INTERVIEW

クラブレゲエをもっと身近に、RISKY DICE 笑いで人心をつかむ


記者:榑林史章

写真:RISKY DICE

掲載:18年09月11日

読了時間:約13分

レゲエのメッカで武者修行

『びっくりボックス3』ジャケ写

──RISKY DICEさんのライブは、どういう形で展開しているんですか?

 セレクター(ヒップホップで言うところのDJ)のYOKKONが曲をかけて、僕がMCとしてお客さんを盛り上げる感じですね。「手を挙げろ!」とか。それで、かける曲のメッセージに合わせてしゃべったり、メッセージを投げかけたりお客さんに質問したりして、それでまたその流れに合った曲をかけるという形です。セレクターとお客さんの間にMCがいて、三者で会話していくような感じです。

──レゲエのMCは、ヒップホップのようにラップしたりしないんですか?

 そうですね。でもヒップホップにもサイドMCと言って、メインでラップするMCとは別に、盛り上げ役のMCがいる場合があって。レゲエのMCは、そのもっとうるさい版みたいなイメージです。レゲエのMCって、曲を途中で止めてずっとしゃべったりするので、いい面も悪い面もあると思いますけど、でもそれがレゲエらしくて楽しいところだなって思っています。

──レゲエのステージには、独自のスタイルがあるんですね。

 はたから見ると、歌わないしラップもしないし、他人の曲をかけてそれに合わせてしゃべってるだけって思うかもしれないです。だからレゲエの現場ではないイベントに出たあとは、毎回SNSで「あの人たちは何なんですか?」とか、「歌うんですか? 歌わないんですか?」など、ちょっと困惑した声がたくさんあがります。

──この夏もたくさんのイベントに出演されていて、8月8日のパインアメの日に大阪・なんばHatchで開催された『ハチハチハッチ パインアメの日の大作戦』では、植田真梨恵さんやET-KINGさんと共演されていますね。

 毎回僕らのライブに来てくれているお客さんもいましたけど、いつもより年齢層が高めで、座席指定の会場でした。そういう場所では少しでもレゲエに対して理解を深めて欲しい気持ちがあるので、自分たちについての説明を交えながらやらせていただきました。そういう時に、笑いの要素というのが、すごく力を発揮するんです。上からレゲエを押しつけるのではなく、笑いを交えることで肩の力を抜いてもらってから、スッとレゲエを聴いてもらうやり方がいいのかなと。

 当日お客さんから、「レゲエと言えば夏ですが、冬は何をしているんですか?」という質問があったんです。確かにレゲエはジャマイカ発祥でジャマイカは年中夏なので、夏のイメージがありますよね。でも実際は季節に関係なく活動していて、変にイメージを壊してもいけないので、答え方にちょっと困りました(笑)。

──RISKY DICEさんはニューヨークで結成されたそうですが、ニューヨークはレゲエのイメージがなかったので意外でした。

 そうですよね。「何でジャマイカじゃないんだ?」ってよく言われます。でも、ヒップホップに『フリースタイルダンジョン』みたいなラップバトルがあるように、レゲエにも“サウンドクラッシュ”と呼ばれる曲をかけ合ってバトルする文化があって、その世界的なメッカとされているのが、ニューヨークのブルックリンです。

 僕はもともと、海外でもレゲエMCの活動がしたいと思っていて。海外ではジャマイカン・パトワ(ジャマイカなまりの英語)という言葉を使うので、ジャマイカン・パトワを覚えるには、まずは英語の基礎がなければダメだと思って。たとえば海外の方が、日本語そのものの前に関西弁を覚えて話すのを聞くと、ちょっと笑ってしまったりするじゃないですか。そうならないように、まずは英語を勉強したかったのと、ブルックリンでレゲエの修行もしたいと思ってブルックリンに行きました。

──じゃあ英語は、ペラペラなんですね。

 ペラペラです(笑)。当時は、一生でこんなに勉強したことがないというくらい、自分でもびっくりするほど勉強しましたよ。昼間は語学学校、夜は無料で受けられる地域のセンターでやってる学校に行き、夜中はブルックリンのジャマイカ人のスタジオで音楽を学んで。ブルックリンのクラブで、レギュラーのイベントを持たせていただく機会もあって。観光ガイドブックには載ってないような、観光客が行かないほうがいいエリアにあるお店で、毎週水曜日にやっていました。

──海外で、そうやって活動されていた日本人は他にいたんですか?

 海外でも活躍された大先輩にはMighty Crownさんがいます。先ほど話したサウンドクラッシュの世界大会である、ワールドクラッシュの1999年大会で優勝されて、足跡を残してくださっていて。日本人がやるサウンドに対して、それほど悪いイメージを持たれていなかったので、そこはやりやすい部分がありました。

──爪痕は残せたんですか?

 “爪垢”は落とせました(笑)。でもニューヨークでの2年は大きくて、毎週水曜日のレギュラーですごく揉まれました。まだ言葉も覚えたての頃で、現地のお客さんの心を掴むためには、笑わせるところから始めなくちゃいけなくて。今僕らがステージで、まずは観客を笑わせて気持ちをほぐしてからレゲエを聴いてもらうというやり方は、そこで培ったものだという自負はありますね。ニューヨークに行く前から頭では分かっていたけど、現地に行って肌でそれを感じたという感じです。

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