レゲエサウンドのRISKY DICEが7月25日、アルバム『びっくりボックス3』を発売。RISKY DICEはMCのMiyamoを中心に、2008年に米・ニューヨークで結成。選曲のセンスとMCのマイクパフォーマンスでオーディエンスを盛り上げる、“サウンド”と呼ばれるクラブレゲエのスタイルで大阪を拠点に活動している。これまでにリリースしたアルバム『びっくりボックス』シリーズなどがロングヒット。今作は3年ぶりとなるシリーズ最新作で、アルバムに先駆けて配信リリースされた収録曲「吾輩はナチュラル・ハイである。feat. APOLLO, CHEHON, HISATOMI, NATURAL WEAPON, RYO the SKYW ALKER」はiTunesレゲエチャート、レゲエザイオンで1位を獲得した。クラブレゲエ界では話題の彼らだが、Miyamoは「クラブレゲエはまだマイナーなジャンル。シーンを盛り上げるためには、柔軟に考え幅広い動きをすることが重要だ」と話す。ボブ・マーリーなどに代表されるレゲエとは一線を画す、独自の文化を持つクラブレゲエについて、どんな想いで活動を続けているのかMiyamoに話を聞いた。【取材・撮影=榑林史章】

笑いとレゲエを融合して魅力を伝えたい

Miyamo(撮影=榑林史章)

──最新アルバム『びっくりボックス3』には、オリジナル曲「吾輩はナチュラル・ハイである。feat.APOLLO, CHEHON, HISATOMI, NATURAL WEAPON, RYO the SKYWALKER」を始め、FIRE BALLの2004年の楽曲「Make It Fire Burn」のミックスも収録していますね。

 僕らはFIRE BALLさんなどを聴いて育った世代で、僕らの青春時代の楽曲なんです。でも今のお客さんは世代が若くて、当時の曲を知らなかったりするんですね。だから僕らの世代が衝撃を受けた楽曲を、今の僕らのフィルターを通して、若いお客さんにも聴いてもらいたいと思いました。他にも、新旧問わずレゲエの名曲を収録しています。

──FIRE BALL側にやらせて欲しいと打診をしたのですか?

 はい。それでOKをいただいて、トラックを僕らが今の音で新たに作って、そのトラックの上でさらに歌を録り直してもらっています。収録曲の多くは、そうした既存曲のダブミックスなんですけど、歌は全部新録なので原曲とはリリックが変わっているものもあって、歌詞の中に“RISKY DICE”と入れてくれている方もいます。原曲を知ってる人は、これを聴いて新鮮に感じてもらえるだろうし、原曲を知らない若い方には、これをきっかけにして「じゃあ原曲はどういう感じなんだろう?」と、遡ってもらえたら嬉しいですね。

 こういう作品はダブミックスと呼ばれるものなんですけど、もともとはプロモーション盤みたいな感じで、「こういう曲もありますよ!」って、いろんな人の曲がたくさん入ったものなんです。だからオリジナル曲で自分たちの色を出したいのもあるけど、こういうダブミックスをきっかけにして、押しつけじゃない感じの流れで、いろいろなレゲエのアーティストに触れてもらったり、今まで聴いたことのなかったレゲエの楽曲を知ってもらったりする、きっかけになってもらえる作品になったんじゃないかと思います。

──既存曲から新たなものを生み出す、ダブミックスというものは“サウンドシステム”と呼ばれるレゲエ独自のものですよね。

 そうですね。ほとんど原曲があって、その原曲を違うトラックに乗せて、新たな魅力や楽しさを提示する形です。原曲を知ってるファンの方はそれを聴いて、「こういう聴かせ方もあるんだ。新しく生まれ変わってる!」という感じで楽しんでくれています。今回のアルバムは、そういうコアな楽しみ方と、レゲエ初心者にも分かりやすい部分とが、バランスよく入ったものになりました。

──トラックリストは45曲ですけど、スキット(寸劇)としてお笑いコントのような短いトラックがところどころに入ってくるのが、いい意味での“箸休め”になっていますね。

 箸休めになっていてくれたらありがたいですけど、曲の邪魔になってないか不安です(笑)。これは先日聞いた話で…とあるCDショップでアルバムをかけてくださったそうなんですけど、スキットがこういうものであることを知らなかったみたいで、突然茶番劇が始まったから、驚いて他の人のCDに換えたそうなんです(笑)。

──そもそも、どうしてこういったお芝居と言うかお笑いコントのようなトラックを入れるようになったんですか?

 楽曲は、原曲があって歌やラップも本人に録り直してもらっているので、僕らはまったく歌ってなくて。もちろんミックスのやり方で自分たちの色も出せるのですが、それとは違った部分でもっと自分たちの色を出したいと考えて、気づいたらこういうものを入れていました。

──関西のお笑いの血が騒いだんでしょうか。

 きっとそうだと思います(笑)。大阪のアーティストとしては、やっぱり笑いの要素を上手く融合させながら、レゲエの魅力を伝えるクルーになりたいと思って活動しています。そういう自分たちらしさを、存分に発揮させていただいた作品になっています。

──関西の笑いとかノリが、レゲエの楽しさや温かみみたいなところと、どこか通じるものがあると思いました。

 そう言ってもらえたら嬉しいですね。聴く人によって、笑いはいらないって思う人もいるでしょうけど、僕らは自分たちがやりたいことをやるのが一番だと思っているし、そもそもこういうレゲエという音楽は、一般にはなかなか広がりづらい部分があることも確かで、全員で同じ伝え方をしても意味がないと思っていて。だから僕らは僕らで、笑いを交えた僕ららしい伝え方ができればいいなと思っています。

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