俳優の野村周平が主演を務めた映画『純平、考え直せ』が公開された。野村は近年、人気コミックの実写化シリーズ『ちはやふる』の出演をはじめ、映画やテレビドラマと立て続けに話題の人気作品に出演するなど、今後が大いに期待されている若手俳優の一人である。その一方で、SNSでの歯に衣着せぬコメントが様々な論争を生み騒がれる“炎上俳優”という異名がつけられるなど、様々な意味で注目を浴びている。しかし、映画の舞台挨拶に、インタビューにと諸々おこなった取材からは、批判の言葉にはない野村の一面が垣間見られた。

 インタビュー時の野村は、忙しさのためか若干疲れた雰囲気もあり、表情には少し不機嫌そうな様子も見られたが、こちらからの質問には、時にフランクな口調を交えながら一つひとつ丁寧に答えていた。後にその内容を改めて見返しても、野村はあくまでも自分の芯の思いに忠実な答えを述べており、何か変に思いや事実を曲げたりするような雰囲気はなく、真っ直ぐな意志を感じた。

 一方で本作について「大変な撮影だったでしょう?」とたずねると「いや、大変なのはむしろこっち」と共演の柳ゆり菜をねぎらうような素振りを見せるとともに、その人柄を高く評価しながら「だけど他に違う面が他にあるんじゃないかと」と人柄を分析しながら、興味を持つ面も見せる。それは何か個人的な趣味の観点というよりは、お互いにプロの役者という面で向き合う上での、誠実な見方であるようにも感じられ、たとえばSNSなどで野村に対して言われている単に“チャラい”印象とも、少し違うようでもある。

 また、同映画の初日舞台挨拶では、後輩の佐野岳や岡山天音がトークをおこなう際に、サッと手荒いツッコミを入れ、笑いを起こし会場を盛り上げるような華も持ち合わせている(←会場を盛り上げ、お膳立てする気遣いもみせている)。特にその時のツッコミは、あくまで“先輩らしいイジワルさ”を感じさせるもの。さらにはトークの端々に、敢えて自身の“炎上キャラ”をにおわせるコメントをしのばせたりと、自分をへりくだりながら、他人を愉しませるような面も見せている。

 こういった面は、まさしく『純平、考え直せ』に登場する主人公・純平のような、どこか頼りたくなるような気質を持ち合わせているようにも感じる。現に野村と共演の時間が一番長かった柳が、インタビューで「最初に台本をもらった段階で『これは、まさしく野村さんだよね!?』と思ったくらい」と語り、さらに前記の舞台挨拶で共演の毎熊克哉は「今時の人、というよりは一昔前の男、まさに純平のよう、ちょっと時代遅れのような。でもカッコよかった」と、同じような印象を受けたことを明かしている。

少年のような笑顔をみせる野村周平

 またメガホンをとった森岡利行監督も「礼儀正しくて人に気を使うような男だったので、純平に本当にピッタリ」とその印象を語っている。劇中の純平のバックグラウンドは、あくまで“ヤクザ”の下っ端という好ましくないものではあるが、それを差し引いても魅力的な性格があり、そういった部分はリアルな野村自身に通ずるものがあると感じる。

 ちなみに野村が「炎上俳優」と呼ばれた元となったコメントは、今年おこなわれたサッカーのロシア・ワールドカップにおける日本代表の予選リーグ最終戦の活躍に対するツイッターでの“つぶやき”が最初であったと記憶している。また今年8月には、自身のインスタグラムに喫煙写真をアップし、一部より非難の声を浴びると、翌日には自身のツイッターで「タバコ吸ってたら印象悪い。タトゥー入ってたら印象悪い。意味わからない」と反論、またも“炎上”が引き起こされたと報じられている。

 彼に関して「炎上」と騒がれている経緯は、そんなところだろう。ただ野村の発信自体は、あくまで自身に対して真っ直ぐな姿勢を貫こうとしている、そんな印象だ。発信した意見が正しいかどうかは別として、コメント自体はあくまで個人の意見を述べているだけであり、悪意を持って何らかの何かの火種を大きくするようなものであるとは感じられない。その証拠に自身が受けた批判に対してのリプライには、相手に対しての非難の言葉は見えない。

 そんな意味で野村には、単にSNSなどで騒がれている印象と、実際に見た印象としては、全く違う印象を感じた。森岡監督も舞台挨拶の場で野村との対面について「本当に生身の人間と会ってみないと、人となりというのはわからない」という印象を抱いたことを明かしている。様々な解釈、評価もあってもいいかもしれないが、単にSNSなどの記事や噂話、コメントなどだけで当人の人格を決めつけてしまうのは、余りにも早計のような気がする。野村の「炎上俳優」という評価と、実際に見た姿とのギャップにはそんなことを考えさせられた。【桂 伸也】

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