れるというバンドにしようという発想はなかったのでしょうか。

かわむら もともとかめがいさんとは知り合いで長い付き合いなんですけど、僕が彼女が弾き語りしているところを観たのがきっかけで結成しました。音楽サークルでコピーバンドで演奏しているのは観たことがあったのですが、オリジナル曲で弾き語りをしているのを観た時に彼女の歌とピアノ、僕のドラムで面白いことが出来るんじゃないかと思って誘いました。なので、バンドを組もうという感じではなくて彼女の歌とピアノを僕のアイデアで世に発信したいと思いました。

かめがい 2人ですけど、バンドだと思っています。

――かめがいさんの才能に惹かれたところも?

かめがい おおっ!

かわむら それはちょっと違います。一緒にやったら面白そうだなと思っただけですね(笑)。この人の才能についていこうとか、そういった感じではないです…。

かめがい 知ってた(笑)。

――かめがいさんは誘われたときの心境は?

かめがい 一人で活動していて、一人はひとりで楽なんですけど、周りにバンドをやっている人がたくさんいたこともあって、単純に楽しそうだなと思っていました。それもあって誘われた時には全然抵抗もなかったし、かわむら君がやっているバンドTHIS IS JAPANもよく知っていて、どういうドラム叩いて、どんな人かもわかっていたので、抵抗もなく「やってみよう!」という感じでした。

――曲はかわむらさんが作られていますが、かめがいさんはアレンジのみの参加?

かわむら 彼女も曲を持ってきたりするんですけど、なぜか僕が書いている感じになっています。歌詞は完全に僕が書いていますけど。

――独特な世界観の音楽なのですが、お2人の音楽的ルーツは何でしょうか。コード感もすごく綺麗で印象的だったので気になりました。

かわむら ルーツとはちょっと違うかも知れないんですけど、2人でライブを観に行くのはコトリンゴさんです。クラシカルな部分とジャジーな部分、そしてポップなところのバランスが憧れがあります。コトリンゴさんはこのバンドをやる上で共通の重要なアーティストさんです。

かめがい コード感というところではクラシックでフランスの印象派、モーリス・ラヴェルやクロード・ドビュッシーが私もかわむら君も好きなんです。色んな音が混ざった、テンション感が沢山あるような音を意図的に使ったりしています。

かわむら 僕もラヴェルは好きではあるんですけど、語れる程ではなくて、クラシカルな部分は彼女に委ねています。僕はポップスをやるのであれば、ポップスの文脈をなぞっていこうと思っていて、その中でもYUKIさんや椎名林檎さんは女性ボーカルとして好きだったのでよく聴いていました。そこに彼女のこだわりが乗っかってきているという感じです。

――2つの個性が合わさってこの音楽が出来上がったわけですね。さて、バンド名もポップしなないでとパンチがありますね。

かわむら 言い方がすごく悪いんですけど、いい加減に色々やりたくて(笑)。きっちり構築したものというより、自然に出てきた自分の感性に沿った投げやりなものというのがあります。僕らの音楽に関してはいい加減にやっては難しい音楽性だと思うんですけど、それ以外の写真や映像、名前などは雑といいますか、いい加減でも面白いかなと思いまして。いい加減な塩梅を探っていった結果、この言葉に辿り着きました。

――いい加減かも知れないけど、ポップスが死なないで欲しいという願いを込めて?

かわむら そうですね。深読みしてもらっても全然良いです。でも、僕らは「ポップスの命を絶やさないためにやっているんだ」みたいな感じではなくて、ポップスがどこかで死んでしまっても、また何かあるんじゃないかという気持ちでやっています。

――仮にポップスが死んでも復活することなんて多々ありますからね。

かわむら ポップスというのは、そういうものだと思っています。矛盾も孕みつつこのバンド名になりました。

――かめがいさんはこの名前を聞いたときどう思われました?

かめがい めっちゃ良いなと思ったんですよ。というのも、私がこの名前を考えたんだと、なぜかずっと思っていて(笑)。でも、「私こんなの考えつかないよね…」と最近気がついて。

――それほど気に入っているということで(笑)。さて、15年に結成して、翌年にはCDリリースをされるわけですが、そこまではトントン拍子でした?

かわむら 活動自体は気兼ねなくやれていて、楽曲制作はどんどんやっていたんですけど、ここまでにこうしてという計画は特にしていなくて、適当にタイトルを付けた「エレ樫」という曲をSoundCloudにアップしたら、CDを出さないかとお話を頂いきました。

――「エレ樫」は適当に付けたタイトルだったんですね…。

かめがい 歌詞がある前からタイトルはあって、イントロがエレファントカシマシさんぽいからという理由で(笑)。よくわからないうちにCDを出せることになって、「わーい」って感じでした。

――楽曲の良さももちろんあると思いますが、タイミングとか色々あるんでしょうね。

かわむら それはあると思います。これといって目標を決めて活動していたわけではないので、周りの人に恵まれていると思います。僕らはいい加減かもしれないですが、皆さんが一生懸命にやってくれるので。

――楽曲制作についてなのですが、制作スピードは速い?

かわむら 歌詞とメロディーに関しては速い方だと思います。そこから音、アレンジに対してはトライアンドエラーで練りますけど。大体1日で歌詞とメロディーを録音して彼女に投げます。

かめがい 曲をもらって私が一度弾き語りで歌ってみて、「どうかな?」という感じで進んでいきます。

――ちなみに曲のストックはどのくらいあるんですか?

かめがい 音源化していないのは10曲ぐらいですかね。そんなには多くはないんですけど。

――いずれその曲も音源化して欲しいです。さて、今作のタイトルは『CDはもう売れない』なのですが、なぜこのタイトルでいこうと?

かわむら もうこれしかないだろうと思って。いくつか候補はあったんですけど、このタイトルがしっくりきて。ジャケットまでイメージ出来ていました。

――このジャケットに描いてあるピンクの物体はなんですか。

『CDはもう売れない』ジャケ写

かめがい 恐竜とか言われたりもしましたけど神さまです! でも、神さまじゃなくてもその人それぞれ何でも良いんです。

――お2人には神さまなんですね。それにしても『CDはもう売れない』なんてCDを出しているミュージシャンが普通は言わない言葉ですよね。

かめがい レコード会社の人が「良い」と言ってくれたのでいいんです(笑)。

――とは言ってもCDは売りたいですよね。

かわむら もちろんです。ある程度の世代はCDに対しての期待もまだあると思っています。CDを売るということは今でも特別なことだと思っていますし、もしかしたらそれが特別じゃなくなる日が来るかも知れないですが、僕たちは少なくとも特別なことだと思っているので、このタイトルにしたところもあります。

――ということはお2人はCDは買う派でもあると。

かめがい 買いますね。たくさん買うというわけではないですけど。

かわむら 配信も好きなんですけど、モノを見て買うというのはロマンとかだけではなくて効率も悪いことではないと思うんです。ジャケットや歌詞も手元に残るし。

――ちなみにお2人が初めて買ったCDって覚えていますか。

かわむら 親に買ってもらったCDはSMAPさんの「青いイナズマ」で、自分でお金を貯めて買ったのはHi-Standardさんの『MAKING THE ROAD』です。

――ロック系が好きな感じ?

かわむら 僕はPixiesやPavementのようなオルタナ系ですね。あとはヒップホップとかも好きなのですが、自分で1500円以上お金を出して買いたいと思ったのは『MAKING THE ROAD』でした。

かめがい 私が親に買ってもらったのはKinKi Kidsさんの『C album』で、自分で買ったのは中学生ぐらいの時にザ・ビートルズの『Abbey Road』だったと思います。自分でこれだという感じではなくて、親の影響で勧められて買ったみたいなところはありましたけど。

――初めてのCDというのは記憶に残りますよね。ポップしなないでのCDを人生で初めて買ったという人も出てくるかも知れないですね。

かめがい それはすごく嬉しいですね!

かわむら 初めてダウンロードした曲とかなかなか覚えていないですからね。本当にCDが好きだからこそのタイトルなので。


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