父親像としてのクリストファー・ロビン

――時代設定も興味深かったです。クリストファー・ロビンが戦争に行った時代で、そのことが記憶にあり、価値観がその時代のものではあるものの、すごく共感できるテーマでした。このバランスは、どのように舵取りをしながら演じていましたか?

 まさしく僕は、あの時代の人間を演じているわけだよね。戦争を経験して、それこそ生死を自分の目で見てきて、日常になんとしてでも戻らなければいけないという強い思いが、間違いなく彼と家族との間に距離を作ってしまった。そのことは、迷子になっている彼のアンハッピーな状況に影響を与えていることは、間違いないと理解していた。直接的だけれどね。

 もうひとつ僕が撮影中に脳裏にすごく描いていたことは、父親像としてのクリストファー・ロビンだった。つまり現代と1940年代では、父親像は違っていたと思う。僕の父がまさしく戦時中生まれで、劇中のクリストファー・ロビンの娘のマデリンが40年代生まれで、ちょうど同じくらいだよね。だから、父のことをよく考えていた。クリストファーは戦争に行ってしまうので、3歳になるまで娘と会ったことがないだろう。手紙などはあっただろうけれど、実際に会った時期は3歳になってからだろうとね。

ユアン・マクレガー

――ところで、プーのように日常で幸せを感じる瞬間はいつですか?

 プーが言うように何もしない時間というのを、この作品を撮り終えた後に作ってみたよ。撮影後9カ月間、本当に何もしなかった。オフの時間を初めて取ったよ。以前の僕であれば、そこまで何もしないということは、まるでチャレンジのように感じたに違いないけれど、最高の体験だったよ。

――映画のメッセージを実践してしまったという(笑)。

 もともと僕は趣味は多いほうで、バイク好きなことはご存知のとおりかもしれないね。古いバイクを乗ることも集めることも好きだから、ネットで見つけては買ったり売ったりしていて、それからいじることも大好きだよ。そこから古い車もすごく好きになっていって、実は今回の作品で妻のイヴリンが運転している車は、僕が買い取ってしまったよ(笑)。あの車、いままでで最高の香りがするんだ。レザーもオイルも、全部がすごくいい匂いでね。どうしてもほしくなってしまって、ディズニーが持っていたので買わせていただいた。この来日の2日前にロスの自宅に届いたよ。

――まさしくクリストファー・ロビンですね!

 もちろん、趣味の時間は仕事の合間に無理矢理作ってはいたけれども、いまはたっぷりと時間をかけることができたので、それが幸せの瞬間だったかな。また近いうちに新作の撮影に入るけれど、大丈夫かな、僕は(笑)。

(おわり)

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