シンガーソングライターの藤田麻衣子が19日、カバーアルバム『惚れ歌』をリリース。歯科衛生士として働きながら音楽活動を開始し、2014年からメジャーレーベルに活動の場を移して活動。透き通った歌声と共感性の高い歌詞、ドラマティックなメロディで20代女性の圧倒的な支持を得ている。花嫁の気持ちをテーマにした「手紙~愛するあなたへ~」は、インディーズ時代の曲ながら現在もロングヒット中だ。今作『惚れ歌』は、彼女が子どものころに慣れ親しんだ曲を中心にカバーしたアルバムで、藤田は「90年代のJ-POPは歌詞が素晴らしい。知っている曲も、もう一度歌詞に共感しながら楽しんで欲しい」と話す。カバーアルバムの制作にいたった経緯や各曲にまつわるエピソードなどを聞いた。【取材=榑林史章】

90年代の曲、メロディにインパクト

『惚れ歌』通常盤 ジャケ写

──どうしてこういうカバーアルバムを出すことに?

 私はアルバム制作の前には、ミュージカルを観に行ったり小説をたくさん読んだりして、インプットの作業をするんです。それはつまり“ときめき探し”で、ワクワクしたり感動したり心が動くことによって、刺激を受けて楽曲が書ける状態になっていきます。今回は今までとは違った、新たな刺激を得たいと思っていました。

 その刺激の1つが、昨年4月にオーケストラコンサートを開催したことです。音楽監督として、ピアニストでアーティストのプロデュースからドラマやアニメの劇伴も手がけられている羽毛田丈史さんにお願いしました。そこで羽毛田さんの生み出す音楽の世界に触れて、すごく“ときめき”を感じる自分がいました。

 そしてもう1つ、同じ4月にカバー曲で構成したファンクラブの企画ライブをおこなったことも刺激になりました。想像していた以上に楽しいイベントになって、ファンのみなさんからも好評でした。それでカバー作品を作ることは、私自身いい経験になるし、ファンのみなさんにも喜んで頂けるものになると思って、私からスタッフにプレゼンさせて頂いたんです。

──企画書みたいなものを作って?

 そこまでではないけど、私からお話をさせて頂く会議の場を設けてもらいました。そこでアルバムのタイトルは『惚れ歌』で、楽曲は私が惚れた歌ばかりを集めるということ、私が惚れた羽毛田さんのピアノをバックに歌うということ、そして最終的にオーケストラコンサートを開催するのはどうでしょうか? と。そうしたら、みなさんが「面白そうだ」と乗ってくださって、そこからとんとん拍子に話が進んで制作することになりました。

──選曲された曲に90年代の曲が多いのは、何か意識してそうされたのですか?

 90年代の曲をと意識したわけではなくて。当時は私がちょうど小学生で、歌詞の意味が分からなくてもメロディの良さで曲を好きになっていて。シンガーソングライターになってからも色々な曲を聴いていく中で、小学生のときに聴いた曲の良さに改めて気づくことも多いし、後から「こういう曲もあったんだ」と発見できた曲もあります。90年代の曲は、それだけメロディに強烈なインパクトがあるものが多いということなんだと思います。

──男性ボーカルの曲も多いですし、ピアノのしっとりとしたアレンジで歌われていたり、原曲とは違う角度で提示してくれているので、どの曲も改めてメロディの良さを感じますね。たとえばCHAGE & ASKAさんの「SAY YES」は、1991年の(フジテレビ系)ドラマ『101回目のプロポーズ』の主題歌として有名です。

 学校から帰ると夕方前の時間帯にドラマの再放送をしていて、『101回目のプロポーズ』は再放送で見たんです。だから、いい歌なのはもちろんですけど、自然と耳に入っていて歌えるようになっていた、当たり前のように身近にあった曲です。それを大人になって改めて聴いたら、歌詞の良さやメロディの素晴らしさに改めて気づかされました。

 世の中にはこれだけ多くの曲があるので、たいていの曲は似たコード進行の曲がいくつか見つかるものなのですが、ASKAさんの曲のコード進行は、他のどの曲にも似たものがなく、とても独自の動き方をするんです。だからといって変わった曲ではなく、普遍的な魅力があって、シンガーソングライターとしてとても衝撃を受けました。

──当時はテレビでいろんな方にモノマネされていて、それだけ当時としてもインパクトと特徴があったということでしょうね。

 そうかもしれないです。私もウッチャンナンチャンの内村(光良)さんがモノマネされていたのが大好きでした。それを今回改めて掘り下げてみて、楽曲の凄さに改めて感動したという次第です。特にASKAさんの主メロに対して、CHAGEさんが丁寧にハモっているところは、CHAGE & ASKAさんの特徴なので、それも忠実に再現したいと思って作りました。

 私自身がコーラスを重ねるのが好きなのもありますけど、ハモリやコーラスはどの曲も時間をかけましたね。みんなが意識して聴くところではないけど、原曲ファンの方は耳で覚えていることが多いから、原曲に対するリスペクトを込める場所としてコーラスは忠実に再現するように心がけました。ただ主メロよりも音が小さいし、コーラスの歌詞は歌詞カードにも載っていない場合が多いので、耳を澄ませて何度も聴いてラインを探していくのは、大変でしたけど楽しかったです。

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