ロックバンドのLACCO TOWERが8月22日に、最新アルバム『若葉ノ頃』をリリースした。

 2017年に結成15周年という節目を迎え、その年に発売したメジャー3rdアルバム『遥』では、自身初の外部プロデューサーとして亀田誠治を迎えた。その意味では、今回のアルバムは彼らがどのような思いで次のステップに進もうとしているのか、そのような意思表示が表現されていることも推測される。

 7月15日・16日には、昨年に続いて『LACCO TOWER結成16周年特別企画「黒白歌合戦(こくはくうたがっせん)」』を開催、去年に引き続いてのイベントで盛況を得た。「黒白歌合戦」は、彼らの楽曲を“白”“黒”という2つのイメージに分け選んで、それぞれのステージをおこなうというもの。そのテーマ分けもユニークだが、自身の周年記念イベントに明確なコンセプトを置いているところにも非常に興味深い点がある。

 そんな側面から見ても、新たなアルバムに関しての彼らの思いは、特別なものがあるとも感じられる。今回はアルバムに込めた彼らの思いとともに、イベントの実施から見たLACCO TOWERの今後に向けた思惑などをたずねてみた。【取材=桂 伸也/撮影=冨田味我】

「昔のLACCO TOWER」というバンドを、今僕らがコピーしているような感覚

――先日おこなわれた『黒白歌合戦~黒の日~』を拝見しました。今回は『白の日』が第4回、『黒の日』が5回目ということですが、それほど長くやられていたイベントかと…。

松川ケイスケ(撮影=冨田味我)

塩崎啓示 実際には去年が初めてでした。

――そうなんですか?

細川大介 そう、去年はリキッドルームで2部構成の第1回目、そして追加公演として高崎clubFLEEZで第2回、第3回とおこないました。

松川ケイスケ だから、去年は3回やっている感じですね(笑)。

――そういうことでしたか。このイベントは昨年も拝見したのですが、様々な印象を覚えました。この“黒”と“白”という色にも様々なイメージがあると思いますが、この2色をコンセプトとしておこなわれたこのイベントのコンセプトとは、どのようなものだったのでしょうか?

松川ケイスケ 僕らの曲は結構幅が広くて、ライブのセットリストを決めるときも、ちょっと激し目の曲、対して感情的におとなしめの曲やバラードの曲に対して、それぞれに僕ら自身が白っぽい、黒っぽいと感じるのがあるんです。

 だから、せっかくならそれを自分たちが結成した記念日とかに、思いっきり分けてやっちゃっても良いんじゃないか? というのが、このイベントを始めた経緯でした。

――それは、曲調的な激しさや優しさだけでなく、何か詞で表している内容でも?

松川ケイスケ もちろん、そういったこともあります。例えば全部が8ビートで速い曲かというと、そうでもない、でも内容的にそういった人間のエゲツない部分だったり、そういうことを書いているのも、僕らとしてはそちら(黒)に寄せたりしています。

――LACCO TOWERの詞自体は、松川さんが全部書かれているということで、その意味ではバンドとしての総意である一方で、松川さん自体にそういった“黒”と“白”という面が…(笑)

塩崎啓示 あります!(笑)。あるからこういう曲のバリエーションになっていると思う。またそれが、わりと良くも悪くも、LACCO TOWERらしいのかな、という。

――ちなみに、どちらのほうが強いのでしょうか?

塩崎啓示(撮影=冨田味我)

塩崎啓示 黒じゃないですかね?

細川大介 黒!

松川ケイスケ 満場一致かい!? そんなことはないと思うけど…(笑)

――重田さん的にもそうですかね?

重田雅俊 そうですね…まあなかなかミステリアスな男ですから(笑)

松川ケイスケ 初めてそんなことを言われたよ(笑)

――でも良い感じで言ってもらいましたね(笑)。近年よくおこなわれているロックのワンマンライブは、どうしても新しいアルバムを出して、そのリリースに伴った格好で開催されるツアーのイメージが強く、セットも新曲に偏ってしまう傾向が感じられているのですが、それに対してこのイベントは、これまで作られた曲をまんべんなく選び、プレーされたということがすごく印象的でした。またそれを続けておこなわれるということも、大きな意味が感じられますし。

松川ケイスケ 僕らの曲は、一曲一曲を作りこんでいる感じが結構あるんです。今振り返ってみると、意外と良い曲だと自分たちでも思う瞬間があって。だから「昔のLACCO TOWER」というバンドを、今のLACCO TOWERがコピーしている、みたいな感覚もあるし、多分バンドとしてもそれが楽しかったりもするんです。

 そういうものに対して、今だからこそ昔の曲で、違う表現ができるというところもあるし、それができないバンドになってしまうのは、バンドとしても嘘のような気もする。だからそこをみんなで確かめるためにも、という思いがあります。特に大介と真一は、LACCO TOWERにバンドの結成からいたわけではないので、そこで昔の曲にも触れてもらうこともできる。また昔を知っているからこそ、今演奏することをより考えられたりすることも、あると思っていますし。

――それは “自分たちはこうでありたい”と思うところもあるのでしょうか?

塩崎啓示 そうですね。あと変なこだわりというか、やっぱりツアーに行ったら新曲になるけど、対してこのイベントは周年イベントだから、ということも。

 実は僕らは、結成後の7月の「海の日」近辺はずっと1年目からイベントをやっているんです。それを今までは単純にワンマンライブをおこなっていたものを、去年の15周年のタイミングでは“特別なことをしよう”ということを考えたんです。あらかじめ“黒”と”白”という演目を公開してからワンマンをやろうと。そんなこともあって新しく16周年目になるときにも、ちゃんとお客さんとも振り返りながら次に進むぞ、みたいな意味も込めて始めました。

――演目を先に出してライブをおこなう、というのも、興味深いところでした。例えばクラッシックのコンサートなんかでは、ライブ前に演目を出して演奏内容を楽しむ、というコンサートの形式はありますが、対してロックのライブでは逆に曲目は事前に出されず、“何が出るか…”と当日を楽しむのも醍醐味の一つのような気もしたので、意外だなと思ったのですが…。

松川ケイスケ いや、来られる方からすると、そのほうが楽しみは増やせるんじゃないか? と思ったんです。確かに、何が聴けるかというのも楽しいかもしれないですけど、そういうのは普段からやっているので、どうせならその日は特別な日にしたくって。

塩崎啓示 一応、お楽しみの1曲は入れて、敢えて名前は伏せてというのもありますけど。

松川ケイスケ でも俺たち、ステージは意外と愚直にプレーするよね(笑)

細川大介 そう、まじめに。でも普通にやっても、やっぱり例えば30歳のときに出した曲を、今35、6歳の僕らが弾くのって、曲の解釈の仕方が全然違ってくるんです。だから同じ曲ではあるけど、あのとき僕らが弾いていた曲と、今の僕らが弾いた曲というのは、お客さんは聴感上でも絶対違うように感じると思うし、その意味で今の僕らが、そのときの曲を今の僕らの解釈で演奏するというのは、すごく意味があると思っています。

――ある意味“違うことをやるわけではない”とはいうものの、実質は違うことをやっている、ともいえるわけですよね。

細川大介 そうですね。やっぱり同じことって絶対できないし。若い頃のプレイに対して“あのときの勢いは出せない”、といったら何ですが(笑)、やっぱりそこから何年も掛けてそれぞれスキルもアップもしているし、音楽的知識もドンドンと上がっている。むしろそういうところを、しっかり出していきたいという思いも、みんなにはあるので絶対違ってくると思います。

――なるほど。真一さんはいかがでしょう?

真一ジェット 昔作った曲で、ライブでその当時ツアーで1回くらいしかできなかった曲とかもあって、それがまた黒白でこうやってライブでできるというのが逆に新鮮ですね。当時のアレンジとか、フレーズとか、“あ、こんなことをやっていたんだ”って。そのときのレコーディング中の気持ちとかも思い出すし、それこそ周年の記念にふさわしいイベントだと思います。演奏中に色々と思い出が甦ってきたりもしますしね。

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