LAMP IN TERRENが19日に、東京・日比谷野外大音楽堂で自身最大規模となる『夏の野外ワンマンライブ「ARCH」』をおこなった。4月におこなわれたツアー『ONE MAN TOUR 2018「MARCH」』のファイナルで声帯ポリープの切除手術の為バンドは活動休止。今回のワンマンは復活となるライブとなった。「New Clothes」やこの日にリリースとなった復活盤限定CD「Water Lily」、そして「地球儀」などアンコール含め全16曲を熱演。新たなスタートを切ったライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

まずはメロディと演奏に乗せて届けます

松本大(撮影=浜野カズシ)

 空は快晴。連日の猛暑が打って変わって、涼しげで心地よい風が野音にそよぐ。BGMにはカーペンターズなど穏やかな音楽が流れ、リラックスした雰囲気が会場を包み込んでいた。開演時刻になると、メンバーがステージに登場。観客も歓声で迎え入れる。黒い衣装で身を包んだ松本大(Vo.Gt)は客席に向かって一礼。復活の船出を飾った曲は活動休止タイミングで発表した「New Clothes」。久しぶりのライブということもあってか、少々緊張感のあるスタートでまだどこか固さを感じさせていたが、後半の松本のシャウトで空気が変わる。続いての「キャラバン」から「ランデヴー」と疾走感のある楽曲で、いつも通りの4人を徐々に取り戻していくかのようだった。

 観客からの「お帰り~!」という声に松本は「ただいま」と応える。「言いたいことは沢山あるけど、まずはメロディと演奏に乗せて届けます!」と松本がキーボードを奏でる「Dreams」へ。そして、「林檎の理」とシームレスに立て続けに演奏。そして、この日にリリースとなった復活盤限定SINGLEからカップリング曲の「亡霊と影」を披露。シリアスな雰囲気を持つナンバーは会場の空気感をガラッと変えてしまった。クラシックロックのニュアンスを感じさせるギターリフと相まって、これからのバンドの未来が垣間見えた1曲だった。

 そして、松本はキーボード、大屋真太郎(Gt)はアコースティックギター、中原健斗(Ba)はES-335タイプのベース、川口大喜(Dr)はシンプルな3点セットという、アコースティックセットで「花と詩人」を演奏。野外ならではの虫の音との共演。わびさびを感じさせる演奏で、より言葉を鮮明に浮き立たせた。もう一曲アンセムナンバーの「multiverse」もアコースティックで披露。松本はキーボードからアコギにチェンジし、観客の盛大なシンガロングが日比谷の空に響き渡った。

 ライブは後半戦へ。映画『亜人 -衝突-』の主題歌「innocence」を投下。アグレッシブな演奏と歌で観客を扇情させると、緩急をつけるかのように「heartbeat」とメロウなナンバーで感情を揺さぶり掛けてくる。そして、日も落ち、空には半円の月が浮かぶなか新曲「Water Lily」を披露。川口はパッドを使用しシンセドラムでリズムを刻む。シンセドラム音にヒューマンなグルーヴを加え、そこに中原の温もりのあるベースサウンドが支え、大屋も水が流れるようなギターソロで楽曲を彩った。その上に乗る松本の歌も優しさが溢れていた。

 川口の方へ向き合う3人ーー。奏でられたのは「緑閃光」の印象的なアルペジオが響き渡るなか、ステージは目映い光に包まれていく。<ここに居る意味が 誰も居ないと解らなくなりそう>という歌詞がいつも以上にリアルに響いてきた。ライブの定番ナンバーも刻々と変化しているというのを感じさせた演奏と歌だった。

光量の違う光りで一緒に生きていきたい

「地球儀」を熱唱する松本大(撮影=浜野カズシ)

 松本は「喉の手術をしてそれまでの自分とは全然違う自分になったなという感覚があります」と話し、続けて「心が生まれ変わるような1年になった、またゼロから積み上げていかなきゃいけないのかなと思った。これだけの人が来てくれて自信にもなりますし、俺も元気になります。LAMP IN TERRENとして、松本大としてこの場所からまた、ゼロからひとつずつ積み重ねていきたいと思います」と宣言。松本は一人メインステージを離れ、客席中央に設置されたセンターステージへ移動。「ここから世界を変える気で始めたいと思います」と想いをぶつけ「地球儀」を熱演。観客の側に行くことにより、絆がより深まったかのような瞬間。観客のボルテージも最高潮に高まっていた。「皆さんを幸せにするつもりで活動していくので宜しく!」と決意ともいえる言葉を残しステージを後にした。

 アンコールに応え、再びステージにメンバーが登場。松本は「ライブをやってみてわかったことがひとつあります…。声は戻ってはこなかった。死んだと思いました。正直、一番最初に歌ったときもう戻ってこれないと思った」と心情を吐露。

 さらに「(みんなと)会わない間に色々考えました。どこかで演じている自分がいて、こう言ったら喜んでもらえるんじゃないかなとか…。そういう気持ちも大切だと思うんだけど、それ以前に自分でいることをやめると一緒に生きるということにはならないと思った。どれだけ言葉にしようとそこに自分がいないと向き合っている意味がないなと…。俺は俺で生きていくので、メンバーはメンバーで生きていく、あなたはあなたで生きてください。せっかく同じ世界の上で出会えたので、光量の違う強さの光りで一緒に生きていきたいと思った。僕らはこの世の微かな光です…。聴いてくれている皆さんを含めこの世の微かな光だと思っています」と話す。

LAMP IN TERREN(撮影=浜野カズシ)

 この野音公演について「野音に集まったこれだけの人数で少し自分が理想としている、たくさんの微かな光が集まって大きな光になるという、自分の目標がひとつ達成できました」と想いを告げ、「楽しく生きていこう。音楽をやっている以上、いつも(みんなの)隣にいます。いつも支えます。いつも支えてください。これからもどうぞ宜しくお願いします」と投げかけ「メイ」を届けた。数多く吊されたランプと電球が温かく優しい光でステージを包み込むなか、ライブは大団円を迎えた。最後に年内にアルバムをリリースする事を発表。このライブで感じたものが音源にどのように反映されるのか期待しながら完成を待ちたい。

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