今年メジャーデビュー10周年を迎えたSonar Pocketが10月10日、通算7枚目となるオリジナルアルバム『flower』をリリースする。第2章を掲げスタートして以降、初のアルバムとなった『flower』は、笑顔の花を咲かせたいというテーマのもと、復活からの2年間の活動すべてが濃縮された一枚となった。「コライト」と呼ばれる複数の作曲家や作詞家との共同作業で制作し、表現に徹したと話す3人。アルバムの制作背景に触れるとともに、この10年で印象的な出来事など話を聞いた。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

10年を振り返る

eyeron(撮影=冨田味我)

──メジャーデビュー10周年ということで、この10年を振り返ってみて、皆さんの記憶に残っている出来事は?

matty デビューして初めての全国ツアーです。音源リリースだけではなく、ライブもやって自分たちの作った楽曲がお客さんとともに育て上げる瞬間までもがアーティスト活動だと思っていまして、インディーズの時には回れなかったところにも行けたというのは感慨深いものがありました。僕の中ではこれが第一歩みたいな感覚がありました。

eyeron 僕は5年前の日本武道館です。やっぱりアーティストのひとつの目標になる場所ですし、そこで出来たことはアーティストとして頑張って来て良かったなと思えた瞬間でした。昨年のツアーでも2日間やらせてもらって。武道館独特の客席から声が降ってくるのが良いんです。キャパ的にもっと大きい会場でもやったことはありますが、武道館が好きでターニングポイントだったと思います。

ko-dai 僕はメジャーデビューした日です。というのも、先日ドラマ『文学処女』の制作発表会に出席させて頂いたんですけど、僕らは映画の主題歌でデビューさせて頂いていたので、その時も渋谷の109で制作発表会に出席して、とんでもなく緊張したのを覚えていて。今回も舞台袖でそれを思い出しまして。当時は衣装も渋谷の街で買い揃えて出たんです。出演者の方達はメイクもバッチリでしたけど、僕らは名古屋から飛び出してきた、ただの兄ちゃんみたいな感じで(笑)。それが昨日のことのようなんです。

──やはりあっという間の10年でしたか。ko-daiさんは2016年にご病気で入院されていたこともあったので、それを上げてくるのかなと思ったのですが。

ko-dai それもありますけど、やっぱり9月3日からスタートした自分たちがいて、10年目を迎える自分たちがいるので。こうやって振り返ってみると色んな足跡があって、思い出も良いことだけではなく、悔しいことも辛かったこともありました。ただ、この10年目という節目に立てているということが全てなので、2008年9月3日というのが、思い出に残っています。

──悔しかった、辛かった思いというのは?

ko-dai デビュー曲の「Promise」が映画『シャカリキ!』と炭酸飲料のダブルタイアップで華々しくデビューして、僕の想像ではランキングの5位には入って一気にスターダムに駆け上がると思っていたんです。メディアなどでは今年ブレイクするアーティストにも取り上げられたりして、「来たな」と思ったんですけど、フタを開けてみたらオリコンランキングも24位で想像に遥か及ばずで…。そこから認知されるようになったのは3年後なので、自分の理想とのギャップに悔しい思いをしました。

matty 僕はそれが現実なので受け止めるしかないかなと。その後、定期的にリリース出来ていたんですけど、ちょっとリリースが途絶えた時期がありまして、その時は「何でだろう?」と思いました。

eyeron 8カ月間リリースがなかったんです。それまでは2カ月ペースで新曲をリリースさせて頂いていたのですが、急に次のリリースが決まっていないという闇の期間に入ってしまったんです。

matty イベントとかには出ていたんですけどね。リリースはなかったけど、イベントに遊びに来てくれるファンのみんなに勇気づけられたりしました。そこから楽曲作りの方向性もちょっとずつ変わっていったんじゃないかなと思います。その経験がなかったら10年続いていたかはわからないです。あの当時はマイナスな出来事だったかもしれないですけど、時間が経ってみると、「あれがあったから今があるんだ」という出来事が後に控えてたりするんです。それって人生と一緒だなと。

 グループが10年続いたというのは人間の部分とアーティストの部分がちょっと混ざって来ているからだと思います。ko-daiが大病したりというのもそうだし、それがあったから今があるんです。そういうものの繰り返しだと思います。思い返すと色々ありましたけど、良い10年を積み重ねて来れたなと思います。

eyeron 僕もそう思います。今こうやってアルバム出せることが全てだと思いますし。

──2年半振りのオリジナルアルバムですしね。

eyeron そうですね。やっとこの2年半のものが出せるなというワクワクが強いです。

──第2章の始まりとも言えるアルバムになっていますが、タイトルにはどのような想いが込められているのでしょうか。

ko-dai 今回のアルバムはツアーの方が先にタイトルが決まっていて。今まで僕らは『ソナポケイズム』というのを掲げてリリースしていたんですけど、それに一区切り付けるという意味で『ソナポケイズム THE FINAL ~7th Anniversary~ 』を出しました。ここから第2章だというものを掲げていく中で、10年を迎えて感謝を持って全国へ各地へ笑顔の花を咲かせに行く、そんなツアーにしたいと思って『flower』と名づけました。あと、楽曲という花を見てもらいたいという意味もあります。10年やって来た中で育てて来た花がようやく開くということもあって、このタイトルしかないなと思いました。Sonar Pocketの第2章が花開くという感じです。

──その新しさを感じさせたのがオープニングを飾る「Phoenix」なのですが、今までのSonar Pocketにはないテイストの楽曲に仕上がりましたね。

eyeron EDM系の楽曲をライブでは多用していて、お客さんの心をキャッチして、心に火を付けてライブ会場を持ち上げたいという、これからもライブでやっていきたい曲というのを収録したかったんです。ライブの中でみんなの心が熱くなってライブに挑んでくるような楽曲が欲しかったので収録しました。

──これはNAOKI-Tさんと大知正紘さんが作曲で。

ko-dai そうです。これはNAOKI-Tさんが提案してくれた曲なんです。

matty 今回のアルバムは楽曲を提供してもらったものを表現しているというのが大きな部分で、ボーカリストとしての裾を広げる、彩りを加えているというのが今作の特徴でもあるかなと思います。

──ご自身で作った曲や詞と違って、他の方が書いた曲は表現が難しそうに感じますが、その辺りはいかがだったのでしょうか。

eyeron 純粋に楽しかったですね。自分では書かないような表現もあるし、それを吸収して違う曲に活かそうとかもあったり。今回は表現に徹する方が楽しかった感じはあります。与えられたものに対して表現するというのは役者に近いものがあるかもしれません。それはこの10年間でもあまりやって来なかった事なので、それを抵抗なく出来たというのも11年、12年のSonar Pocketに対してもプラスになって成長できたかなと思います。

──その表現については今作で新しいチャレンジなどはありましたか。

ko-dai 「つぼみ」です。NAOKI-Tさんとのコライトなんですけど、僕とeyeronとで2人でひとつみたいな歌のラインというのは初めてでした。サビをユニゾンで歌っていたりするんですけど、ハモが入っても主旋律のように聴こえるんです。このハーモニーデュオというのは新しい挑戦でした。

──eyeronさんのチャレンジは?

eyeron 僕は「Phoenix」ですね。楽曲的にもそうですし、歌い方もチャレンジでした。メロディや歌詞があって、それに合った表現の作り方というのも初めてで、それが出来ない自分にイライラしたりもしましたけど、しっかり曲と向き合ってそれが出来たのも挑戦だったと思います。

──「Phoenix」と「やばば」というアルバムの序盤2曲にチャレンジが詰まってますよね。新しいSonar Pocketの始まりを予感させます。ではmattyさんのチャレンジは?

matty 僕はDJという立場なんですけど、今までDJのテクニカルなスキルを追求したことがなかったんです。NAOKI-Tさんからの提案で、それを「やばば」と「flower」でやってみました。「やばば」ではスクラッチだけではなく、エフェクト的なFXなサウンドも取り入れてみたり、試行錯誤はしました。なので「やばば」は僕の中で挑戦が詰まった一曲になったと思います。

記事タグ