w-inds.のメンバーであるRyuichi(緒方龍一)が参加する3ピースロックバンド・ALL CITY STEPPERS(以下ACS)が10月3日に、2ndフルアルバム『PARTYAGE』をリリースする。前作『SEXY VIRGIN RIOT』から実に4年振り。ACSは2008年にRyuichi(Gt、Vo)が参加していたバンドRadio Foundationと友人であるThe John's GuerrillaのLeo(Vo、Gt)の対バンがきっかけで、そのライブを偶然観に来ていたRyuki(Ba)とともに2013年3月に結成。同年8月に「Precious Girl」でメジャーデビュー。60年代や70年代のクラシック・ロックをベースとし、グルーヴィーなファンク要素と現代的なサウンドをミックス。今作も体を動かしたくなるような楽曲から感情揺さぶりかけるミディアムナンバーまでバンドの幅の広さを感じさせる作品となった。この4年間の活動を聞くとともに、今作を“ゼロ枚目”と語る3人にその真意を聞いた。【取材=村上順一/撮影=冨田味我】

人を説得、心を動かさなければいけない

Leo

――4年振りのアルバムとなったわけですが、この期間は皆さんどのような活動を?

Ryuichi 前作『SEXY VIRGIN RIOT』が出てから各々の活動があって、その中でACSの活動があったというのは変わらないんですけど、その中で振り返ってみると4年経っていたな、という感じなんです。自分の中では2年ぐらいの感覚でしたけど、「もう4年も!」みたいな。

――あっという間に過ぎていた感じなんですね。その間に楽曲制作をされていたわけなんですが、どのように曲は作っていったのでしょうか。

Ryuichi 割とスタジオに集まって、出来た曲を披露するということが多いです。あとは2人が僕の自宅に集まって宅録する感じです。

Leo 最近のバンドはデータでやり取りすることが多いと思うんですけど、僕らは基本的には3人が集まって生で合わせて行くのが主体です。RyuichiはたまにPro Tools(レコーディングソフト)を使ってデモを仕上げてくる時もありますけど。

Ryuichi でも、バンドで生で合わせるスピード感を知ってますから、そっちの方がいいんですよ。早ければ5分で出来ますから。あと、笑いながらスタジオでやった方が楽しいですし。

――今となっては珍しいスタイルになってしまいましたよね。

Ryuichi 進化を止めてしまったバンドなので(笑)。ちなみにLeoはいまだに8トラックのMTR(マルチトラックレコーダー)を使ってますよ。

――まさかカセットテープのMTRですか。

Leo ギリギリハードディスクです(笑)。僕の中では機材はそれで十分なんです。ジョン・レノンとかの時代はもっと機材がショボかったと思うんですけど、それでもあんなに良い曲をたくさん生み出しているので、曲を生み出す段階では関係ないんです。ゴールするにはちゃんとしたスタジオが必要ですけど。

――ACSの音楽性としてもそのスタイルが良いのかもしれないですね。

Ryuichi 60年代や70年代で派生されたちょっと土臭いザラザラとした音質かもしれないけれど、僕たちはその奥にある空気感や息遣い、ライフワークが音に乗っているんじゃないかなと。デジタルでスピード感のある感じだとまた違う感じになるので。僕たち3人が集まって、それが音に現れたものが『PARTYAGE』だと思えるし、その等身大のサウンドを乗せるのが面白いなと。僕たちが集まっている理由がそこにあるんじゃないかなと思います。

――その『PARTYAGE』というタイトルなんですけど、どこからこのタイトルは出て来たのでしょうか。馴染みのない言葉ですよね。

Ryuichi Leoが突然この言葉を出してきて。パッと見た時の違和感なんかも含めて今の僕らを表している言葉だなと思いました。僕らが集まってコーヒー飲んだり、ホットケーキを食べたりしているところも音に出ている、そういうアルバムにしたいという願いを込めています。

Leo 造語だと思うんですけど、この言葉が思い浮かんだんです。

Ryuki もうタイトルは「これだ」という感じでした。

Ryuichi “PARTY”と“AGE”の間にスペースを入れると、言葉としてまた出てくるとは思うんですけど、敢えてスペースを入れずに言葉の強さや違和感、面白さがあるなと感じました。

――見た時に引っかかりますよね。さて、今作は4年も掛かったということもあり制作も苦労されたと思うのですが、作業はいかがでした?

Leo この4年間でレゲエやスカ、みんな色々な音楽が好きになってるんですよ。曲も今回収録した9曲よりも実は沢山あって、敢えての9曲なんです。僕の中では“ゼロ枚目”という「ここからがスタート」という気持ちもあります。前作ははじめましての挨拶で今作は自己紹介という感じです。大変だったというところだと、人を説得、心を動かさなければいけないというところです。

――説得ですか?

Leo 好きな曲を作るのは誰でも出来ると思います。そのなかで人の心を打つ、動かすものというところで、ライブなどトライ&エラーを繰り返しました。僕の役目というのはボーカルということもあり、“人の心を打つ”というところだと思っていて、それがやっと最後の方に出来たんです。いつもこれが最後という気持ちで生きてきましたし、めちゃくちゃ最高のものをやろうとアルバムまで漕ぎ着けました。

――かなり覚悟や決意を持って制作されていたわけですね。

Leo 4年ですからね…。今まで経験したことのない時間だったので、僕の中ではけっこう覚悟はありました。

――ACSがもしかしたら自然消滅してしまうのではないか、という危機感なんかも?

Leo それはないですね。この4年の間にも3人でセッションしたり、遊びに行ったりもしてましたから。

Ryuki バンドメンバーという前に昔からの友達という感覚もありますから、無くなるということを考えたことは僕もないです。

Ryuichi うん。ただアスファルトの下で根と芽はウズウズしている感じはありましたけど。

Leo 人間はすぐに楽な方にいこうとしてしまうと思います。自分もそうなんですけど、やらなければいけないことが絶対にあって、そこから逃げてはいけないんです。バンドのゴールはどこだと考えた時に、バンドを結成した時がゴールだということもあると思います。僕はこのバンドを始めた時、世界中色んなところに行くという使命が生まれて。ただの友達だった僕らをRyuichiが「これを世の中に出そうよ」というシンプルな目標でした。売れたいとかそういうものではなかったんです。目標はブレてはいけないと思うんですけど、長く結果が出ないとブレてしまうこともあると思います。そういったところが辛かったところはあります。

Ryuichi そうそう。今振り返るとけっこうキツイところを歩いていたみたいな(笑)。

記事タグ