女性シンガーソングライターの蘭華が9月28日、東京・南青山MANDALAでワンマンライブ「蘭華 BIRTHDAY LIVE 2018」を開催。同公演は9月19日に発売した2ndアルバム『悲しみにつかれたら』を記念したもので、彼女にとって1年9カ月ぶりの東京でのワンマンとなった。ライブ中に、昨年末には引退を考えていたと明かすほど苦悩の日々を送っていた彼女だが「たくさんの方々に来て頂いてありがとうございます」と満員の観客に感謝。さらに、バースデーケーキのサプライズで同日の誕生日を観客とともに祝った。そして「作品をもっとたくさんの人に届けられるように頑張っていきたい」と涙しながら今後の活躍を誓った。【取材=松尾模糊】

様々な場所からのインスピレーション

 ピンクのドレス姿で蘭華がステージに登場し、会場は歓声と拍手が響いた。岩瀬聡志(Pf)が奏でるピアノとともに、「あなた恋し~故郷の春~」の朗読で静かにそのステージの幕を開けた。

蘭華のステージ

 蘭華は「皆さんにも忘れることのできない人がいると思います。そんな人を思い出しながら聴いてくれたら嬉しいです」と呼びかけ、オリエンタルな楽曲「東京恋文」を歌唱。さらに、京都の街を思い浮かべて作ったという「みどり色の街」を歌い上げた。

 『悲しみにつかれたら』について、「島根や京都、フランスやイタリア、モンゴルやチベットなど世界、日本各地を想い描いて書いた曲が詰まっています」とそのインスピレーションについて明かす。そして、同作に収録の「愛の遺産」を披露。

 今年101歳を迎えたという彼女の祖母が、16歳で出会った祖父に毎日遺影の前で愛を語り掛ける姿に感銘を受け制作したという同曲。壮大なバラードで愛の言葉を歌い、観客もその歌声に静かに耳を傾けていた。

 そして、新作で唯一10年前に出来上がっていたという表題曲「悲しみにつかれたら」を歌唱。自身が失恋した経験をもとに作られ、すでにライブでも披露されて来た。今回は押尾コータローがギターのアレンジと演奏を務めており、音源を同期しての歌唱。独特のギターサウンドがエッセンスとなり、切ない恋模様を思わせる同曲をエモーショナルに仕上げていた。

誕生日サプライズ

 ここから、ギターに菊池達也を迎えてステージを展開。ギターストロークから始まる「メランコリック」をジャジーに歌い、会場のボルテージを上げる。

会場の模様

 最近、特にシャンソンにハマっているという蘭華は「フランスの寂れたBarで演奏する初老のアコーディオン奏者を主人公にした」と話す「懺悔の裏窓」を歌唱。アコーディオンとピアノの旋律が絡み合う中、シックに哀愁溢れる歌詞を歌った。

 1年9カ月ぶりとなる東京でのワンマン公演。蘭華は「久しぶりで不安だったのですが、こんなにたくさんの方々に来て頂いて…ありがとうございます」と観客に感謝を述べた。

 さらに「CDがなかなか売れない時代です。歌手を目指して上京してきましたが、思い描いていたものと違ってメジャーデビューしても苦しい日々が続き、昨年末には引退も考えていました」と苦難の日々を明かす。「マネージャーやプロデューサーに『次の作品を待っている人がたくさんいるよ』と励まされ、ファンの方々からも『蘭華さんの音楽に支えられている』というコメントやメッセージをもらって、何とか思いとどまって今年に入ってアルバム制作を始めました」と少し目を潤ませながら振り返った。

 そして「毎回この作品が最後になるかもしれないと死ぬ気で作っているのですが、この作品をもっとたくさんの人に届けられるように頑張っていきたい」とこれからの活動に意気込んだ。

 この日は蘭華の誕生日。マネージャーからサプライズのバースデーケーキが差し入れられて、蘭華は観客が「ハッピーバースデー」を歌う中、ケーキ上のろうそくの火を吹き消し「こんなにたくさんの人に祝ってもらったのは初めてです」と嬉し涙を流した。

 アップテンポの「大地の祭り」では拳を上げながら元気にパフォーマンス。観客は手拍子で盛り上がる中、本編を終えた。

 アンコールでは、2011年に他界した父親に捧げた「花時」と、会場に訪れていた母親に捧げる「maama」のメドレーで両親に感謝の意を示した。さらに「皆さんに素晴らしい人生が待ち構えていますように」と願いを込め「美しき人生」を歌い、大団円で公演を終えた。

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