キャラクターとして歌った経験が大きい

──ボーナストラックには、2007年のインディーズデビュー曲「Your is All…」を収録していますが、これについてはいかがですか?

『The Best Of Pile』TypeーA

 当時のCDは入手困難になっているし、歌う機会も少ないので、なかなか幻チックな曲なんです。だからこの曲の存在を知ってくださってる方は、すごく喜んでくれていますね。よく「録り直したんですか?」って聞かれるんですけど、今回はあえて録り直さず当時のまま収録しました。10周年の始まりの曲でもあるし、若い時の声を残しておくのも良いかなと思って。

──その当時は、どんな気持ちで活動していましたか?

 その時は19歳くらいで、自分の意見もまだあまり言えなかったですけど、自分のやりたかった歌がやれることがとにかく嬉しかったです。それが今、こういう感じでやれていることは、まったく想像もしなかったし。

──それから10年の活動でターニングポイントになったのは、やはりμ'sの活動ですか?

 そうですね。「Your is All…」を出して以降は、思うような活動がなかなかできなくて、やっぱり難しい世界だなと感じて、「もう辞めちゃおうかな」って思っていたんです。それで最後のチャンスと思って受けたのが『ラブライブ!』のオーディションで、それに受かったことで今の私があるわけで。それがなければ、今こうしてベストを出せるまでにはなっていなかったし。

──その頃は、声優と歌手の活動を並行してやっていたわけですけど、どういう風に切り替えていたんですか?

 それまで自分の人生で声優をやるとは思っていなかったから、簡単なものではないということは、実際の収録現場で実感しました。実写の演技は経験がありましたけど、声優は表情とか体の動きで表現できないので、すごく大変でしたね。当時、監督さんから「歌は自然に表現できるんだから、歌みたいにやればいいのに」と言われたんですけど、それがなかなか難しくて。だから切り替えるとか考える前に、声優の仕事の時はいつもすごく緊張していました。

──でもその活動の中から、自分の音楽活動に反映されていったものもあったわけですよね。

 はい。そのキャラクターの気持ちになって、その子が歌うとしたらどんな風に歌うか、ということをずっとやっていたわけで。それを経験したことによって…それ以前は、「歌声が安定しない」と言われていて、何回録ってもどれも全部違う声になってしまって。「どれが本当のPileの声なんだ?」という感じだったんです。それが、自分の声とか歌い方はこうなんだなと、確立できたのは、キャラクターとして歌う経験をしたことが大きかったと思います。

──自分の声を客観的に捉えることができた、と。

 キャラクターソングで、その人の声とその人の性格で歌ったら、じゃあ語尾はこう変わってくるんじゃないかとか考えられるようになって。それを自分に置き換えることで、自分の声を客観的に聴けるようになって。それが、自分のソロ活動に活かせていると思います。

──自分の声が分かると、どう歌えばいいかも分かりますよね。

 どういう声の出し方をすれば、その曲がより格好良くなるかなと考えて。でもレコーディングは、結構その場のフィーリングを大切にしている部分もありますね。μ’sと並行していた時期は、レコーディングにかけられる時間があまりなかったので、スタジオで何回か聴いてすぐ録り始めて。実際に歌いながら、試行錯誤していく感じが多かったです。私の場合、あまり最初に決め込んでいかないやり方のほうが、うまくいくことが多かったし。

──瞬発力みたいな感じですね。それを経て今思う、Pileさん自身の歌声というのはどういうものだと思いますか?

 あまり飾りのない感じかなって思います。自分でも飾るのは好きじゃないし。飾りはないけど、その分力強さを感じてもらえるんじゃないかって思いますね。

──ヌケがいいし、壮快な感じがありますよね。

 どうなんでしょう。自分ではそこまで分かりませんけど、ライブで聴いてもらうと、そういう感じはあるかもしれないですね。

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