LUNA SEA・X JAPANのギタリストでヴァイオリニストでもあるSUGIZOが去る9月11日、東京・Zepp DiverCity Tokyoで『Do Phoenixes Dream of Electronic Music?』の東京公演をおこなった。ツアーは映像作品『Unity for Universal Truth』の発売を記念し、9月5日の柏 PALOOZAを皮切りに17日の石巻BLUE RESISTANCEまで6公演をおこなうというもの。「PHOENIX~HINOTORI~」や「The Voyage Home」などアンコール含め全14曲を熱演。4公演目となった東京公演のもようを以下にレポートする。【取材=村上順一】

この日にみんなと昇天出来ることを楽しみにしてきました

SUGIZO(撮影=Keiko TANABE)

 17年前の9月11日、世界的に衝撃的な事件「アメリカ同時多発テロ」が起こった日。その悲劇からちょうど17年経ったこの日におこなわれた『Do Phoenixes Dream of Electronic Music?』の東京公演は特別なライブになることは容易に想像できた。

 会場に入るとモジュラーシンセ奏者HATAKENによるエレクトロニカミュージックが出迎えてくれた。早くも現実離れした空間がそこには広がっていた。そして、SEとして流れたのは「Replicant Decaying」。雷のようなストロボによる強烈な光のなか、サポートメンバーのよしうらけんじ(Perc)、komaki(Dr)、MaZDA(Key)がスタンバイ、そしてその後をSUGIZOがゆっくりとステージに登場。放たれたのはアルバム『音』に収録されている「禊」で幕を開けた。エレクトロとオーガニックなサウンドが絶妙なバランスで融合、そこに乗るエッジの効いたSUGIZOのロックサウンドが昂揚感を与えてくれた。

 「この日にみんなと昇天出来ることを楽しみにしてきました」と思いを話し届けられたのは「FINAL OF THE MESSIAH」。重戦車の如く迫りくるリズムに合わせ、一心不乱にフライングVタイプのギターで、ラウドなリフを刻むSUGIZOの姿が印象的だった。ストラトにギターをチェンジし「NEO COSMOSCAPE」へ。よしうらけんじによる躍動感溢れるジャンベのリズムと融合するかのように、SUGIZOもパーカッションで応戦。呼応しあうミュージシャン同士の音の会話を堪能。

 神秘的な宇宙へいざなってくれた「Proxima Centauri」から、SUGIZOのもうひとつの顔とも言えるヴァイオリンの音色が心を浄化させるように響き渡った「絶彩」。白い衣装を身にまとったYUSURAが登場し、楽曲にさらなる息吹を与えていく。ステージ上手(かみて)に置かれた透明なドームを使用し、独創的な舞を披露。それは音を体で表現するかのようで叫びとも言えるパフォーマンス。SUGIZOのヴァイオリンも美しさと狂気が入り混じった複雑な心情を奏で、その音色の前に静かに身を委ねるオーディエンスの姿があった。

 力強く“NO NUKES”のフラッグを振りかざすパフォーマンスが印象的だった「ENOLA GAY RELOADED」、そして、暗闇のなか両手を掲げるSUGIZO。けたたましいギターのフィードバックサウンドが包み込んだ「Decaying」へ突入。その過激なサウンドをブーストするかのように、よしうらけんじによるグラインダーを使用したパフォーマンスでステージに火花が弾ける。

 続いてはYUSURAによる和太鼓との共演が印象的な「PHOENIX~HINOTORI~」。不死鳥のごとく何度でも蘇ってくるような力強いサウンドで、我々の体を揺さぶりかける生命力に満ちた音を届けてくれた。本編ラストは「DO-FUNK DANCE」。ダンサブルなリズムに乗って、ソリッドでグルーヴィーなギターカッティングが心地よいナンバー。天井に設置されたミラーボールが美しい光を放ちながら回転、視覚的にも楽曲を盛り立て現実を忘れさせてくれるかのような空間。さらにYUSURAがギターを持って颯爽と登場し、SUGIZOとのツインギターで魅了。オーディエンスもグルーヴに身を任せ、高らかに腕を掲げボルテージは最高潮のなか本編を終了した。

当たり前の奇跡に感謝の念を

SUGIZO(撮影=Keiko TANABE)

 アンコールに応え再びステージにSUGIZOが登場。「9月11日にみんなとこうやって大切な日を過ごせたことが最高に光栄で、とてもスピリチュアルに感じています」と述べると、台風21号や北海道胆振東部地震による被害について語る。

 「正直ツアーをやりたくなかった…。こんな時に音楽をやって良いのか、みんなとハッピーな時間を過ごしてバチがあたるんじゃないかなと思いました。出来ることなら全てをキャンセルして被災地に飛び込みたい。でも色々考えて今の自分の役目は、(被災地で)泥まみれになることではなくて、音楽を奏でてみんなと感動を共有することだと言い聞かせて…。自分にもみんなにもそれぞれ役目はあって、全員が生きている意味があって幸せを頂く権利があります。今はみんなと感動を共有すること、それを全国で全霊でおこなおうと思いました」とこのツアーへの想いを語った。

 さらに続けて「全ての困難な状況にある人達に手を差し伸べたい、心を寄り添わせたいし、できれば共に生きたいと思っています。でも大事なことは不幸な人につられて自分が不幸になる必要はない。今ここにいるということは、俺たちは幸福や気持ちよさを頂いて良い権利がある。今日も最高の天昇をして最高の宇宙を感じて、その感動を苦しんでいる人に送ってあげたい。そういった自分なりの祈りを込めてこの場所に立っています。みんながそういった気持ちになればこの不穏な社会が少しは変わる気がします。政治家でも科学者でもない、ただの音楽家はハピネスを伝えられる役目があると認識していて、みんなと時間を過ごしたいなと思っています。こういう何気ない日常というのがすごく大事で、普通の日常が奇跡の積み重ねだと思っています。当たり前の奇跡に感謝の念をもって、これからも生きていきたい」音楽家としての想いも綴った。

 アンコール1曲目は「TELL ME WHY?」を届けた。魂の叫びとも言える自身の歌声でも感情を解き放つ。そして、「今日だからこその大切な曲」と話し、ラストに届けられたのは「The Voyage Home」。MAIKO(Pf)とHATAKENを呼び込み、母なる海を感じさせるヴァイオリンは琴線に触れてくる至高の音色。その優しさ溢れるサウンドに包み込まれるなか、『Do Phoenixes Dream of Electronic Music?』の東京公演の幕は閉じた。この日、12月にベストアルバム『COSMOSCAPE II』の発売とリミックス・アルバム「SWITCHED-ON OTO」の世界配信が決定したことを発表した。

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