岡本、矢野、武田、藤原監督

 11日、東京にて映画『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』の完成披露上映会が行われ、映画に出演している俳優の矢野聖人とともに共演の武田梨奈、岡本玲と、メガホンをとった藤原知之監督が登場、

 本作は和歌山県に実在する『太地町立くじらの博物館』を舞台として描かれたドラマで、飼育員のリーダーに抜てきされた主人公が、同僚と協力し合って博物館を盛り立てていこうと奮闘する姿を活写する。全編和歌山でのオールロケで撮影は敢行され、主人公のクジラ井太一役をドラマ『よろず屋ジョニー』(フジテレビONE TWO NEXT)などに出演した矢野聖人が担当、東京から来た博物館の助っ人・白石唯役を武田、太一の同僚・間柴望美役を岡本が担当、他にも近藤芳正、鶴見辰吾らベテランが脇を固める。

■“クジラ”をテーマとした作品作り、その苦労

 今回の作品で初主演を果たした矢野は「20代のうちにやりたいと思った、舞台、ドラマ、映画で主演をやりたいという夢のひとつ」が叶った喜びとして「初主演映画が『ボクジラ』(本作の略称)でよかったです!」とその思いを語る。一方、和歌山県出身の岡本もは、現在「和歌山パンダ大使」という観光大使を務めている一方で、今回のこの映画出演について「お芝居で地元の人の歴史や人柄、温かさを伝えたいと思っていたので、すごく嬉しかったです」とその喜びの気持ちを明かす。

矢野

 一方、和歌山県内をはじめナイーヴに扱われることの多い、“クジラ”という今回のテーマに関し、武田は当初懸念を感じていたことを明かしながら「青春映画という括りでは収めていけない作品だと思う」と、自身の熱い思いを監督にぶつけて議論をした上で撮影に望んだことを明かしつつ「この作品に関わったこともそうだし、公開するのが怖い部分でもあるけど、みんなで愛情を込めた作品なので、多くの人に見ていただければと」と作品をアピールする。

 もともと脚本を書く際には、動物や自然を絡ませると大変だと、執筆の際にはそういった要素を避ける傾向を見せていたという藤原監督だが、その意味で今回の作品が大変そうだと当初思っていたことを明かしながら「でもクジラが賢いので、僕はそれほど大変な思いはしなかった。僕はそれほど大変ではなかったですね」と、撮影は自分にとって取り越し苦労だった様子を告白。むしろ武田との演技で、クジラが勝手にアドリブまで見せて、現地の飼育員まで驚かせるという“名演振り”を見せたエピソードなど、楽しかった撮影のひと時を振り返る。

 反して矢野、武田らはクジラとのトレーニングに対して、相当の苦労もあった様子。自分たちにとっては未知の生物であるクジラに対して、同対応すればいいかも分からず悩みつつ「ただクジラたちも、人間っぽいところもあって、こっちが自信を持ってその子に接してあげないと、言うことを聞いてくれなかったり、遊びに行っちゃったりとか。それぞれ個性もあるし。それを分かってあげて接していると、言うことを聞いてくれるようになりました」と、苦労の中でクジラとの交流という大きな経験を得た経緯を語る。

■誰からも“イジラレる男”、矢野聖人

 初めて和歌山という土地でのロケに参加した矢野は、豊かな自然に囲まれて、ゆったりした雰囲気でのロケに「気持ちがのびのびした」と、大分気持ちがリラックスしていた様子。また本作品のメインキャストである矢野、武田、岡本は同い年で、舞台挨拶でも非常に仲のよい様子を見せる。武田はその仲良くなったきっかけが、ホテルの前に出されていたラーメン屋の屋台であることを明かし「そこに行くときに“私も”と玲ちゃんが声を掛けてくれたり、自然に集まれたので、そこからそういう感じで自然につながれた」と親交を深めた経緯を振り返る。そんな3人だが、藤原監督は顔合わせの際の様子を振り返り「初めて顔合わせたときに、3人は喋らないし、“大丈夫かな?”、と」と不安を感じていたことを明かす。

武田

 一方で3人の中では、一番のイジラレ役になる矢野。最初に対面した際のことを岡本は「矢野くんって(格好が)お洒落なんで、話し掛けるのがおこがましい感じがしたというか」などとコメント、矢野は「さっきの取材で言ったことと、ちょっと違うじゃん!」とツッコミを入れ、笑いを誘う。

 武田は続けて「住む世界が違うよね」などと調子を合わせ、矢野が「いっしょでしょ?」とまたツッコミ、なおも笑いを誘う。さらに武田は矢野らと共にトレーニングに励んだ際のことを回想し「矢野くんはクジラの気持ちを分かろうと思ったのか、クジラになりきろうとしたんです。私が遅れて合宿の練習に入ったときに、“じゃあぼくがクジラ役をやるので”とクジラになりきったり。ここまで役作りをしているのかと感動しました」と、尊敬のまなざし。しかし矢野はその言葉がしっくり来ず「僕をイジルのか」と憮然とした表情を見せ、さらに笑いを誘っていた。

 加えて藤原監督はそんな矢野に「顔合わせのときに、マイケル・ジャクソンみたいな格好で来たし」と触れられたくない部分を暴露し爆笑を会場に呼び込む。そんな矢野とのやり取りの中、藤原監督は「別の日に、初めて会ったときもね。僕はチャラい若者が嫌いなので、(矢野くんを見て)ワーっとなって。でも話してたら大丈夫だったので安心した」と、ふと矢野との出会いから現在までの印象を振り返っていた。

 一方、フォトセッションの際にはオフィシャルカメラマンより、笑顔を即すためのコメントとして「矢野さん、クジラになりきって!」などと声を掛けられ、つい矢野も「そちら側からもイジラレるんですか!?」とコメント、会場を沸かせていた。

■“壁を克服する”その方法への持論を展開

 映画の冒頭では、太一がクジラのトレーナーグループのリーダーを任せられるというエピソードがあり、その経緯から司会者より「壁にぶつかったり、挫折した経験、そんなときにどんな風に乗り越えたか?」との質問が登壇者に投げかけられる。

 この質問に矢野は「自分を応援してくれる人や支えてくれる人を思い出して、そういう人たちがいるから頑張らなきゃ、こんなところでつまずいている場合じゃない、もっと上に行かなければと自分を鼓舞して頑張る。それと1回ゼロになる、そこから再スタートするというか。このままつまずいたままでは、というときにはリセットしようという気持ちを持つことが多いですね」とこれまで歩んできた経験からの持論を語る。

 一方武田は「考えれば考えるほど頭の中がぐちゃぐちゃになるので、映画館で無になってモチベーションを上げますね。映画館って落ち着くんです」と、自身の映画館好きという特長を生かした乗り越え術を明かす。

武田

 また岡本は、先日事務所の後輩に薦められたという滝での、滝行の経験を告白。ちょうど雨に見舞われた時期で、体感として「その後輩が行ったときの50倍くらいの水の量」という状況での滝行だったと振り返り、「“私、死ぬ…”というくらいの痛さと、“私って、なんて弱い人間なんだ”という気持ちで、滝に打たれながら号泣していました」と大変な気持ちでいたことを思い返しながら「でも滝行を終えると“なんか人間なんて、弱かったんだな”、とそんな重いがストンと自分の中に落ちてきて、気持ちが前向きになれた気がしました。自然の偉大さを感じましたし、邪気がたまれば、また行こうかな」と大変な経験をした経緯をコメント。

 そんな岡本の身を思い、空手経験者の武田は「うちの道場に来なよ。いっぱい殴れるから」などとコメント、会場を沸かせる。対して「20代後半のときに、(それを克服する)奥義を見つけた」と語る藤原監督は「全部を自分のせいにする」という大胆な方法を告白。「問題の直接的な要因って、自分のことが1割、2割くらい、後は外的要因なんですけど、それを自分のせいだとすれば、(自分で)環境を変えたりして乗り越えられる方法が見えてくる。そこ(壁にぶつかったところ)で愚痴しか出さないんじゃなくて、具体的な解決策を考えてみるというところだと」と語り、関心の声を浴びていた。【取材・撮影=桂 伸也】

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