「K-POPは無関心」そんなあなたに、ぜひ聴いて欲しい。

 韓国出身4ピースバンドのCNBLUEが8月末にリリースしたジャパン・ベストアルバム『Best of CNBLUE OUR BOOK [2011 - 2018]』が好評だ。K-POPにあまり詳しく無くとも音楽好きの人ならば、全米で首位に輝いたダンスグループのBTS(防弾少年団)や、“TTダンス”で人気のTWICE、先輩格の東方神起、BIGBANG、KARA…などの名前は聞いたことがあるのでは。しかしK-POPにバンドがいる? そもそも韓国にバンドが存在する??

 実際、韓国音楽のメインストリームには、ダンスグループに比べてバンドは圧倒的に少ない。だからこそ、CNBLUEは生まれるべくして生まれた。韓国メインストリームでバンドとして成功を収め、今や海外でのライブ動員数は韓国バンドとして最高峰を誇る。彼らはなぜその立ち位置にたどり着けたのか? 本国の音楽カルチャーの背景も交えて考察する。

韓国初のスタイリッシュ・バンド

 CNBLUEの結成は2009年。当時の韓国では路上ライブの文化もほとんどなく、元々バンドの絶対値が少ないので対バン等のステージに立てる機会も限られた。そこでCNBLUEは日本のストリートから出発。新宿の路上、代々木公園などを経て、渋谷のAX、原宿のアストロホールなどのライブハウスで地道にライブを重ね、人前でライブをすることから機材の扱い方まで、バンドのイロハを身に付けた。

 2010年にお洒落で甘酸っぱいサウンドの「ひとりぼっち」で本国デビューをすると、メンバー4人のイケメンぶりと合わせて瞬く間に大人気バンドとなる。

 それまで韓国メインストリームでのバンドといえば、バラードロックやハードロックなどジャンルが限られ、“ポップ”なバンドがまだまだ少ない頃。CNBLUEの音楽は、バンドやロックに興味のない韓国の人々にもなじみやすく、スーツ姿で颯爽と楽器を弾く“スタイリッシュなバンド像”を確立。BIGBANGや少女時代、SHINeeらと肩を並べて、K-POP代表アーティストの1組となった。

 日本ではインディーズのラストライブを横浜アリーナで開催するほど大きくなり、2011年10月に「In My Head」で華々しくメジャーデビュー。その後もコンスタントに出すメンバー作のオリジナル曲で数多くのヒット作を生み、毎年アリーナクラスでツアーを行うまでに成長した。

マルチなエンターテイナーとして世界へ

 メンバー4人は役者としても活躍している。メインボーカルのヨンファは、日本でも大ヒットを博した、チャン・グンソク主演のラブコメ・ドラマ『美男<イケメン>ですね』をはじめ、『オレのことスキでしょ。』『三銃士』など主役級を多数こなす。ギター・ボーカルのジョンヒョンは、大御所チャン・ドンゴン主演ドラマ『紳士の品格』をはじめ、得意の日本語を活かして日本映画『生きる街』にも出演。ベースのジョンシンは親しみやすいキャラクターから『私の娘ソヨン』では“国民の弟”呼ばれ、『シンデレラと4人の騎士<ナイト>』、ラブコメ時代劇『猟奇的な彼女』等で幅広い役をこなし、ドラムのミンヒョクは自然な演技力で『棚ぼたのあなた』『相続者たち』『タンタラ』『病院船』など、メンバー中最も多くの作品に出演。加えて人気バラエティ出演や番組MC等でタレントとしても大忙し。韓国アーティストたちはジャンルを問わず、マルチ・エンターテイナーになってこそ一人前。韓流人気とも相まって、CNBLUEの存在は世界へ伝播していった。

“スター性”と“大衆性”

 様々な国のステージに立ち、時に役者としての顔を持つ彼らは、その“魅せ方”を知っている。特にボーカルのヨンファは、ギターと鍵盤を自由に操り、キラッキラの笑顔で客席に歌いかけ、惜しげもなく投げキッスを飛ばす。ハードな曲でのデスな叫びや、バラードでの切なさいっぱいの表情も浮かべながら、観る者をグイグイと惹きつける“スター性”はアッパレだ。日本におけるバンド像といえば、クールに歌いパフォーマンスしてこそカッコよく、眩しいほどの笑顔を振りまけば、アイドルとカテゴライズされがちだ。ところがCNBLUEは、そんなカテゴライズを優に超えてくる歌唱力と表現力、そして音楽力を持つ。

 その一方バンドが主流でない韓国で、「ロックはうるさい」「バンド音楽はマイナーだ」というイメージが一般的にあるからこそ、自身がやりたい音楽性と、人々が好む大衆性の真ん中を開拓し続け、多くの人に愛される音楽を送り出している。(※曲制作のメインはボーカルのヨンファとギターのジョンヒョンが担当)

 ここ数年、韓国にもお洒落でポップな若手バンドが増え、CNBLUEを目標とするケースが目立つ。二十歳前後の年齢でデビューした彼らが、今や韓国の若手バンド市場に大きく貢献している。

原点は日本

 こうした韓国の音楽カルチャーの中で揉まれながら、バンドスタート時に日本で習得したスキルをはじめ、日本の圧倒的ライブ規模と公演数で磨いてきたライブ実績や、日本制作陣が日韓問わず楽曲をサポートしている点も強みだ。CNBLUEの音楽性を辿ったならば、彼らの功績に日本も大きく寄与していることを感じられるだろう。

 「ふとした時、日本の路上でライブしていた頃を思い出す」

 「他の国でライブができたのも、日本でライブ経験を積んできたおかげ」とメンバーは口にする。

 新しいK-POPチームが続々と上陸する2018年、デビュー8年目バンドのCNBLUEを知る価値は大きい。【筧 真帆】

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